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ー冒険者の戦い方ー

21時にも投稿します。


 [熊の腕]の第一手はカールの弓からだった。


「スナイプシュート!」


 前衛のニルス、ロッテがウッドオウルとミミックオウルにギリギリ気づかれない距離まで移動し、後衛のクラウス、ニーナ、カールが攻撃の届く距離に待機してからカールが攻撃した。

 

 その弓の一撃は隠れていたミミックオウルを射抜いた。その一撃はミミックオウルを倒しきれるものではなかったが、しかし闇魔法での隠蔽は解除されその姿が現れた。


「……エリアディフェンスアップ!」


 弓の攻撃が決まった瞬間にニルスとロッテは隠れていた場所から飛び出し、ウッドオウルに駆け出した。またニーナはその瞬間に前衛へ補助魔法をかける。そしてニルスは走りながら持っていた斧をウッドオウル目掛けて投げた。


「トマホーク!」


 斧は回転しながらウッドオウルへ飛び、刃が上手くウッドオウルに当たり、そのまま回りながらニルスの方に戻ってきた。ニルスはその斧を捕まえすぐに構えなおしウッドオウルに相対す。斧の攻撃を受け、ウッドオウルは倒れた


「おら!こっちを見ろ、梟ども!」


「「ホッ!」」


 斧の一撃で[熊の腕]に気づいたウッドオウルたちは、分散してニルスたちを襲おうとするがニルスが盾を構えウッドオウルを挑発し、ニルスに攻撃が集中するようにした。


「ダブルスラッシュ!」


 ニルスにウッドオウルたちが集中しているためウッドオウルたちには隙が生まれていた。その隙をニルスのすぐ後ろにいたロッテが突き、ウッドオウルに双剣で切りかかった。ロッテの攻撃はウッドオウルの生命力を難なく削り、2体の内1体を倒した。

 

「シールドバッシュ!そしてパワースラッシュ!」


「ホ――――!」


 ロッテの攻撃でウッドオウルが倒れてすぐにニルスは盾で向かってくるウッドオウルを迎撃した。そのカウンターが決まり、ウッドオウルがひるんだ隙に斧での強打を加え最後のウッドオウルは沈黙した。


 一方、カールとクラウスはニルスたちがウッドオウルを相対している間、ミミックオウルと戦っていた。開幕のカールの弓でミミックオウルには矢が突き刺さったままであった。

 そのためミミックオウルは自身の姿を闇魔法で隠せても矢までは隠せず、位置はカールたちにバレたままである。カールは最初の一撃は確実にミミックオウルに当てるため威力が弱い技を使っていたため、ミミックオウルの機動力は矢が刺さったものも変わらずにいた。


「アローレイン!」


 ミミックオウルは機動力が全く落ちずに飛び回っていたため、単発で射る攻撃では外す可能性を考慮し範囲攻撃でミミックオウルの動きを制限しつつ確実に矢を当てていた。


「……アースランス×10!」


「ホ――――!」


 カールの弓の攻撃で動きを制限され、矢の集中砲火を浴びたミミックオウルは一瞬止まってしまう。クラウスはその瞬間を狙って土の矢を10本ミミックオウルに向けて放った。土の矢を複数浴びたミミックオウルはその動きを完全に止め、倒されたのであった。


「ふぅ、これで終わりだな。

 まぁこれでミミックオウルが複数この森にいることの確認が取れたな。この森の異変はほぼミミックオウルが原因で大丈夫だが……」


 ニルスはそう言うと森の奥地の方に顔を向ける。


(ミミックオウルは魔境の森に生息している魔物がそれがこの森に現れたということは、魔境の森でも異変が起きたはずなんだが……)


 ・・・

 

〈どうじゃ?ユーグ、冒険者たちの戦い方は?〉


「凄い!僕らの闘い方よりちゃんとしてる。

 それになんか最初の一撃とか魔力が宿った普通の攻撃と違ったものがあったよね?」

 

〈うむ、闘技か、久々に見たのじゃ。〉


「闘技?」


〈ふむ、闘技はな、人が作り編み出した技じゃ。

 魔力を属性に変化させず持っている武器に流し、具現化させ放出することで様々な効果を発揮させることができる技じゃ〉


「へー、僕にも使えるようになるのかな?」


〈もちろんじゃ、ユーグの魔力操作の力量ならほどなく使えるようになるじゃろな。

 というかユーグお前が使ってる剣に魔力を纏わせて切れ味を上げたり、氷の魔力を纏わせるのはほぼ闘技に近いものじゃよ。〉


「えっ!?そうなの!?」


〈そうじゃの、あの剣は普通のものより魔力の通りが大分よいものじゃからな、簡単に具現化した魔力を纏わせられるのじゃ。

 その魔力を具現化させずに剣に流した後具現化し自身のイメージに合わせて放出すれば闘技にすることができるのじゃよ〉


「おー、なるほど。それなら僕にもできそうだね」 


「おーい、こっちはもう解体も終わった。

 早く移動しないと魔物たちが集まって来ちまうから移動するぞ」


 ミミックオウルたちの討伐を終えた[熊の腕]の面々はすぐに倒した魔物たちの解体を始め、ユーグとソタが話している間にその解体も終えていた。


「あっ、はーい。ほらソタも行くよ。」


〈まぁ闘技のことはわしは詳しく知らんからのう、詳しくは冒険者たちに聞くと良いのじゃ〉


「わかった!ブリュー、ブラブ移動するよ」 

 

 ・・・・・


 「おっ、そろそろ森が終わるな。

 森から出たところで少し休憩するか、そこからグリムノーデンまでそんなにかからないからな」


 「わかりました」


 木々がまばらになって先が見通せるほどになってきたところで冒険者パーティー[熊の腕]のリーダーニルスが小休止の提案をした。

 

 ユーグが[熊の腕]と出会ってからすでに2日は経っており、森を出れば辺境都市まであと少しのとこまで来ていた。

 その小休止の提案にユーグもちょうど冒険者たちに聞きたいことがあったため、その提案に乗ることにしたのであった。森の中では魔物もおり、今は異変もあることからユーグはその間質問をすることを遠慮していた。しばらく歩くと完全に木々がなくなり、うっすらと草が生えている草原地帯になっていった。


「ここら辺でいいだろう。

 この一帯の草原地帯には弱い魔物しか出てこないし、見通しも良いからな。魔物の接近にも対処しやすいんだ」


「ユーグ君もグリムノーデンに向かうってことは、そこで生活するつもりなんでしょ?

 それならたぶん最初はこの森で活動することになると思うから、休憩するときや森の浅いところを泊まりで探索するときはこういった野営地を探してからの方がいいわよ。

 この周辺にはいくつもこういった所があるから。ほら今回は使ってないけど、ここに野営の跡が残ってるのよ」

 

「あっ、確かに」

 

 ユーグはロッテからそう言われ、辺りを見回すと石かまどに使っていたであろう石や火起こしのあとを見つけた。


「こういう場所はこの森の周辺や魔境の森の外周部にはよくあるのですよ。

 森の浅いところを探索する時は休憩のために一旦外に出るのも一つの手ですね」


「へー、魔境の森の近くにもこういったところがあるんですね」


「ああ、だが登録したばかりのルーキーな冒険者は行かせてもらえないぞ。

 そもそもグリムノーデンの魔境側の門はランク制限で通せてもらえないがな」


 ニルスとロッテの説明にニーナとクラウスが補足を付け加える。


「だがクラウス、ユーグの腕なら登録時の戦闘試験で初級免除認定になるかもしれんぞ」


「戦闘試験?初級免除?」


(……そうだった、ユーグは最低でも3年森の中にいたんだった。それならドライツェンの常識も知らんかもな……)


「ああ、そうだぞ。

 冒険者登録自体は基本的には13才以上になれば誰にもできるもんなんだが、その際にどのくらい戦えるのかを測る試験みたいなものがある。

 その試験の結果によっては最低ランクのウッドじゃなくその上のランクから登録ができるんだ」


「まぁそれでも、どれだけ強くても飛び級で登録できるランクは決まっているけどな」


「そうなんですね、試験っていうのは戦闘試験だけなんですか?

 その他の例えば何か勉強が必要な試験とかは」


「いや、特にはないな。登録するときに職員に文字の読み書きができるかの確認はされるがな。それだけだぞ。

 まぁ冒険者の中には色々な奴らがいるが、上位のランクになるほど腕っぷしも重要になってくる」


「腕っぷしだけで通用するのも中級のランクまでだな。それ以上のランクには知識や教養も必要だ。

 逆もまた然りで、知識や教養があるだけでもいけるランクが決まってくる。飛び級のランクが決まっているのもそれが所以だな」


「その中でも低ランクの内は特に戦う能力が必要なの。

 冒険者になろうとする者の中にはろくに戦ったこともないものもいるからよ。だから登録時は戦闘試験しかないの」


 ユーグの疑問に、彼の背景を想像し気を使いニルスとクラウスが丁寧に冒険者登録について話し、最終的にニーナが締めくくった説明を行った。

2話投稿は今日までで

土日はお休みして、月曜6月3日から1話ずつ投稿します。

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