第38章 — 「初めての食卓」
第38章 — 「初めての食卓」
視点: 榊宮朔継 — 一人称限定視点
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太陽が西に傾き始めていた。
黄金のオレンジ色の光がリビングの大きな窓から差し込み、木製の床に光の模様を作り出している。俺たちの家——始原島で最初の家——が温かく感じられ始めている。それは日差しのせいだけではない。私たちがその中にいるからだ。
俺は台所に立っていた。
台所は完全装備だ——コンロ、オーブン、冷蔵庫、流し台、調理台。すべて家と同時に出現し、すぐに使える状態だ。冷蔵庫を開ける——もちろん空っぽだ。中には何もない。
しかし俺にはアースアーカイブがある。
俺はスマホを取り出した。
【EARTH ARCHIVE — 食料カテゴリー】
検索:米
該当件数:9,431件
検索:野菜
該当件数:12,847件
検索:肉
該当件数:8,234件
検索:調味料
該当件数:5,678件
俺は順番に選んだ。
日本米——コシヒカリ、5kg。
野菜——ニンジン、タマネギ、ジャガイモ、トマト、ホウレンソウ。
肉——鶏肉、牛肉、豚肉(適量)。
調味料——塩、コショウ、醤油、油、味噌、だし。
すべてが瞬時に台所のテーブルの上に現れた。
家の中を探検していたミレルが台所に入ってきて、テーブルの上の食料の山を見つけた。
「……朔継さん! すごい量!」
「夕食のためだ。」
「何を食べるの?」
「俺が料理する。」
「手伝ってもいい?」
俺は彼女を見た。少女は期待に満ちた目で立っている——関わりたい、何かの一部になりたいという欲求。
「……野菜を洗ってくれるか?」
「はーい!」
ミレルは流し台へ走り、慎重にニンジンとジャガイモを手に取った。彼女は熱心に洗い始め、時々これでいいかと尋ねてくる。
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数分後、レイヴナが台所に入ってきた。
鼻をひくつかせ、調理が始まった料理の香りを嗅いでいる。
「……いい匂いがするな。」
「ちょうどいいタイミングだ。」
「飯の時間にはいつも間に合うようにしてる。」
レイヴナは台所の椅子に座り、興味深そうな金色の瞳で俺の調理を観察した——純粋な好奇心だ。彼女はこんな調理法を見たことがない。
「それ何だ?」
「卵焼きだ。」
「卵焼きって何だ?」
「卵を溶いて焼いたものだ。」
「……簡単そうだな。」
「だが美味い。」
レイヴナはその工程を注意深く観察した。俺がフライパンに卵を流し入れ、ジュッという音を立てると、狼の耳がピクッと動いた——新しい音に惹かれて。
「……こんな料理は見たことがない。」
「気に入ると思う。」
「確かか?」
「確かだ。」
信頼が俺たちの間に芽生え始めている——俺が何をしているか分かっているという信頼が。
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エイリウェンが台所の入り口に現れた。
彼女は旅装束からより普段着に近い服装に着替えていた——白いリネンのシャツにシンプルな長いスカート。銀白色の髪は耳の後ろに整えられている。
「……変わった匂いがします。」
「これは故郷の料理だ。」
「故郷の?」
「ああ。日本の。」
エイリウェンは眉をひそめた——深い好奇心だ。
「日本……変わった名前ですね。」
「そのうち慣れる。」
エイリウェンはテーブルに座り、調理の工程を注意深く観察した。エメラルドグリーンの瞳が俺の一挙一動を追う——野菜を切る動作からスープをかき混ぜる動作まで。
「……慣れているのですね。」
「地球では一人暮らしだった。料理を覚えざるを得なかった。」
「一人暮らし? 十八歳で?」
「ああ。」
エイリウェンはそれ以上は尋ねなかった。しかしその目に共感が見えた——俺もかつて一人で生きていたことを理解している。
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俺は料理を完成させた。
温かい白ご飯。
豆腐と海苔の味噌汁。
卵焼き——たまごやき。
シンプルな味付けの焼き鳥。
茹で野菜——ニンジン、ジャガイモ、ブロッコリー。
軽いドレッシングの小さなサラダ。
すべてが食卓に並べられた。
ミレルは目を輝かせて自分の席に座った——この家、そして私たちへの愛着が強まっている。レイヴナはすでに箸を手に取り、始めるのを待ちきれない様子だ。エイリウェンは静かに座り、すべての準備が整うのを待っている。
俺はテーブルの上座に座った。
「……いただきます。」
ミレルが歓声を上げた。
「いただきます!」
レイヴナとエイリウェンもそれに続いた。言葉自体はまだ慣れないながらも、丁寧に。
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新しい家での最初の夕食。
ミレルは夢中で食べ始めた——たまごやきを一口食べて目を見開く。
「……これ、美味しい!」
「気に入ったか?」
「だいすき!」
純粋で、無邪気で、無垢な喜び。それを見て俺は微笑んだ。
レイヴナも料理を楽しんでいる。彼女は焼き鳥をあっという間に平らげ、次から次へと手を伸ばす。
「……これ、好きだ。」
「何が?」
「全部だ。」
レイヴナは金色の瞳で俺を見つめた——めったに見せない満足感。
「……お前、料理ができるんだな、朔継。」
「当然だ。」
「ここで飢えることはなさそうだ。」
「ない。」
レイヴナは微笑んだ——口元に小さな牙を見せて。
エイリウェンはより静かに食べているが、楽しんでいるのが分かる。彼女は味噌汁をゆっくりと味わい、初めての味を一つ一つ確かめている。
「……これは違いますね。」
「どう違う?」
「味が……温かい。世界樹で食べていた料理とは違います。」
「世界樹の料理はどんな感じだ?」
「優雅です。でも冷たい。形式的すぎる。」エイリウェンは俺を見つめた。「これは……家庭的な料理です。」
エイリウェンとこの家との間に愛着が芽生え始めている。
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夕食の後、俺たちはリビングに座った。
ミレルは床でぬいぐるみと遊んでいる。レイヴナは窓辺に座り、暗くなり始めた夜空を見つめている。エイリウェンはランタンの光の下で本を読んでいる。
俺は椅子に座り、彼ら全員を見つめた。
これが俺の新しい家族だ。
自分で選んだ家族。
守るべき家族。
俺は深く息を吸い込んだ。
人生で初めて、帰る場所を持っていると感じた。
ミレルが近づいてきた。
「朔継さん……」
「何だ?」
「明日は何を作るの?」
俺は微笑んだ。
「明日は畑を作る。」
「畑?」
「ああ。自分たちで野菜を育てるんだ。」
ミレルは歓声を上げた。
「手伝う!」
「もちろん。」
ミレルは満面の笑みを浮かべた——明るい希望、強い愛着、そして純粋な喜びが混ざり合って。
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【次章 第39章 — 「庭から始めよう」へ続く】
翌朝、ミレルがドアを開けると、家の横に広がる空き地が見えた。「朔継さん…畑が作れる?」朔継は微笑んだ。「今日から始める。」始原島で最初の畑がまもなく作られる。
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【第39章へ続く……】




