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第03景 赤い水薬
夜、ランプの灯の周りを大きな『蛾』が飛んでいます。
小山さんの話しを続けます。
夕食後、小山さんは高山看護婦からコップに入った『赤い水薬』を渡されたそうです。
その薬は消毒液の様な匂いがしたそうです。
小山さんは、
「薬ですか?」
と尋ねると、高山看護婦は黙って頷いたそうです。
そして、
「ありがとうございます。頂きます」
と言ってその赤い水を一気に飲み干したそうです。
空のコップを渡すと高山看護婦はニッコリと笑って医務室に戻って行ったそうです。
すると小山さんの耳に何処からか声が聞こえて来たそうです。
「薬は試しに使っている。薬を飲んで生きたヤツもいれば、死んだヤツもいる」
小山さんはその声を聞いて少し不安に成ったそうです。
暫くして巡回して来た河村看護兵にこう尋ねたそうです。
「すいません。あの赤い水薬は何んですか?」
すると河村看護兵が、
「赤い水薬? あ~あ、あれは薄めたアカチンだ」
小山さんは、
「アカチン? アカチンだったのですか。アカチンとは何にでも効くモノなのでしょうか?」
と尋ねると、
河村看護兵は一言、
「効くと思って飲めば、効かぬモノはない!」
そう言い残し、去って行ったそうです。
何と言う『精神論の戦い』なのでしょうか。
コレでは日本軍に勝ち目はないと、小山さんはつくづく思ったそうです。




