第25話:『消された記録、消えぬ遺恨』
1. (起)
【エヴァンス邸・書斎。アランの前に立ち、隠していた過去を突きつけられたキヨシが動揺を見せる。】
キヨシ: 「旦那様……私は……私はお二人を欺くつもりでは……」
アラン: 「案ずるな。キヨシ、全て知った上でお前をこの館に招いたのだ。……これは、ハルの強い要望でもあった」
2. (承)
【『ハルの要望』という言葉に、キヨシが驚きに目を見開く。アランは静かに煙草を燻らす。】
キヨシ: 「ハルの……? 彼女が、私を……?」
アラン: 「ああ。去年の震災で行き倒れていたお前を彼女が見つけたのは、決して偶然じゃない。ハルは最初から、お前を探していたんだ」
キヨシ 「……探していた?……なぜですか……?」
3. (転)
【キヨシの脳裏に、密輸船「紅龍」でのハルの不可解な言葉がフラッシュバックする。】
ハル(回想): 「……『戸山学校』……そこを首席で卒業し、記録から消えた“亡霊”がいると聞いていましたが……まさか、こんなところに……ね?」
キヨシ 「……もしかして……私が亡霊だから……ですか?」
アラン 「ハルは、キヨシ、お前が結果的とはいえ、国に捨てられたことを誰よりも憤っていた。彼女たち会津藩の戦いは……戊辰戦争は……まだ終わっていないのかも知れない」
4. (結)
【アランがデスク越しに、鋭い眼光でキヨシを射抜く。その言葉は重く、逃れられない真実を告げる。】
アラン: 「そして……その通りだ。キヨシ、お前が軍縮の裏で存在を抹消された、陸軍戸山学校の『首席の亡霊』だからだ。だが、お前が軍から狙われているのは、それだけじゃない!」
【アランは一呼吸置くと、声を潜ませキヨシに問いかけた。】
アラン 「キヨシ…お前、何か彼らの秘密を掴んでるんじゃないのか?」
キヨシ: 「…………ッ!」
【衝撃を受けるキヨシのクローズアップ。書斎の影が、彼の過去を飲み込むように深まる。】




