ーグリムノーデンのダンジョン8ー
今週も20時に投稿していきます。
「了解!
それなら僕がウォーターランスを使って、ブラブはアースアローをお願い。
アースアローは何本同時に出せる?」
「ゴブブ」
「8本か、前よりできるようになったね。
その本数で十分だと思うけど、万一があるからそのときはブリュー頼んだよ!」
「ぐるぅ!」
「じゃあ行こうか。
……ウォーターランス×2!」
「ゴブ!……ゴブブ×8」
ユーグの前に2本の水の槍が現れ、ブラブの前には土の矢が8本出現した。2本の水の槍は1体のフォレストスコーピオンに向かって飛び、もう1体のフォレストスコーピオンには土の矢が8本飛んでいく。フォレストスコーピオンは魔法の接近に気づき、避けようとするがユーグとブラブの操作で水の槍と土の矢はフォレストスコーピオンを追いかける。
「「キィシャァアア!」」
フォレストスコーピオンに追いついた水の槍は外殻を突き破り、フォレストスコーピオンに突き刺さる。水の槍2本とも命中し、フォレストスコーピオンは断末魔の叫びを上げ黒い霧へと変わり魔石を残す。
土の矢もフォレストスコーピオンを捉えその身体に命中するが、深く突き刺さることはなく外殻に阻まれた。しかしその身を傷つけたことは確かで痛みで声を上げ、土の矢を身体に刺さったままユーグたちを視認する。
「アースアローではダメだったのか。
でも矢は突き刺さってるみたいだから少し弱ってるね。
よし、もう一回魔法で僕が攻撃するよ。
……ウォーターランス!」
再びユーグの前に水の槍が現れ、傷ついたフォレストスコーピオンに飛ぶ。健常な状態でも避けられなかった水の槍はフォレストスコーピオンに突き刺さる。
「キィアァァ……」
水の槍は外殻を超えフォレストスコーピオンに突き刺さり、もう1体のフォレストスコーピオンと同様に黒い霧へと変わり魔石を残した。
「うん、ランスの魔法だと1発で外殻を突破できるね。
アロー系だと威力を上げれば大丈夫かな」
「ゴブ……」
「大丈夫だよ、たぶん僕のウォーターアロ―だと外殻に突き刺さることもないと思うから。
威力を上げないと無理だね」
魔法は属性によって同じ系統の魔法でも威力や効果は異なる。アロー系の場合、水属性より土属性の方が威力は高いが速度は遅かったりする。しかし魔力操作により威力の増減や速度も変えたりもできるため単純に属性差が魔法の優劣に繋がることはなかった。
〈うむ、そうじゃのう。
次からはブラブのアースアローも魔力を込めればいいのじゃ。
じゃからそんなに落ち込むなブラブよ〉
「ゴブブ」
「ぐるぅ?」
ユーグと同じように落ち込むブラブを励ますソタ。それを聞いていたブリューは自分のことはどうだったかとユーグに聞く。
「ブリューは大丈夫だったよ。
しっかりフォレストスコーピオンから目を離さずにいたし、周りも警戒できたからね。
じゃあ魔石を拾って移動しようか」
ユーグたちは話を終わらせ移動を再開した。
・・・
ユーグたちがフォレストスコーピオンを倒してから2度ほど魔物と遭遇したが、それはウッドオウルであった。この階層では魔物の数は多くても3体ほどであったため、今まで通りの魔法の使い方でウッドオウルを倒していく。その中でもブラブは先ほどの失敗をかき消すように精密な魔法の操作をしウッドオウルを倒していった。
「凄いね!ブラブ!
飛んでるウッドオウルにダークアローを当てるなんて」
〈うむ、見事じゃったな!
今の魔法の操作は凄かったのじゃ!
妨害魔法も上手く使い避けたところにアローを当てるなんて森の中ではできてなかったのじゃからな〉
「ゴブブ!」
ユーグとソタの褒めに照れるブラブであった。ブラブは属性変化による魔力の鍛錬もユーグと一緒に毎日行い、以前より魔力も増え、魔力操作の技術も上がっていた。その上ダンジョンで森の中で生活しているより戦闘を行う回数も増えており、戦う魔物もゴブリンという魔物よりは上位の魔物も多く、ブラブは確実に成長していたのであった。
「あっ、また魔力の反応があった。
うん、これは知らない魔力だからグレーウルフかな」
〈多分そうじゃろな、まぁ目視したらわかるじゃろうから、近づくか〉
ユーグたちは新しい魔力の反応があったところに近づく。
「あれはオオカミ形の魔物だ。
てことはグレーウルフだね」
ユーグの視線の先には灰色のオオカミ形の魔物がいた。グレーウルフはオオカミ形の魔物で名前の通り灰色の毛皮を有しており、主に北部の地域に生息している。グレーウルフの中には氷魔法を使う個体も存在しているが、扱う魔法はホワイトアーミン並なため魔力は強いわけではない。しかしウルフ系の魔物はオオカミ形の魔物のため高い闘争心があり、その上戦闘職でなければ対処できない身体能力もあり討伐ランクがアイアンの中でも上位の方に位置している。グレーウルフから取れる素材は毛皮と爪、そして魔石である。
〈うむ、そうじゃのう。
グレーウルフ1体のみじゃな〉
「1体なら僕がショートソードで戦っても大丈夫かな?
数が多くなければちゃんと動きも見えるしね」
〈まぁ1体だけなら大丈夫じゃろ。
万が一のときのために、ブリューとブラブも付いておればな〉
グレーウルフは1体しかいなかったため、ユーグは1人で近接戦で戦おうと提案する。それにソタは1対1ならユーグでも近接戦で倒せるだろうと考え許可を出す。
〈バインド系の魔法やフォグ系の魔法もなしで行くのか?〉
「うん、ウォーターバインド使っちゃったら楽に倒せちゃうでしょ?
それなら使わずに行こうかな。
でもブラブのダークフォグなら使ってもらった方がいいかもね」
〈それでもいいのじゃが、気をつけるのじゃよ。
オオカミ形じゃからな、鼻は効くのじゃそれだけでもユーグの位置はわかってしまうかもしれん〉
「わかった、じゃあ隠密も使って近づいてから攻撃するよ。
だからブラブは僕が合図を出したらダークフォグを使って」
「ゴブ!」
「よし、じゃあ行くよ!」
作戦会議を終えたユーグは隠密を使い、姿を隠したままグレーウルフに向かう。グレーウルフに気づかれないまま、あと十数歩で剣が届く位置までユーグは近づきブラブに手を使って合図を出す。
「……ゴブゴブ」
ブラブの目の前に濃い黒い霧が現れ、グレーウルフへと向かう。あと少しで霧がグレーウルフに届こうというところでグレーウルフは魔法の存在に気づいた。
「……グルゥワァァ」
魔法の霧を回避するため身体を起こし、移動しようとした時にユーグは隠密状態のままグレーウルフに斬りかかる。その一撃は身体を起していたグレーウルフに避けられる。しかしユーグの斬撃に気を取られていたグレーウルフは霧から目を離していた。その隙を逃さずブラブは魔法の霧を操作してグレーウルフに当てる。
「ブラブ、ナイス!
ハァ!」
「キャイィイン」
黒い霧に視界を奪われたグレーウルフは一瞬我を忘れ、ユーグに対して無防備になる。ユーグはその隙にショートソードでグレーウルフに斬撃を与えるが、直前に臭いで気づいたグレーウルフは回避行動を行い、致命傷は避ける。
「まさか、あれを避けるなんて。
って、うわ!」
致命傷は避けたグレーウルフであったがダメージは喰らっており万全な状態ではないにもかかわらずユーグに襲い掛かる。ユーグはそれをショートソードを使い間一髪で防御する。
「グルッゥウ!」
グレーウルフの口にショートソードを噛ませ自身の身をユーグは守っていた。
「ぐるぅうああ!」
ユーグとグレーウルフは拮抗状態にあり、少しの間その状態が続く、その隙にブリューはグレーウルフに近づきその爪でグレーウルフに襲い掛かる。
「グルゥアアァァ」
ブリューの爪撃が止めとなり、グレーウルフは断末魔の叫びを上げ動きを止める。しばらくしてグレーウルフは黒い霧へと変わり魔石を残した。
明日も20時に投稿します。
平日の5日間は投稿で、
土日はお休みさせていただきます。




