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ーグリムノーデンへー

土日はお休みです

次の投稿は月曜から


「あっそうだ!皆さんに聞きたいことあったんだ!」


 ユーグは先の[熊の腕]の戦闘で初めて見た闘技について彼らに聞こうと思ったのを思い出した。


「うん?なんだ、俺らに聞きたいことって」


「僕さっきのミミックオウルと皆さんの戦いで初めて闘技を見たんですけど、どうすれば闘技って使えるようになるんですか?」


「うーん、そうだなー。

 俺らというか、俺とロッテとカールはどちらかというと魔法が苦手だからな。武器に魔力を流せるようになったら、自然と使えるようになったな」


「ユーグ君は知らないと思うけど、冒険者というか普通の人は魔法を使える人の方が少ないのよ。

 クラウスやニーナのような魔法使い系のジョブが与えられない限り、特別な訓練をしないと使えるようにはならないのよ」


「だから魔法使い系以外の戦闘職になったものは闘技をできるようになるのが最初の目標になるんだが、ユーグは一応魔法使い系のジョブだからな魔法を使えればいいんじゃないか?

 まぁそれでも闘技を使えるようになりたいのなら教えるけどな」


「と言ってもさっきもリーダーが説明したように、本当に武器に魔力を流せるようになったらできただけなんだがな」


「えっ?本当にそれだけなんですか?

 それなら僕もうできるんですけど」


「そうなのか?

 それならできるはずなんだが……武器に魔力を流すと自然とどういう動きをすれば闘技が出せるようになるのか頭に浮かんでこないか?」


「頭に?

 うーん、そんなことは全然なかったと思います。武器に魔力を流したときもいつも通り魔法使うときと変わらないです」


「そうか、まぁ俺らは魔法はそんなに得意じゃないからな。

 逆にクラウスとニーナは闘技ができんしな」


「あら?それならグリムノーデンに着いたらユーグ君に闘技を使ってるところ見せてあげたら。

 戦ってるところじゃゆっくり見れなかったんじゃない?よく観察できたら何かわかるかもしれないしね」


「おー、いいアイデアだな。

 ユーグが魔力を流しているところも見れたら違いもわかるしな」


「それでいいか?ユーグ」


「はい!大丈夫です。でも闘技とか見せてもらっていいんですか?

 それに僕にそんな時間使ってもらうのも何か悪い気が……」


「時間に関しては大丈夫だぞ。俺達も街に戻れば訓練をするときもあるからな。そのついでにユーグも一緒に訓練すればいいさ」


「それに見せるのも初心者向けの闘技だけだからな。威力が強いものや複雑なものは難しいんだよ」


「一つ言っとくとな、どんな気軽な仲の相手でも手の内や奥の手の秘密などは話たりするなよ。

 冒険者でも欲に目をくらむやつがいるからな。場合によっては敵になることもある」


「はい!わかりました!」


 ユーグはニルスたちの提案に遠慮しつつ、その提案を受け入れる。


 ・・・・・


「よし、そろそろ行くか。もう休憩は十分だろ」

 

 しばらく雑談やお茶(と言っても茶葉がないためお湯や水のみだが)を取り、十分に休憩をしたユーグたちは休憩を終えてグリムノーデンに向かうことにした。


「こういう野営地は使い終わったら、ちゃんと火を消して炭や灰も処理しとくのがマナーなのよ。

 忘れないで、1人で使うときは気をつけるのよ」


 移動する前にロッテから野営地でのマナーを教わる。


「わかりました、でもこの石かまどはどうするんですか?」


「ああそれはね、少し形を崩したり、その辺にバラバラさせておいたりすればいいのよ。

 そうすれば次使う人もすぐにかまどを作れるでしょ」


「そうですね、でもそのまま残しておいたりすればもっと楽に利用できるんじゃないですか?」


「それがそういうわけでもないのよねー」


「そうなんだよ、ユーグ。この辺の森は鳥形の魔物が多いんだが、だからといって全く人形のゴブリンなんかがでないわけじゃないんだ。

 頭の良いゴブリンの進化した上位種がかまどなどが残っていると、そこで居座ったり巣を作っちまう場合がある。だから野営地を利用した後は、ちゃんとかまどの形を崩さないといけないんだ」


 ロッテのアドバイスに対してのユーグの質問にニルスが答える。


「おーい、片付けが終わったのならそろそろ行くぞ!」


 片付けを終えたユーグたちにカールが出発を促し、一同は出発した。


 ・・・・・


「うん?あれは?」


 ユーグには遠くの方に何か大きな街のようなものが見えていた。


「ここは草原だからな遠くからでもよく見えるなー」


「ユーグ君、あれが北の辺境都市グリムノーデンですよ。

 ここからでも見えてますが、まだ少しかかりますからね。それに近づくとわかりますが凄く大きな都市なのでビックリしますよ」


 野営地から2時間ほど歩くと辺境都市グリムノーデンの城壁が見えるようになってきた。


「うわー、凄く大きいですね。ここからだと端も見えない!」


「ああ、そうだな城壁内だけでもかなりの人が住んでるんだが、城壁外にも街が拡がっているからな」


 ユーグはそう言われて目に魔力を流しながらグリムノーデンを見ると、確かに城壁外にも街並みが見えた。


「ホントに街が見える!

 えっでもそれじゃ城壁外の人たちは魔物に襲われるんじゃ……」


「いや実はな、そうでもないんだ。

 ここら辺の草原にはそれほど魔物もいないしな。出ても柵くらいで十分な小型のものしか出ないしな」


「それにね、魔の森は逆側に広がってるからこっちまで来る魔物もほとんどいないのよ。

 近づいてみるとわかるけど、グリムノーデンは凄く大きな街だから、壁に沿って反対側に出るのは大変なのよ。ほら、ここから見ても反対側なんて見えないでしょ?」


「うわー、ホントだ!?」


 ユーグの目に見えるのは城壁と街のみでその先にあるであろう魔の森と城壁内の街は見えなかった。


「まぁ柵で守っていてもある程度の魔物は入ってしまうけどな。

 そういう時は俺達冒険者の出番だな」


「そういう依頼は多くある、一応柵の中の依頼ってことでウッドでも受注できるようになってるだ。

 ウッドは一応見習いのランクだからな、街の外の依頼は受注できないんだよ」


「へー、そうなんですね。……えっ、でもあの街外壁の外ですよ?」


「一応あそこは辺境伯領の町扱いの場所なのよ。だから柵の内側は町の領域ってことでウッドランクでも大丈夫になってるのよ。

 それに村の扱いってことは領の統治下にあるから、衛兵とかの見回りもあって意外と安心なのよ」


「他にもほら良く見てみな。柵の中に畑があるだろ?」


「あっ…見えます!」


「かなり広いだろ?

 外壁の外の町がちゃんと整備するようになったのは今の辺境伯のおかげなんだ。あの畑も整備して広がったのもな」


「一応俺たちは外壁内の街で泊まってるし、依頼も外壁内のギルドで、あっそうそうギルドは外壁内と外両方にあるんだ。

 外壁の外のギルドは中のギルドより小さいが機能的には変わらず、ギルドの登録や依頼の受付もしているぞ。

 基本的にはグリムノーデンのギルドで受けた依頼は、二つのギルドどちらでも報告してもいいんだが、俺らが受けた依頼は少し特別でな。外壁内のギルドに報告しに行かないといけないんだ」


「えっーと……そういうこともあるんですね…」


「ほら、そういう細かいことを説明しても今のユーグ君はわからないでしょ。

 ちゃんとギルドに登録してから教えてあげないと。とりあえずはユーグ君も私たちと一緒に報告に来てもらわないと」


「僕もですか?」


「そうよ、会ったときにも言ったけど私たちはあの森の調査に来てたでしょ?

 一応異変の原因みたいな魔物を見つけたけど、詳しい話も知りたいと思うのよ。だから一緒に付いて来てくれる?」


「えっ、ちょっと待ってくれますか?」


 そう言うとユーグは[熊の腕]から離れ、ソタたちに近づく。


「どうする?僕は外壁前の町で十分だったんだけど」


〈そうじゃのう。それでも確かにいいんじゃが、ユーグはグリムノーデンの中は見たくないのかのう?

 まぁ他にも彼らには思惑はあるかもしれんがユーグに悪いことはせんじゃろう。最初に中を見てみても良いじゃないか?〉


「確かに外壁の中見てみたい!そうだね、なんか違かったら出ればいいからね」


 ユーグはまたニルスたちのところに戻り、一緒に外壁内のギルドに行くことを了承した。


「ああよかった。

 ユーグ君たちが来なかったら説明するのは少し面倒だったのも事実だからね。ホントに来てくれてよかったわ」


 それからもニルスに加えロッテとカールもユーグに色々な話をしながらグリムノーデンに向かって歩いてく。それをユーグはありがたく思っていた。


「……([熊の腕]の皆さんは優しいな。冒険者ってやっぱり物語の英雄たちみたいな人たちばかりなのかな?)……」

繰り返しになりますが、

2話投稿は今日までで

土日はお休みして、月曜6月3日から1話ずつ投稿します。

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