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微笑む少年


旅館を出ると

私たちは並んで歩いた。


歩いたといっても

少年は浮いたままだが。


「名前、なんて言うの?」


「伊藤咲子よ」


「咲子さんか、よろしくね」


「あなたの名前は?」


「俺は蒼だよ」


「そう。蒼くん、よろしくね。

 ところでさっきの話だけど」


「神隠し神社でしょ。

 ここ5年くらいで子どもが3人消えてる」


「3人も?」


「そう、でもそれだけじゃないんだよね」


「なに?」


「そこに住みついてる悪霊の仕業って話だよ」


悪霊・・・。

祖母の仕事は主に悪霊のお祓いだった。


しかし

それはあくまで祖母が霊媒師だから出来たことで

霊が見えるだけの私は何も出来ない。


「蒼くん、もし勘違いしてるようなら言うけど

 私、それに関して何も力になること出来ないよ」


ごめんね、と

謝ってみせると


蒼くんは


「そうなんだ。

 でも、咲子さんて霊感すごく強いよね。

 俺と普通に会話してるんだもん。

 何も出来ないことはないんじゃないかな?」


と微笑む。


それは、魅力的な笑顔だったが

悪魔の微笑みのように見えた。


そして「ほら、ここだよ」と

今にも崩れ落ちそうな神社を指差した。


「この神社、神隠し騒動があってからは

 人が近づいていないみたいだけど、

 以前は子どもの遊び場所だったんだ」


周りを見渡すと

神社の周囲は大きな竹林に覆われていて

神社の外からは中は見えないことが予想された。


「ここで子どもが3人もねぇ・・・」


確かに、

いかにも神隠しが起こりそうな場所だ。


「咲子さん、どうする?」


「どうするって?」


「神隠しの正体を暴いてやろうよ」


「はぁ?

どうやってよ」


「俺、咲子さんとなら出来ると思うんだ。

 ねぇ、ダメかな?」


辛そうな表情をして

蒼くんが訴えてきた。


そんな顔をしないでほしい。

私こう見えて意外とお人好しなんだから。


「いいわ、

 出来る限りのことやってみる」


私が頷くと

さっきまで泣きだしそうな顔をしてた

蒼くんの表情はころっと変わって


「そうこなくちゃね」


と、また悪魔のような笑顔を見せた。


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