十一尾 仲直りと果てしなき夢
2016 085修正
雪夢と戦って数日経った。数日の間寝床はどうしていたんだって? それは母様の能力で隠されていた家に泊まっていたんだ。因みに武家屋敷のような構造だ。
ちなみに雪夢とは決闘以来一度も会っていない。母様が言うには「不貞腐れているだけじゃろ」ということらしい。年頃の少女は難しいな、永琳も反抗的な時期があったよ……
そして今日、最後の妹が来るそうだ。
え? 急すぎるだって? それなら手短に説明しよう。
私が修業を終え旅に出た後に雪夢とその下の妹が生まれたらしい。そのあと何やかんやあって一番下の妹旅に出る、それで今日帰ってくる。以上だ。
「お前は誰に向かって喋っておるんじゃ?」
「お母様、一番下の妹ってどんなん子なんですか?」
「おおぅ、わらわの発言を無視か。オホン、おぬしと雪夢を合わせたようなかわいい子じゃよ」
「そうなんですか……会うのが楽しみだ」
「ただのぅ、最近、紫の式神になったみたいでの……わらわは心配じゃ」
「八雲の?」
「そうじゃよ。もうすぐ紫と一緒に来るぞい」
「はぁ……」
紫の式ね……どんなこなんだ?
――ガラガラ――バタバタ――
ん? 誰かが家に入った? 雪夢か? そうとう慌てているな。
「お母しゃま! ただいまです!」
「おお! お帰り、藍」
も、もしかしてこの子が……かわいい
「は、はじめまして、藍ちゃん」
「あ! 貴女がラグナお姉しゃまですね! はじめましてでしゅ。私は藍でちゅ……あぅ、噛んじゃいました」
噛んで顔を真っ赤にしている子の姿……
「か、かわいい!!」
「ひゃ!?」
「これバカ娘。いい加減にせんか! それと紫隠れてないで出てくるのじゃ」
あいたた。母様、本気で殴らないでも……って八雲はまたかくれているのか。
「あらら、ばれていましたのね。それと藍が私の式になったということも」
む、藍が式になったのはまだ教えていなかったのか。それにしても母様の能力に対して隠し事ができないな。
「ねぇ、藍ちゃん。どうして藍ちゃんは式になったの?」
「それは、紫しゃまが怪我をおった私を看病してくれて『私のところにこない?』って告白されたからでしゅ。あぅ……また噛んだ。あ、一応私から式にしてくれるように頼んだんですよ?」
八雲は幼児趣味なのか? うん絶対に私の巫女には合わせないでおこう。っと八雲に睨まれた。おぉ、くわばらくわばら
その後、八雲、紫と打ち解けお互いにため口でしゃべるようになった……
「ねぇ、ラグナ、天狐」
「なんじゃ?」
「どうした?」
「私の頼みを聞いてもらえないかしら?」
真剣な顔、真剣な眼差し。大きな頼み事か?
「内容次第だな」
「わらわは式になる以外ならいいぞよ」
「わかったわ。内容を話します」
紫の話は自身の夢だった。その夢を簡単に説明すると妖怪と人間が共存できる理想郷を作りたい。そのためにはまず妖怪を説得。次に土地、最後に人間を準備しなくてはならない妖怪はある程度引き込んだのだが土地がないから土地探しを手伝ってくれないかといったものだった。
「共存はとてもじゃないけど無理だな」
「それあ……分かってる! でも私はなんとしてもこの夢を叶えたいの!」
「その心意気、気に入った。分かった、その夢の手伝いをしようじゃないの。土地は任せておけ」
「のぅ。紫、雪夢には言ったのかい?」
雪夢だけ外すのはと思っていたがあの子が人間と共存できると思うだろうか?
「お母しゃま! 私が言ったよ!」
「何と言っておった?」
「考えさせっていってました!」
うーん? 雪夢の考え方が変わったのか?
「そうかならわらわは紫の夢を叶える手伝いをしようかのぅ。まぁ、人間は嫌いじゃが」
「二人ともありがとう。それと藍? これからもよろしくね」
「はいです! 紫しゃま!」
あぁ、それにしても末の妹がかわいすぎて辛い
「これラグナ、女子が鼻から血を流すでない」
おっと、いけないいけない
~その日の夕飯~
「久しぶりに出てきたか。雪夢」
お、雪夢が出てきたようだ。
「久しぶりだな」
「お姉ちゃん、ごめんなさい!」
「ん? ん、ん? え、いきなりどうした?!」
「私、あんなひどいことを言って謝って許される訳じゃないけど本当にごめんなさい!」
もしかしてこの数日間部屋から出て来なかったのは反省していたから?
「別に気にしてないさ、それより早く食べましょう。お腹がないているわよ」
「う、うん」
お腹を鳴らしながら顔赤くする一番目の妹もかわいいな。恥ずかしさで白い肌がちょっと赤くなるのもいいな!
「バカ娘。落ち着くのじゃ! はぁ、全員そろったのう。では『いただきます』」
「「「「いただきます!」」」」
「美味しいです! これ誰が作ったんですか?」
「全部ラグナじゃ」
「ほえ? お姉さまでしたか」
「本当に美味しいわね。ねぇ、ラグナうちの式にならない?」
「式なんて絶対にお断りだ」
「あら、残念」
「ふぇ……紫しゃま……私がきらいになったんですか……?」
や・ば・い! 目を涙でウルウルさせる末っ子も可愛いわ!
「じょ、冗談よ。私は貴女が一番大事よ、だから、泣かないで?」
「なら、ぎゅーってしてください」
「わかったわ。おいで、藍」
つづく
この時、狐親子は
(いちゃつくなら家でやってほしいのぅ)
(やっぱり紫は幼児趣味があるのか)
(私もお姉さまとあんなことやこんなこと……フフ)
(ふぁ!? なんだ、寒気が)
2016 修正




