ー襲撃4ー
明日も同じ時間にできるかな?
時はさかのぼりブリューと剣を持つ冒険者が再び対峙し始めてしばらく経った頃。ブリューは傷を押しながら冒険者の猛攻をしのいでいた。
「オラオラオラァ!
早く倒れろ!このクマ公!」
「……ぐるっ!」
足に傷を負ったことにより、素早く動くことを封じられ、その上連続的に冒険者から攻撃を仕掛けてくるためその場を動くことが出来ずにいた。反撃することもその猛攻の中では難しく、自身の魔力を高め防御を中心とした身体強化と爪のみで猛攻を防いでいく。身体強化の防御で致命傷を受けることはなかったが徐々に傷は増えていく。
「ハァ、ハァ……
くそ、まだ倒れないのかよ」
連続して攻撃を仕掛け疲れを感じたため一旦冒険者はブリューから離れる。
「ぐるぅ……」
攻撃が止まり冒険者が離れたことでブリューには少しの余裕が生まれた。その間に自身の傷の具合を確認するブリュー。足に負った傷は変わらず行動に支障をきたすくらいのものであったが、先の猛攻での傷はそれほどのものではなくまだ耐えられるものであった。そこにブリューは勝機を見出した。
「ぐるぅ……はぁはぁ……ぐるぅ……」
「クマ公、お前のその様子を見るとそろそろ限界のようだな。
そろそろ俺の方も終わらせないと他の奴らに限界が来ちまう。
次で終わらせてやるぜ!
エアリアルバースト!」
息も絶え絶えにするブリューの様子を観察し限界と見た冒険者は次の攻撃でブリューを倒すと宣言する。そして再び魔力を剣に纏わせ風の斬撃となる闘技を放った。
「ぐるぅがぁあ!」
先の焼き増しのようにブリューは爪に氷を纏わせ風の斬撃に対抗する。だがその氷爪は先の物とは違っていた。先の風の斬撃では最終的には打ち払うことは出来ていたがその代償に氷爪も壊れる結果になっていた。そのことを忘れていなかったブリューは先ほどの氷爪より多くの魔力を氷に詰め強度を補っていた。それと同時に多くの魔力を使い身体強化を防御中心に施す。そしてブリューの氷爪はその姿を残したまま風の斬撃に打ち勝った。
「おらっ!
クマ公!これで終いだ!」
冒険者は前の攻撃とほぼ同じ動きをし、闘技による硬直が解けたと同時にブリューの後ろに回り剣を振り下ろす。
ガキー―ン
「なっ!」
振り下ろした剣は何かに弾かれる。よく見るとそれは氷であった。
「ぐるぅ?ぐるぅ!」
ブリューは先の猛攻の際、防御を中心とした身体強化で冒険者の攻撃を最低限に抑えたことから冒険者の攻撃を通常のものに限定できるようわざと限界の振りをしていた。それに騙され1度放ち上手くいった闘技を冒険者が使ったことでブリューは魔力を多く使い氷爪と身体強化を同時に使うことで冒険者にカウンターを喰らわすことを考えていた。しかしそれは別の結果をもたらすことになる。防御を中心とした身体強化と氷爪を同時に施すことにより、ブリューが持っていた氷属性が身体強化にまで及び氷を纏う姿になっていたのである。それはまるでアイスボアに似ている姿でもあった。実はアイスボアと何度か対峙することでブリューはその魔力の動きを知らぬ間に学習していたのである。
ブリューは冒険者の攻撃を弾いたことを不思議がり自分の身体を見て氷を纏っていることに驚く。
「な、なんだ、その姿は!
さっきまで何ともなってなかったじゃねぇか!
お前、俺のことだましやがったな!」
冒険者は戦闘の最中に関わらず的外れなことを言う。
「ぐるぅ、ぐるぁがぁ!」
ブリューは一瞬その言葉を聞き呆れた声を出すがすぐに戦いの中にいることを思い出し、冒険者を威嚇する。
「くそがぁ!どいつもこいつも俺のことを馬鹿にしやがって!
もういい!次で確実に決めてやる!」
冒険者はそう言うと魔力を高め剣に纏わせながらブリューに向かって走り出す。
「エアリアルストライク!」
冒険者が纏わせた魔力は風属性へと変化しブリューに向かって剣を振り下ろす。
「ぐるぅがああぁ!」
ブリューは再び魔力を込めながら氷爪を剣へと向かわせる。剣と氷爪は交差し甲高い音を鳴らす。
「オラァァーー!死ねぇ!」
「ぐるぁあぁぁ!」
冒険者とブリューはお互いに力を込め相手を打ち倒そうとする。少しの間その状態が続いたが先に膠着を破ったのは冒険者の方であった。
「うっ、くそがぁーー!」
今までも魔力を多く使っていたため冒険者は徐々に力が抜け始めブリューの氷爪に押され始める。
「ぐるぅ!」
ブリューは冒険者の力が徐々に抜けて行ってるのを感じここが勝負時だと考え力を振り絞り氷爪を押し込む。拮抗が破れ氷爪に剣は弾き返される。氷爪はそのまま冒険者の身体を貫く。
「ぐわぁぁ!」
ブリューは冒険者たちから襲ってきたが命を取ることまでは考えてはいなかった。そのため氷爪は冒険者の肩を貫く。その痛みに冒険者はのたうち回る。
「……ゴブブゴ!」
ほぼ同じタイミングで戦闘を終わらせたブラブが土の輪を生成しブリューと対峙していた冒険者に飛ばす。その土の輪は冒険者にあたり拘束される。
〈ブリューよ、拘束だけではいずれ外れるかもしれんから意識を奪っとくのじゃ〉
「ぐるぅ!」
ソタはブリューに近づきポーションをブリューの足の傷に振りかけながら指示を出す。冒険者は土の輪に拘束されたまま何とか抜け出そうとするが痛みで上手く魔力を使えずにいるためそのまま転がりまわる。その冒険者にブリューは近づき意識を刈り取った。
〈これであとはユーグだけじゃが……〉
・・・
「くっ……!」
ブリュー、ブラブが相手の冒険者に苦戦していた頃、ユーグもまた苦戦を強いられていた。冒険者の闘技による連続攻撃の中、それを耐えることしかできず反撃の糸口を見つけることはまだ出来ていなかった。
「ちっ!まだ倒れねぇのかよ」
闘技による連続攻撃が終わり冒険者は一旦ユーグから距離を取る。ユーグはその攻撃を受けきったが致命傷の類を避けただけであったので細かい傷は身体中に刻まれていた。また連撃を防御するのに精神力を使い体力も大分消費していた。
「ハァ、ハァ、……。
(あの人の闘技は大変だったけど受けきれた。
でも次同じのが来たらダメかもしれない。)」
「ふん、お前はもう限界のようだな。
(大分疲れている様子だな、それならまた接近戦でケリをつける!)
行くぞ!」
冒険者は再びユーグに近づき短剣での接近戦を仕掛けてくる。
「……ハァ、くっ!
(魔力はまだあるのに体力が……)」
闘技を使わない攻撃だったため冒険者の攻撃に辛うじて反応し何とか防ぐことができているユーグ。しかしその間も疲労がたまっていき体力は失われていく。
「(もっと体力があれば!
魔力だけじゃどうにもならないのに……。
……うん?魔力がある?)」
ユーグは攻防の最中何かを思い出す。
「(そうだ!魔力があるなら!
いちかばちか試すしかない!)」
冒険者からの攻撃に耐えながらユーグは自身の魔力を剣に流し始める。それは今まで以上の魔力の量であり、流すだけではなく剣の外にも纏わせ始めた。
「(うん?何だ?
コイツ、戦いながら魔力を高め始めている?)
……チッ!」
ユーグが何かをし始めようと感じた冒険者はそれを阻止するためさらに激しく猛攻を加え始めた。ユーグはそれを最低限の防御だけをし魔力を動かすことだけに集中する。そして冒険者の短剣とユーグの剣が交差した時それは起きた。
「スゥラァァッシュ!」
ユーグの剣が魔力で輝き闘技を放つ。その闘技により強烈な斬撃が冒険者ごと弾き飛ばす。
「……できた?」
「なんだ?今のは?スラッシュなのか?
だが俺の知ってるスラッシュはこんな威力はないぞ」
一応次の投稿は明日の20時にします。
できなければ明後日の20時には絶対します。




