第15話:『逃した獲物』
1. (起)
【硝煙の残る通路。キヨシの襟元を整え、いい雰囲気(?)のハルとキヨシ。そこへ、薄汚れたドレスを翻した香織がひょっこり現れる。】
香織 「あらあら!お取込み中かしら?……私の救出より、ふたりの『世界』の方が大事だったみたいね?」
キヨシ 「お、お嬢様!?ご無事でなによりです!……いつの間に脱出を!?」
ハル 「!?……お嬢様……おひとりですか?」
2. (承)
【胸を張る香織。自慢げに鍵束を指で回してみせる。】
香織 「ふふん、見くびらないで。見張りが油断した隙に、私がどれだけ鮮やかに鍵を奪って逃げ出したか……後でたっぷり聞かせてあげるわ!」
【キヨシは安堵し香織に駆け寄った。】
キヨシ 「さすがはお嬢様だ。本当に良かった……」
3. (転)
【だが、ハルだけは香織の背後の暗闇を見つめ、鼻をひくつかせる。】
ハル 「(おかしい……。うまくいき過ぎている)妙です。お嬢様が通ってきたルートだけ,不自然に人払いができています」
キヨシ 「えっ……?」
ハル 「キヨシさん、足音!足音が近づいている……それも、一人や二人じゃない。軍隊が隊列を組んで歩くような、統率された足音……」
4. (結)
【通路の先から、マフィアの幹部と、武装したソルジャーたちが姿を現す。幹部は優雅に拍手をしながら笑う。】
幹部 「素晴らしい脱走劇だったよ、お嬢さん。おかげで『ネズミ』たちの居場所が一度に分かった。……お前を逃したのは、その勇敢なフットマンとメイドを、一箇所に集めるためだよ」
香織 「……えっ? そんな……」
【絶望に目を見開く香織。キヨシが彼女を庇うように前に出るが、周囲は完全に包囲されていた。】




