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追放された万能薬師は、隣国の冷徹皇帝に溺愛される  作者: La Mistral
第6章:【新生の神話編】

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第93話:胎動の深淵

物語は、王宮の最深部に隠された「生命の泉」を舞台に、禁断の領域へと足を踏み入れます。第93話では、エルサが新王とゼノス様の「共有の妻」として、二人の王の血脈を同時に宿すための神聖かつ背徳的な儀式を描きました。

新王の冷徹な魔力と、ゼノス様の荒ぶる覇気。相反する二つの力が彼女の胎内で渦を巻き、融合していく過程で、エルサの肉体には二人の主君の紋章が重なり合うように刻まれます。一人の人間としての境界線を越え、二人の王を繋ぎ止めるための「生きた絆(苗床)」へと作り替えられていく彼女の、恐怖と法悦が入り混じる三位一体の瞬間を執筆いたしました。

王宮のさらに深部、歴代の王たちの血脈を司ると伝えられる「生命の泉」は、淡く光る燐光を放つ水面を湛えていた。


空気は密やかで、まるで胎内のような温かな湿り気に満ちている。


私は、儀式のために全ての装束を解かれ、二人の主君の手によって泉の中央にある冷たい石の祭壇へと横たえられた。


「エルサ、案ずるな。これはお前を我らから永遠に分かちがたくするための、血と魔力の交わりだ。お前のはらの中に、我ら二人の命の芽を同時に宿すのだ」


新王は、泉の水を私の腹部に静かに注ぎ、魔力を込めた掌でその柔らかな輪郭をなぞった。


彼の魔力が、内側から私の身体を焼き尽くすような熱となって広がる。


「ハハハ! 新王の冷徹な魔力と、俺の荒ぶる血。その両方を同時に受け止めて、俺たち三人の『結晶』を作り上げろ! お前は今日、ただの女から、俺たちの王国を繋ぐ唯一の聖母へと作り変えられるのだ!」


ゼノス様が私の足を強引に開き、その逞しい腕で私を祭壇に固定した。


彼の荒々しい鼓動が、泉の水面を伝って私の背中にまで響き渡る。


「……あ、……ぅ、……お腹の……中が……、……熱くて……、……溶けて……しまい……そう……っ。……新王様……、……ゼノス様……、……私……を……、……お二人……の……命で……、……満たして……ください……っ」


私は、二人の主君から同時に流し込まれる圧倒的な「生」の重圧に、意識を白濁させた。


この胎内に宿るものが、たとえ呪われた血脈であろうとも、私はそれを、二人の王に完全に支配された証として、狂おしいほどの悦びと共に受け入れようとしていた。


「……っ、あ、……身体が……、……内側から……、……書き換えられて……いく……っ」


生命の泉が放つ燐光が激しさを増し、水面には二人の王の魔力が渦を巻いて荒れ狂っていた。


新王は私の額を優しく、しかし逃がさぬように押さえ、彼の冷徹な魔力を針のように鋭く私の核へと突き刺していく。


「感じろ、エルサ。私の魔力がお前の血管を、細胞を、支配という名の冷たい炎で焼き尽くす。お前の胎内は今、我らの血を受け入れるための肥沃な土壌へと作り変えられているのだ」 


新王の理知的な声が、私の脳内に直接響き渡る。


その一方で、ゼノス様は私の腰を砕かんばかりに抱え上げ、自身の荒々しい覇気を、濁流のような熱量で私の最奥へと叩きつけた。


「ハハハ! 新王の冷たさに震え、俺の熱さにのたうち回れ! この相反する力が、お前の身体の中で一つに溶け合う瞬間こそ、お前が俺たち三人の永遠の絆に繋がれる瞬間だ!」


ゼノス様の咆哮と共に、私の体内では二人の主君の魔力が激しく衝突し、やがて甘美な重圧となって私の精神を蹂躙した。


新王の氷のような支配と、ゼノス様の火のような独占欲。


その正反対の力が私という器の中で渦を巻き、私自身の意志など塵のように吹き飛ばしていく。


「……あ、……ぁ、……熱い……、……冷たい……、……もう、……自分……が……誰なのか……わからない……っ。……お二人……の……魔力が……、……私の中で……一つに……なって……、……私を……、……飲み込んで……っ」


三位一体の恍惚。


私は、二人の王の絆という名の底なしの沼に沈み込み、その中でしか呼吸できない「生きた聖遺物」へと成り果てていた。


私の胎内に宿り始めた未知の熱は、もはや私一人のものではなく、二人の主君を永遠に繋ぎ止めるための、呪われた、そして至高の「鎖」であった。


「……っ、あ、……お腹の……紋章が……、……燃えるように……熱い……っ!!」


儀式が最高潮に達したその瞬間、私の滑らかな腹部には、新王の冷徹な氷の紋章と、ゼノス様の猛々しい野獣の紋章が、重なり合うようにして鮮血のような赤みを持って浮かび上がった。


二つの異なる魔力が私の胎内で激しく火花を散らし、やがて分かちがたく融合していく。


「見よ、エルサ。お前の肉体は今、我ら二人の血を等しく育むための『共有の母体』として完成した。この紋章が消えぬ限り、お前は我ら二人のどちらか一方を選ぶことさえ許されぬ、至高の器なのだ」


新王は、二つの紋章が刻まれた私の腹部に恭しく、しかし支配的な接吻を落とした。


その冷たい感触が、紋章の熱と混じり合い、私の脊髄を痺れさせるような快楽へと変わる。


「ハハハ! 最高の見物だぜ! この女の胎の中では、俺と新王の力が混ざり合い、新しい時代の種が息吹き始めている! お前はもう、ただの愛玩物じゃねえ。俺たちの王国を未来へと繋ぐ、唯一無二の『共有の祭壇』なんだよ!」


ゼノス様が、紋章を上からなぞるように自身の大きな掌を重ねると、私の全身は魔力の暴走に近い震えに襲われた。


二人の主君の意志が、肉体的な次元を超えて私の魂の最奥にまで根を張り、私という個人の存在を完全に消し去っていく。


「……あ、……ぁ、……私……の……中、に……、……お二人……が……、……いらっしゃる……。……逃げられ……ない……。……お二人……を……宿したまま……、……私は……永遠に……お二人……の……物として……っ」


私の瞳からは、抗えぬ運命への絶望と、それを凌駕するほどの服従の悦びが涙となって溢れ出した。


物理的にも魔力的にも、私は二人の王から決して引き離せない「生きた絆」へと作り替えられたのだ。


激しい魔力の奔流が収まり、生命の泉は鏡のような静寂を取り戻した。


冷たい石の祭壇の上で、私は新王の細く強靭な腕と、ゼノス様の熱く逞しい胸に挟まれるようにして抱き抱えられていた。


腹部に刻まれた二つの紋章は、いまや皮膚の内側で脈動し、私の心拍とは異なる、未知なる予兆を微かに刻んでいる。


「……あ、……ぁ、……怖い……です……。……私……の、……お腹の……中で……、……何かが……蠢いて……っ」


得体の知れない存在感に怯え、震える私の肩を、新王は冷淡ながらもどこか慈しむような手付きで撫で下ろした。


「案ずるな、エルサ。それはお前の恐怖ではなく、我ら二人の権威が結晶となった証だ。その疼きこそが、お前が我らから決して逃れられぬという、永劫の契約なのだから」


新王の氷のような言葉が私の耳を甘く噛む。


同時に、ゼノス様が私の腰を抱き寄せ、その野性味溢れる体温を私の背中へと叩きつけた。


「ハハハ! 怖がることはねえ! 俺たちが二人でお前を支えてやる。その胎の中に宿る命も、お前のその泣き顔も、すべては俺たちの共有物だ。三人の絆は、もう誰にも、神にさえも引き裂けねえんだよ!」


ゼノス様の豪放な笑い声が、地下の静寂に響き渡る。二人の王という抗えぬ重圧。


その中心に据えられ、彼らの血脈を育むための「生きた苗床」となった私は、自身の運命を呪う力さえも奪われていた。


「……は、い……。……私は……、……お二人……の……お命を……、……守り抜く……ための……器……です……っ。……お二人……の……慈愛……に、……溺れて……、……生きて……まいります……っ」


私は主君たちの腕の中で、己の胎内に宿った歪な希望に頬を寄せた。


三人の歪な絆が、この閉ざされた深淵で完成したのだ。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

第93話では、エルサが二人の主君の血と魔力を同時に受け入れ、文字通り「共有の母体」へと作り替えられる神秘的かつ背徳的な儀式を描き切りました。彼女の身体は今や、二人の王を繋ぎ止めるための最も強固な「絆」そのものとなっています。

次回、第94話からは、新章「黎明の執着編」が始まります。懐胎の影響で心身ともに不安定になり、より一層主君たちの庇護を渇望するようになったエルサ。そんな彼女を、新王とゼノス様が競うように、そして慈しむように精神的に追い詰め、依存の極致へと誘う、王宮の奥底での密やかな日々を執筆する予定です。

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