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悪役令嬢はお姉様と呼ばれたい!  作者: 春乃春海
第二章 悪役令嬢は次期当主を目指す
39/70

38. お嬢様のプレゼン会②



「次に私が提案するのは、ブドウを使った加工品の開発よ」

「それはワイン以外のものということでしょうか?」

「ええ。新しいワインの開発はどうしたって時間がかかりすぎるでしょ? だから、その間にできることはないかと考えたの。それにはワイン以外の既成の品を使った新しい商品を売り出すのが手っ取り早いと思ったの」


 新しく品種を作るにせよ、ワイン作りは時間がかかる。来年に向けて新しいブドウを作って、発酵させて試飲して売り出せるかどうか見極める。そんな長期的な計画だ。

 よって、すぐにレトナーク領地の経営を改善させるものではない。


「既成の品?」

「ええ。ブドウを使った加工商品の展開よ。具体的には干しブドウを使った商品ね」

「干しブドウですか……」


 ハインツはいまいちパッとしない反応を見せたが、それはそうかもしれない。

 私なりに調べたところ、干しブドウ自体がそれほど市場に出回っていなかった。ほとんどは農村の保存食として消費され、せいぜい出回っても周辺の町くらいであった。

 恐らく、彼らの中では干しブドウは庶民が食べる保存食としてしか、考えられていないのだ。

 長期保存に向く商品として売り出せば、結構魅力的な商品なのに、いまいちその価値がわかっていないようだ。


「干しブドウは生のブドウと違って賞味期限も長いから日持ちもするし、交易にも最適よ。行商人や旅人向けに売り出せばきっと売れるわ。それに、これならワインに使いきれない余ったブドウを廃棄しないで済むでしょ?」

「確かに保存食として農民たちの間で食べられていますが。しかし、それでは大した売り上げにならないのでは?」

「ええ、そうね。だから、それとは別に貴族向けに干しブドウを使ったお菓子を売り出すわ」

 

 ハインツの言う通り、庶民向けの商品を売り出しても大した金額にはならない。

だからと言って、贅沢品を食べ慣れている貴族に干しブドウをそのまま売り出しても、見た目も地味な上、味も苦いとあっては、関心を惹かれるものではないことは明白だ。

 そこで加工品だ。


「あの村で出されたお菓子を食べて思ったの。あの干しブドウ入りのケーキはブドウジュースにピッタリだと感じたわ。きっとワインとも相性が良いはずよ。あ、パンも外せないわね。お酒のアテとして売り出しても面白いと思うの。そうね、レトナーク産ワインと合わせ販売をしてもいいわね」


 もし、これで干しブドウを使った商品が上手く行ったら、干しブドウ専用の品種を作りたい。

 具体的には皮が薄くてタネの小さいもの。出来れば種無しのブドウを作ることができれば最高だ。

 私が計画に夢を膨らませていると、ハインツが口を開いた。


「アイディアは面白いですね。……セドリック。貴方が助言したわけではないですよね」

「失礼ね。私の案よ」


 頬を膨らませて怒ってみせると、ハインツはその鋭い目でじっと私を見つめた。


「なるほど……」

「どうかしら?」


 私はドキドキしながら、ハインツの反応を窺う。


「……そうですね。率直に農村出身の身として、干しブドウが魅力的な商品には思えません。確かにグレース様のおっしゃる通り、保存食して売り出すならば、庶民には売れるかもしれませんが、果たしてお菓子やパンに加工した所で貴族連中が食いつくでしょうか?」


 やはり、予想通りの返答が返ってきた。

 その通りだ。

 社交界では美味しいお菓子やパンなんて有り余るほどある。その中で目を惹くようなものでなければ、興味を持たれることもないだろう。

 いくら美味しいと言っても、所詮農村で食べられているお菓子にお貴族様が注目なんてしない筈だ。


「フフフ。そこよ! そこで私の最後の対策案よ」


プレゼンまだ続きます。



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