第4章 — 「女神からの贈り物」
第4章 — 「女神からの贈り物」
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朔継は、目の前の透明な画面を見つめていた。
四つの品がそこに表示されている。四つの画像——三つは見覚えがあり、一つは見覚えがない。しかしすべてはっきりと見え、横には詳細なスペックが読める文字で記されている。
彼はすぐには反応しなかった。
一つひとつを読み込んだ。
最初の贈り物。
iPhone 17 Pro Max 5G
自分のものだ。
毎日使っていたスマホ。あの夜、歩きながら握っていたもの。ズボンのポケットに入れたときの重みを、まだ覚えている。
しかし画面に表示された画像は、何かが違っていた。外見は同じだ——チタニウムブラック、背面の三眼カメラ、傷ひとつない画面。しかしその下に、小さな文字が書かれている。
【改修済み — 超常統合仕様】
【世界システム対応】
【インターフェース:EARTH ARCHIVE】
朔継は眉をひそめた。
「これ、俺のスマホか?」
ゲネシスヴァは優しい微笑みを浮かべてうなずいた。
「はい。あなたの魂を救うときに、一緒に回収しました。」
彼女は手を上げ、掌の上に物体が現れた。
iPhone 17 Pro Max 5G。
チタニウムブラック。
傷ひとつない画面。
記憶のままのものとまったく同じだ。
しかしゲネシスヴァがそれをそっと投げると——朔継は反射的に受け止めた——何かが違うと感じた。スマホが温かい。まるで内部に脈動があるかのように。生きているかのように。
「……変な感じがする。」
「ああ、それですか。」
ゲネシスヴァは微笑んだ。
「あなたのスマートフォンは、この世界のシステムと統合されました。」
「単なる通信機器ではなく、あなたの能力の一部になりました。」
彼女は近づき、まだ暗いスマホの画面を指さした。
「電源を入れてみてください。」
朔継はサイドボタンを押した。
画面が点灯する。
しかしいつものようではない。
時計と通知が表示されるロック画面ではない。
まったく新しいインターフェースだった。
【EARTH ARCHIVE】
榊宮朔継様、ようこそ。
システム初期化完了。
祝福確認済み。
無限魔力検出済み。
全システム稼働中。
朔継はその画面を見つめた。
見覚えがあるようで、まったく見覚えがない。
「これは——」
「あなたのスマートフォンは、『EARTH ARCHIVE』のインターフェースになりました。」
ゲネシスヴァは誇らしげに微笑んだ。
「地球の知識、地球の物資、地球の技術——すべて、この端末を通じてアクセスできます。」
朔継はスマホを握りしめた。
重さは同じだった。
しかしその存在感は——違っていた。
単なるスマホよりもはるかに大きな何かを握っているかのようだった。
彼は画面を消し、ポケットにしまった。
「わかった。次だ。」
ゲネシスヴァが手を上げると、透明な画面が切り替わる。
二つ目の贈り物。
M16ライフル
原産地:地球/アメリカ合衆国
状態:新品
弾薬:5.56×45mm NATO
装弾数:30発
改修:魔力適合弾薬システム
数量:1丁 + 予備マガジン10個
朔継はその武器の画像を見つめた。
彼は銃に詳しいわけではない。しかしM16は知っている——映画やニュースによく登場するアサルトライフルだ。近代的な武器。致死性の高い武器。
「……これ。」
「防護用です。」
ゲネシスヴァは先ほどよりも真剣な口調で語った。
「この世界には、危険な生物がいます。あなたは無限の魔力を持っていますが、それを全て使いこなせるわけではありません。最初のうちは、物理的な武器も必要でしょう。」
彼女は手を差し伸べ、M16が彼らの前に現れた——空中に浮かび、冷たい金属の輝きを放っている。
「弾薬も魔力で生成されます。地球の銃弾を召喚する必要はありません。」
「ただし——」
彼女は真剣な眼差しで朔継を見た。
「——この武器は、最終手段です。見せびらかすものではありません。」
朔継はうなずいた。
理解している。
地球の技術——特に武器——は、まだ剣と魔法を使う世界では問題になる。
彼は空中に浮かぶM16を受け取った。手の中でしっかりとした重みを感じる。冷たい金属。効率的で致命的なデザイン。
それを【収納】にしまった——一瞬で消えた。
「次だ。」
ゲネシスヴァは微笑んだ。
三つ目の贈り物。
魔剣 — 未命名
クラス:英雄剣級
原産地:ゲネシスヴァ
素材:不明
付与魔法:高位魔力増幅
状態:未使用
戦闘力:伝説の英雄剣に匹敵
朔継はその剣の画像を見つめた。
形状は簡素だ。過剰な装飾はない。刀身は淡い白い光を放っている——彼の新しい身体にあった光と同じように。柄は黒い革で巻かれ、基部には小さな石が埋め込まれており、心臓のようにゆっくりと脈打っている。
「剣か。」
「英雄の剣です。」
ゲネシスヴァが手を上げると、剣が彼らの前に現れた。
M16のように浮かんでいるわけではない。
剣は空中に直立し、まるで主を待つかのようだった。
「この剣は、あなたの魔力に反応します。あなたが強くなればなるほど、この剣も強くなります。」
「扱いやすくするために、重さも調整されています。あなたにとっては、ほとんど重さを感じないでしょう。」
朔継は柄を握った。
剣は軽かった。
とても軽い。
武器というよりペンを握っているかのようだ。
しかし一度振ってみると——試しに——空気が鋭い音を立てて裂けた。その剣の中に何かがある。眠っている力が。
「……ただの剣じゃないな。」
「いいえ。これは、あなたのために作られた剣です。」
朔継はそれを【収納】にしまった。
もう一つ。
四つ目の贈り物。
トヨタ・ハイラックス・ダブルキャブ — 完全探査仕様
原産地:地球/日本
モデル:2026年式
エンジン:2.8L ターボディーゼル(魔力変換済み)
駆動方式:四輪駆動
改造内容:
・オフロードサスペンション
・アンダーボディプロテクション
・オールテレインタイヤ
・統合収納システム
・ウインチ(12,000ポンド)
・LEDライトバー
・航法システム(世界対応)
・エンジンプロテクション
・スノーケル
・ルーフラック
・追加燃料タンク(魔力変換済み)
状態:新品
燃料:魔力(自動変換)
数量:1台
朔継はその画像を見つめた。
トヨタ・ハイラックス。
世界的に有名な伝説のピックアップトラック。頑丈だ。壊れにくい。戦場でも、砂漠でも、極地でも——どこでも使われている。
そしてこのバージョン——完全探査仕様——はまるで怪物のように見えた。
巨大なタイヤ。高いサスペンション。ルーフのLEDライト。フロントのウインチ。ボンネット横のスノーケル。キャビン後部のラック。
あらゆる地形に対応できる車両だ。
「……これ。」
「あなたの移動手段です。」
ゲネシスヴァが手を上げると、ハイラックスが彼らの前に現れた。
幻影ではない。
画像ではない。
実物の車両だ。
白いボディに黒のアクセント。深い溝のあるオールテレインタイヤ。野獣の目のように輝くLEDライト。
この空間——境界のない白い広間——がそれを収めるのに十分な広さだとはいえ、朔継はそれでもこんな巨大な車両が目の前に現れたことに驚いた。
彼は近づいた。
ボンネットを叩いた。
冷たい金属。
本物だ。
「これ、使えるのか?」
「もちろんです。」
ゲネシスヴァは微笑んだ。
「エンジンをかけてみますか?」
朔継はうなずいた。
ドアを開ける——本物の車のように、金属のドアハンドル、しっかりしたヒンジ——そして運転席に座った。
革張りのシート。
近代的なステアリング。
ナビゲーション画面のあるダッシュボード。
彼はスタートボタンを押した。
エンジンがかかる。
ブルルルルルルル——
重低音のディーゼルエンジン音が、境界のない白い広間に響き渡る。エンジンの振動がシートを通して、ステアリングを通して、彼の身体に伝わる。聞き慣れた音。その音は彼に——死んで以来初めて——自分がまだ知っている世界にいるという感覚を与えた。
朔継はダッシュボードを見つめた。
ナビゲーション画面が点灯する。
地図は空白——この世界のデータはない。
しかしコンパスは動いている。
スピードメーターも動く。
燃料計は満タンを示している。
「……本物だ。」
ゲネシスヴァは運転席の窓の脇に立ち、満足そうな微笑みを浮かべて彼を見つめた。
「音まで消してしまったら、車ではなくなってしまうでしょう?」
朔継はエンジンを切った。
静寂が戻る。
彼は降りてドアを閉めた。
「どこにでも持って行けるのか?」
「はい。もちろん、道路がなければ難しいかもしれませんが——あなたの能力を使えば、道も作れます。」
彼はハイラックスを【収納】にしまった。
車は一瞬で消えた。
朔継は白い空間に立ち、【収納】に三つの贈り物を、ポケットに一台のスマホを収めていた。
彼は感じた——初めて——自分が本当に新しい世界への準備ができたのだと。
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「他にあるか?」
ゲネシスヴァは微笑んだ。
「はい。もう一つ、説明しなければならないことがあります。」
彼女は手を上げ、透明な画面が再び切り替わる。
今度は金属のコインの画像が表示された。
世界の通貨
標準コイン制度:
・プラチナ貨1枚 = 金貨100枚
・金貨1枚 = 銀貨100枚
・銀貨1枚 = 銅貨100枚
概算価値:
・銅貨1枚 = 約100円
・銀貨1枚 = 約10,000円
・金貨1枚 = 約1,000,000円
・プラチナ貨1枚 = 約100,000,000円
朔継は無表情でその画面を見つめた。
「……でかい数字だな。」
ゲネシスヴァは小さく笑った。
「あなたの世界の通貨と比較すると、確かにそう見えますね。」
「しかし、この世界ではこれが標準です。パン一斤が銅貨数枚程度、宿屋一泊が銀貨数枚、武器一振りが金貨数十枚——それが相場です。」
彼女は手を差し伸べ、掌の上に小さな袋が現れた。
濃い茶色の革製の袋、しっかりと結ばれた紐付きだ。
「これは、あなたへの贈り物です。」
朔継はそれを受け取った。
重い。
思っていたより重い。
紐を解いた。
中には——
輝くコインが入っていた。
十枚。
プラチナ色。
見たことのない銀白色の光を放っている。
「……これがプラチナ貨か?」
「はい。プラチナ貨です。一枚で金貨百枚分の価値があります。」
「あなたがこの世界で生きていくための、初期資金です。」
朔継はそのコインを見つめた。
十枚のプラチナ貨。
十億円。
途方もない価値。
初心者が持つには大きすぎる。
「……多すぎる。」
「足りない時は、また召喚すればいいでしょう?」
ゲネシスヴァは微笑んだ。
「あなたは『EARTH ARCHIVE』を持っています。必要なら、いつでも通貨を追加できます。」
「しかし、最初のうちは現地の通貨を使う方が安全です。不自然に大量の貨幣を使えば、怪しまれるでしょう。」
朔継はうなずいた。
その理屈はわかる。
彼はコインの袋を【収納】にしまった。
「他に知っておくべきことは?」
ゲネシスヴァはしばし考えた。
「そうですね……一つだけ。」
彼女は真剣な表情で朔継を見た。
「この世界には、あなたが知っている『地球のお金』は通用しません。」
「円もドルもユーロも、ここではただの紙切れです。」
「だからこそ、私はプラチナ貨を用意しました。」
朔継はうなずいた。
もっともだ。
異世界で円を支払うわけにはいかない。
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
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沈黙が流れた。
朔継はゲネシスヴァの白い空間に立ち、【収納】に四つの贈り物を、革袋に十枚のプラチナ貨を、ポケットにiPhone 17 Pro Max 5Gを収めていた。
彼はより準備ができていると感じた。
より落ち着いている。
これから向かう旅の地図を手に入れたかのように。
「それで、今——」
ゲネシスヴァが手を上げた。
「まだです。」
朔継は瞬きをした。
「まだ?」
ゲネシスヴァは謎めいた微笑みを浮かべた。
「あなたに贈り物は、まだ終わっていません。」
彼女は両手を上げた。
そして朔継の前に——
はるかに大きな透明な画面が現れた。
物品のリストではない。
車両のスペックでもない。
システムだ。
【EARTH ARCHIVE】
カテゴリー選択:
□ 車両
□ 食料
□ 衣類
□ 道具
□ 機械
□ 書籍
□ 医薬品
□ インフラ
□ 設計図
□ 技術
□ 日用品
□ 武器
□ 原材料
□ 種子・農業
□ エネルギー
□ 部品
□ 家具
□ 建材
朔継はその画面を見つめた。
目は一つのカテゴリーから次のカテゴリーへと移動する。
地球のすべてのもの。
すべてにアクセス可能。
すべて召喚可能。
「……これ。」
「これが、あなたの本当の力です。」
ゲネシスヴァは優しくも深みのある声で語った。
「あなたは地球の知識と物資を、この世界に持ち込むことができます。」
「食べ物。道具。機械。本。薬。そして——」
彼女は一つのカテゴリーを指さした。
【インフラ】
「——都市そのものさえも。」
朔継は沈黙した。
その画面を見つめた。
都市。
文明。
新しい世界。
すべてが指先にある。
「……大きすぎる。」
ゲネシスヴァは微笑んだ。
「ゆっくりでいいですよ。」
「あなたには、無限の時間があるわけではありませんが——少なくとも、急ぐ必要はありません。」
彼女は手を下ろした。
画面が消える。
そして朔継の背後で——
ポータルが開いた。
金色の光が内部から溢れ出ている。
その向こうには——
青い空。
白い雲。
緑の草。
新しい世界。
「さあ。」
ゲネシスヴァは輝く金色の瞳で彼を見つめた。
「あなたの新しい人生が、始まります。」
朔継はそのポータルを見つめた。
そしてゲネシスヴァを見つめた。
そしてポケットの重みを感じた——iPhone 17 Pro Max 5G。
アースアーカイブ。
能力。
贈り物。
すべて揃っている。
すべて準備ができている。
彼はうなずいた。
「……行く。」
ゲネシスヴァは微笑んだ。
別れの前の、最後の微笑み。
「好きなように生きなさい。」
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【次章 第5章 — 「EARTH ARCHIVE」へ続く】
朔継はポータルへと歩みを進めた。
しかしゲネシスヴァはもう一度手を上げた。
彼の前に透明な画面が現れる。
「一つだけ、試してみませんか?」
朔継は立ち止まった。
その画面を見つめた。
画面には——
【召喚】
検索:[ ]
カテゴリー:[ ]
ゲネシスヴァは微笑んだ。
「あなたの『EARTH ARCHIVE』が、本当に動くかどうか——」
「——確かめてみましょう。」
朔継はスマホの画面を見つめた。
そして目の前のポータルを見つめた。
新しい世界が待っている。
しかしゲネシスヴァはまだ、もう一つだけ見せたいものがあった。
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【第5章へ続く……】




