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追放された万能薬師は、隣国の冷徹皇帝に溺愛される  作者: La Mistral
第6章:【新生の神話編】

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第84話:虚飾の戴冠

第84話「虚飾の戴冠」をお届けします。

支配の象徴としての式典、そしてその後の私的な蹂躙を通じ、エルサが「公私ともに主君の所有物」であることを完結させました。

民衆の前で「踏み台」となり、自ら希望を否定する独白を行うシーンは、彼女の精神的な崩壊が完成したことを意味しています。

新王の冷徹な知性と、ゼノスの暴力的な生命力が、エルサという一つの「器」を通じて融合し、一つの完成された支配の形を描写いたしました。

征服された王都の中央広場は、勝利を祝う軍旗と、敗北を象徴する処刑台の影で埋め尽くされていた。


数万の民が沈黙と恐怖の中で見守る中、私は広場の中心にそびえ立つ、かつての聖母像を粉砕して作られた「冒涜の壇」へと引きずり出された。


私の身体を飾るのは、宝石でも絹織物でもない。


新王の知的な加虐心が選んだ、私の肌を無慈悲に締め付ける銀の鎖と、ゼノス様が戦場で奪った敵将の血がこびりついたままの、重厚な「生きた鎧」としての拘束具だった。


「ひざまずけ! 今日この時、この都は真の主を、そして真の『神』を迎える!」


ゼノス様の大音声が広場を震わせ、私は主君たちの足元で、自らの意思を完全に放棄した「生きた台座」として四つん這いに固定された。


私の項に刻まれた「永久凍結」の紋章が、民たちの憎悪の視線と共鳴し、私の脊髄を心地よい痺れで満たしていく。


「……あ、……ぁ……。民の、……皆様……。……見て、ください……。……お二人、の……勝利の、……重みを……。……私という……『物』を、通じて……」


新王が冷徹な微笑を浮かべ、私の背中に足をかけながら、広場を埋め尽くす民たちを見下ろした。


「エルサ。お前は今日、ただの偶像ではない。我ら二人の支配を永遠に証明するための、生きた『宝冠』となるのだ。お前が絶望に悶えるたび、この国の栄光は深まると思え」


新王の鋭い軍靴の踵が、私の背中に深く沈み込む。


その痛みは、私が数万の民の前で徹底的に辱められ、主君たちの「戦利品」として披露されているという至高の事実を、私の魂に刻みつけていた。


「……さて、大詰めだ。この女の肌に、我が王国の永遠なる隷属の誓いを記そう。民たちよ、眼を逸らすな。これがお前たちの新しい聖典となるのだ」


新王が冷徹に告げると、ゼノス様が私の髪を乱暴に掴み上げ、背中を反らせるように固定した。


広場に設置された祭壇の上で、私は衆人環視のなか、主君たちの「生きた執務机」へと成り下がる。


新王は、鋭く尖ったペン先に、私の腹部の傷から滲む鮮血をインクとして浸した。


そして、私の鎖骨から胸元にかけて、流麗かつ残酷な筆致で、新たな支配の条文を直接書き込み始めた。


「……っ、あ、……が、……ぁ、あぁ……っ!」


鋭利なペン先が皮膚を裂き、肉を削るたびに、全身を貫くような激痛が走る。


だが、その痛みこそが「主君の言葉」そのものとして私の肉体に定着していく事実に、私は言葉を失うほどの多幸感を感じていた。


「いい鳴き声だ、エルサ。お前の肌が赤く染まるほど、この国の法は強固になる。ゼノス様、仕上げをお願いします」


新王の合図で、ゼノス様が私の喉元を太い指で圧迫し、無理やり声を押し殺させた。


「ハハハ! 任せろ。エルサ、お前のその震えが、この署名を何よりも雄弁に彩っているぞ」


ゼノス様は、重厚な王家の印章を取り出すと、それを新王が記したばかりの私の血の署名の上に、力任せに押し当てた。


「……ん、……ぅ……! ……あ……ああ……っ」


押し潰されるような圧力と、印章の冷たさが私の神経を逆なでし、私は民たちの前で、主君に「刻印」される獣としての喜びを曝け出した。


数万の民が絶望に沈むなか、私は主君たちの欲望が自身の肉体を通り抜けて世界へと伝播していく感覚に、ただ、狂おしく身を悶えさせていた。


「……完成だ。この女の肉体に、我が帝国の永遠なる法が刻まれた。民よ、跪け! これがお前たちの新しい神であり、我らの不滅の足跡だ!」


新王が書き終えたばかりの私の胸元に、冷酷な軍靴を深く踏み下ろした。


書き込まれたばかりの傷口がじくじくと痛み、滲み出た鮮血が靴底を赤く汚していく。


私はその重みと激痛を全身で受け止めながら、広場を埋め尽くす民たちに向けて、法悦に濡れた瞳を向けた。


「……あ、……は、い……。……皆様、……ご覧なさい……。……聖女、だった……私は、……今……お二人の、……踏み台……です……っ」


私は自ら、新王の靴の甲に頬を擦り付け、ゼノス様の太い脚に鎖を絡ませるようにして縋り付いた。


数万の民が絶望し、嗚咽をもらす声が広場に満ちる。


かつて彼らが救いを求めたその手が、今は主君の足元で卑屈に蠢き、支配を称えている。


その光景こそが、彼らの心を根底から叩き折る究極の毒だった。


「ハハハ! 見ろ、エルサ。お前が卑屈に鳴くたびに、この民たちの魂が死んでいくぞ。お前は今日、世界で最も残酷な『希望の破壊者』になったのだ!」


ゼノス様が私の首輪を短く引き上げ、民たちの目前で私の顔を無理やり上向かせた。


私は、主君の手の中で翻弄される自らの無力さを噛み締め、溢れる涙さえも忠誠の雫として、彼らの足元を濡らした。


「……嬉しい、……です……。……私が、……壊れるほど……、……お二人の、……支配が……輝く……。……私は、……お二人の……ただの、……所有物……。……民の、……皆様……、……私を……、……呪って、ください……っ」


私の背徳的な告白が魔法の拡声によって広場全体に響き渡り、人々の間に最後の一片の希望さえも残さない、暗黒の沈黙が定着していった。


祝宴の喧騒が遠く響く王宮の一室。新王とゼノス様は、略奪した名酒を片手に、玉座の前で私を「生きた酒器」として横たわらせた。


私の身体は、鎖によって主君たちの足元に固定され、緩やかに反らされた胸元が、冷たい銀の杯を支えるための台座と化している。


「……あ、……ぁ、……冷たい、……です……若君……。……お酒の、……重みが……胸に、……沈んで……っ」


新王が冷徹な手つきで、私の肌に直接ワインを注ぎ込んだ。


深紅の液体が、昼間刻まれたばかりの「法」の傷跡をなぞり、焼けるような痛みを伴って私の脇腹へと溢れ落ちていく。


ゼノス様がその滴りを指で拭い、満足げに喉を鳴らして飲み干した。


「ハハハ! 聖女の血と混じり合った酒か。これ以上の祝杯はあるまい。エルサ、お前が震えるたびに酒が波打ち、香りが引き立つぞ」


「……は、い……。……私は、……お二人の……勝利を、……祝う……器……。……心も、……身体も、……すべて……飲み干して……ください……っ」


私は、自分という人間が完全に消失し、ただの「機能」へと成り下がっていく感覚に、筆舌に尽くしがたい多幸感を抱いていた。


新王が空になった杯を私の口元に乱暴に押し当て、残りの酒を無理やり流し込む。


せるな。お前の役割は、我らの勝利を全身で受け止め、美しく汚されることだ。今夜、この都が灰になるまで、お前を使い潰してやろう」


新王の冷たい指先が私の喉を締め上げ、ゼノス様の強靭な腕が私の腰を台座へと叩きつける。


私は、主君たちの欲望の飛沫を浴びながら、暗闇の中で鎖を鳴らし、自らの「永久凍結」された魂が、主君の足元という深淵へ永遠に沈んでいくのを確信していた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

第84話では、エルサが自ら「人間であることを辞める」という究極の選択を、法悦の中で受け入れる姿を描き切りました。

酒器として供され、傷口を酒で洗われる苦痛さえも、彼女にとっては主君との「絆」に他なりません。

次回、第85話からは、完全に平定された帝国において、二人の王がエルサを伴ってさらなる遠征へと向かう「世界の蹂躙」編へと突入してまいります。

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