第43話:『血塗られた覚醒(ハイブリッド・ライズ)』
1. (起)
【キヨシの意識の深淵で、銀次が嘲笑いながら独白する。】
銀次 「佐和子が尊き原型だとするなら、お前はさしずめ、初の普及型ってわけだ。……さあ、その不完全な力を見せてみな」
キヨシ 「……佐和子……だと……?」
銀次 「ああ、知ってんだろ?……たった今、おっ死んだガキの母親のことだ……」
【銀次にとってキヨシは『究極の生命体』の完成形への器に過ぎなかった。】
2. (承)
キヨシ 「……佐和子さんにも、何かしやがったのか?」
【佐和子と香織を侮辱されたキヨシの「怒り」が、普及型としての「性能」をオーバーフローさせ、肉体が異形化していく。】
銀次 「おい!勘違いするなよ。やったのは俺じゃねぇ……リチャード・エヴァンスだ」
キヨシ 「……リチャード……だと!?……」
銀次 「そう……アランの実の父親だ……」
3.(転)
バトラー&ヴァレット 「うわあああああぁぁぁあああーー!!!!」
銀次 「ほらほら、てめぇが、ぼぉーっとしてるから奴ら、逃げてんじゃねぇかよ」
【将校が銃口をバトラーとヴァレットに向けた。】
将校 「きっ、貴様らぁぁぁーー!!……こっちに来るんじゃねぇーっ!!」
【まさに引き金を引く瞬間、キヨシが時間を消し飛ばしたかのような残像を起点に残す。】
将校「......えっ......!?」
【バトラーらを一瞬で追い抜き、将校の眼前に音もなく現れたキヨシ。一ーそれは、後にハイブリッド生命体の代名詞となる『時空の断層』が初めて産声を上げた瞬間だった。】
4.(結)
キヨシ 「……おい……俺の獲物を取るんじゃないぜ……?」
将校 「キッ!キヨシィィーッ!!」
キヨシ 「キヨシだぁ?……てめぇ……誰に向かって呼び捨ててやがる……ちゃんと先輩って呼べよ……それに……」
【キヨシは将校の傍らに、力なく横たわったまま動かない、愛おしい恋人の亡骸を見た。】
キヨシ 「(……ハル……)」
【キヨシは目を見開き、鬼の形相で将校の眼球を射抜く。】
将校 「……ひっ……」
キヨシ 「……お前も……俺の獲物だ……」




