ー冒険者ー
21時にも投稿します。
「やった!自分の力だけで倒せたー!」
〈うむ、あれでいいのじゃ。お主の魔力操作じゃったらあれくらいは出来ておったのじゃ。
まぁあまり他人が魔法を使ってるとこを見たことないお主なら中々思いつかんかったかもしれんがのう。魔法は発想と魔力操作次第で自由にできるのじゃ、それを忘れるんじゃないぞ〉
「うん、わかった!」
〈それじゃ解体をするために少し移動をするぞ。
ブリュー、ブラブお主らが倒したウッドオウルをユーグに仕舞って貰え〉
「ぐぅ」 「ゴブ」
ユーグたちはウッドオウルとミミックオウルをユーグの保管庫に仕舞い、その場から移動した。
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〈ミミックオウルはその羽も素材になるからのう。キレイに取るのじゃよ。
少し熱い程度のお湯をかけるといいのじゃ〉
「わかった、先にこのウッドオウルを解体しちゃってから、ミミックオウルを解体するよ。
初めてだから同じ梟形の魔物で練習しないと」
そう言ってユーグはまずウッドオウルを解体し始めた。これまでも何度もウッドオウルを解体していたユーグはすぐに解体を終える。
そしてミミックオウルの解体に取り掛かった。すでに魔法で血抜きを終えていたので、まずユーグは魔法で生み出したお湯でミミックオウルの羽を取りやすくした。羽を全て取った後は他の梟形の魔物と同じ手順で解体を進めていく。食べられる魔物の肉はその魔物の格で美味さが決まる。そのため魔物によっては高額で取引がされるものもあった。梟形の魔物の肉は食べられるものではあるが、食用に狩られる魔物に比べては断然安めに取引される。
ユーグは売るには向かない梟形の魔物の肉は全て自分たちで消費しようと考えていた。ミミックオウルと同じ格の魔物とは今まで戦ったことはなかったので、ユーグはその肉の味を実は楽しみにしていた。
「ふぅ、ちょっと他の梟形の魔物と違って手順が多かったけど、羽に気を付ければあとはフォレストオウルなどと同じだね。
さっきの戦いでいつもより魔力を使っちゃったかな、少し疲れたよ」
〈それなら少し休憩を入れるかの、まぁ魔力感知や生命感知でこの辺には魔物もいなさそうじゃからな。
ミミックオウルがここらでの一番格の高い魔物なら待ち伏せが基本じゃから襲われることもないじゃろ〉
「うん、わかった。ブリューとブラブは水とかいる?」
「ぐぅ!」 「ゴブ!」
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「やっぱりこの森は鳥形の魔物だらけになってるな。
ダンジョンでもないから同一形の魔物だけというのはおかしいよな。依頼の情報通り何かの異変が起きているということか」
「そうよね、この森に入ってから未だに鳥形の魔物しか見ないのは普通では考えられないわね。
それに気づいた?森の奥地というより、魔境に近づくほどに魔物が多くいることに」
「何!?ということはこの異変の元凶はもしかすると魔境の魔物ということか!?」
「ニルス、少しは落ち着け。その可能性は高いがここから魔境までの距離を見ても、魔物は元々いた格のものしか出て来ていない。
だからその元凶となる魔物もそこまで高位ではないだろう。討伐度もシルバーもしくはゴールドランクくらいだろうな」
「それなら私たちでも勝てそうですね。今回の依頼はこの森の調査ですから、それっぽい魔物がいたら報告でいいですよね?
まさか討伐するなんて言いませんよね、兄さん、リーダー?」
「も、もちろんだよな、クラウス?」
「あ、ああ、そうだよ。ニーナの言う通り今回は調査依頼だから、見つけても討伐なんて、なぁ」
「そう?それならいいんですけど。またこないだみたいに調査依頼なのに討伐ばかりしていたら、今回こそはナディアさんに怒られちゃいますからね。
この依頼中はロッテさんとカールさんの言うことを聞くこと良いですね?」
「「はい、もちろんです!」」
「ちょっと寸劇はそのくらいにしてちょうだい。
カールが何か見つけたみたい」
「何、どうしたカール?何を見つけた?」
「この先もう少し行ったところで魔力の反応があった。反応を見たところ戦闘を終えたところって感じだな。
魔力の数は多分4つ。1つは限りなく魔力の反応が薄いな。魔力を感知した時点で追跡の跡を付けたからいつでも追えるけどどうする?」
「グリムノーデンからこの森に来たとしてもここまで来るのは冒険者しかいないが、ギルドの話では今の状況なら浅瀬はまだしも魔境よりの奥まで来るような冒険者はいないってことだからおかしいな」
「他の土地から来たとしても街道を通ってないっていうのも少し変だな。
ニルス、これは様子を見に行った方がいいんじゃ」
「よし、そうだな。カールそれならその魔力の元まで案内してくれ」
「了解した」
*****
「そういえばソタ、ミミックオウルの羽を一応獲ったけどこれって何に使うの?」
〈うん?ああミミックオウルはその姿を木だけでなく色々なものに擬態できるのじゃ。
それはミミックオウル特有の魔力とその羽の効力で行っているものなんじゃが、その魔力と力は死後も残るのじゃよ。それを錬金術や防具に用いれば隠密の能力が上がるものができるのじゃよ〉
「へー、そうなんだ。
じゃあ僕もこれを使って防具とか作ってもらった方がいいのかな?」
〈どうじゃがのう、北の辺境都市にどういう依頼があるのかわからんからな。
とりあえず行ってから決めた方がいいじゃろ〉
「オッケー、わかった。
それであともうちょっと休んだらまた移動し始めようか、早く移動しないと暗くなっちゃうからね。ブリューもブラブもそれでいい?」
「ぐぅ」 「ゴブ」
「平気ならあと少し休憩しようか」
〈うん?これは人の気配?〉
「えっ!?誰かいるの?」
〈うむ、人の気配みたいなのが5つあるのう。
じゃがわしらに襲い掛かってくるような気配じゃないから平気じゃが、どうしたものかのう〉
「こっちから声をかけてみた方が良いのかな?」
〈そうじゃの、このままじゃ埒が明かないからのう。
ちょっと声をかけてみるのが良いじゃろう〉
「わかった、ふぅ、緊張するな。
……よし、行くよ、あのー「そこの少年、少し話を聞かせてくれないか」えっ!?」
「うん?こっちに気づいてたんじゃないのか?
まぁ、とりあえずこちらには攻撃の意思はない。今から姿を見せるからな、こちらは5人だ」
その声を聞くとユーグたちは、声がする方に顔を向ける。そこには1人の人がいた。
格好は防具や武器などを身に着けており、明らかに冒険者と見える格好である。他にも同じようにユーグたちを囲むように4人現れた。
「冒険者?」
「ああ、俺らは冒険者だ。
冒険者ギルドグリムノーデン支部所属の[熊の腕]というパーティーなんだが、君は冒険者ではないのか?
それにその熊形の魔物とゴブリンは君の従魔かい?」
「グリムノーデン?
はい、え、えっーと、ぼ、僕はまだ冒険者じゃなくて、……えっーと国境の町から北の辺境都市に向かっていた途中で、少し前に戦った魔物の解体を終えて休憩を取ってたところです。
あっあとこの子たちは僕の従魔で合ってます。白水色の熊形の魔物がブリューって名前でこのゴブリンはブラブって言います。あとこのモモンガ形の魔物はソタって言います」
「ああ、グリムノーデンは北の辺境都市の名前だよ。
それにしても冒険者じゃないのに、こんな森を歩いてグリムノーデンに向かうなんて。
どうして街道を使わなかったんだ?それと君の名前は?」
「そうだった、僕の名前を言うの忘れてました。ユーグって言います。
えっーと、森の中を進んでいたのは修練のためです。まだまだ狩りや戦うことが未熟なんで、鍛えるために森の中を進んでいました。それにここ3年くらいは森の中に住んでいたので」




