魔王の参謀 ★★★「シャドウアウト影」 の場合
魔王宮の庭園にて
シャドウアウト影「やれやれ、侵入者ですか」
紅茶(乙女の聖水)を楽しんでいたシャドウアウト影はこう呟くと立ち上がり、
転移魔法で魔王宮の庭園に転移した。
人間陣営の兵士が転移魔法で強引に送り込まれてきたらしい。
転移先に石像があり、石と同化した者が若干名いた。
石と同化した者はうめき声をあげていた。
シャドウアウト影「よくも私の庭を汚してくれましたね」
静かな怒りを表していた。
その手を握りしめると石像が砕けた。
人間陣営からの精鋭だけあって、たじろぎもせずにシャドウアウト影の周りを取り囲んだ。
その装備も魔法防御力に優れた一品ばかりで身を包んでいた。
精鋭特殊兵「敵の幹部だ慎重にかかれ」
シャドウアウト影の背後に回った兵士が突然苦しみだした。
シャドウアウト影「私の影を踏んだ者は強制闇落ちです」
シャドウアウト影の影から無数の手が兵士に絡みついた。
哀れな兵士の体がみるみる膨れ上がり、その身を守る鎧が爆ぜた。
兵士の姿はアンデット系の魔物に姿を変えていた。
シャドウアウト影「醜いですね」
そう呟き、手を握りしめると魔物は息絶えた。
/*************シャドウアウト影のテーマ**************/
影、影、シャドウアウト影
真黒な暗黒太陽
身に宿し
闇の中にシャドウアウト影
影から命を生み出して
これが魔力の影魔法
影、影、シャドウアウト影
夜に隠れてやって来る
影の中にシャドウアウト影
闇のマントを翻し
出たぞ魔力の影分身
嗚呼、この世は汚れている
私の心まで汚されそうだ
お前達の清らかな聖水で私の心を洗い流しておくれ
/*************シャドウアウト影のテーマ**************/
シャドウアウト影「あなた方のお相手は・・・」
シャドウアウト影の影から影が飛び出してきた。
シャドウアウト影の影分身で兵士達は同士討ちを始めていた。
精鋭特殊兵「惑わされるな、集中しろ」
魔王宮の方から人工妖精がわーきゃー言いながら庭になだれ込んできた。
アッという間に異世界から戻ってきた人工妖精達で庭は溢れた。
シャドウアウト影を中心に輪ができた。
人工妖精A「ただいまー、お兄ちゃん!」
人工妖精B「ただいま帰りました、マスター」
そして、我先にと抱きつこうとした。
人工妖精C「ずるーい、私もー!」
その場でジャンプをして甘えようとする。
シャドウアウト影「お帰り、私の可愛い妹達」
人工妖精達を回りを見渡し言った。
シャドウアウト影「私の事をマスターと言った子は後でお仕置きです」
人工妖精B「えーっ」
そう言うとその場にへたり込んだ。
シャドウアウト影「お使いが上手くできなかった子も後でお仕置きです」
人工妖精C「えーっ」
そう言うとその場にへたり込んだ。
シャドウアウト影「さあ、あの人達と遊んであげなさい」
人工妖精達に声をかけた。
精鋭特殊兵「あれは化け物だ惑わされるな」
精鋭特殊兵達は個々に身構えた。
人工妖精達「おじさんあそぼー」
手に手に糸切り鋏を持って戯れてくる。
人工妖精達「チョッキン、チョッキン」
剣が、盾が、鎧が紙のように易々と切られていく。
兵士の手が手甲ごとようにぽとりと落ちた。
不思議な事に一滴の血すら流れず、手の感触すらある。
ある兵士は意識はあるのにパズルのピースのようにバラバラにされてしまった。
また、ある兵士は四肢を他の兵士と取り換えられた。
いわゆる無邪気な悪意により精鋭特殊兵達は彼女達の玩具として
飽きるまで遊ばれる事になった。
シャドウアウト影「やれやれ、庭が台無しです」
シャドウアウト影は庭の心配をしていた。
彼にとっては庭が汚されたことが我慢ならない事のようだ。