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ただの子爵令嬢ですが、なぜか王子の恋愛相談役になりました  作者: はくまいキャベツ
第八章 ただの子爵令嬢ですが、なぜか王子の恋愛相談役になり、王子の側近に恋をしました

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4

 


 いよいよブレーデンと約束した時間となった。


 ダリアはできるだけめかし込んで、勿論あのブローチも身につけた。そして手紙に書かれていた待ち合わせ場所へと向かう。


「いらっしゃいませ。お久しぶりです、お嬢様」

「お久しぶりです」


 そこはジョシュア達が初めてデートをした、例のコーヒー店だった。相変わらず優しい表情の店主が、ダリアを迎える。


「本日も貸切にしておりますので、ごゆるりとお過ごし下さい」

「…はい」


 まさかそんな事をしてくれているとは思わなかったダリアは、更に心を躍らせる。思わず笑みを浮かべながら二階へ向かった。


 前回訪れた時と、装飾が変わっていた。相変わらず異国を感じさせる独特の雰囲気に、ダリアは目を輝かせる。


 どうやら中央に置かれているテーブルが、自分たちの席の様だ。近づいてみると、卓上を彩る飾りの中央に、小さな箱がひとつ置かれていた。


 ダリアの心臓が跳ねる。手に取ろうとした時だった。


「ダリア」


 愛おしい声が聞こえて、ダリアは振り返る。


「ハノーヴァー卿…」

「まだそんな呼び方なのか」

「え?」

「名前でいい」


 呆れた様子のブレーデンに、ダリアは恥ずかしげに言った。


「…ブレーデン」

「それでいい」


 嬉しそうに微笑んだ後に、ブレーデンはダリアが手に取ろうとしていた小さな箱に目を移した。


「あの…これって」


 思わず問うたダリアに、ブレーデンは静かに言った。


「ずっと後悔していた事がある」

「後悔…?」


 ブレーデンはゆっくり歩を進める。


「いくら自覚していなかったとはいえ、何も考えずに君にアクセサリーを送ってしまった事だ」


 ダリアは思わずブローチに触れた。横に並んだブレーデンはそれを見て、ふ、と笑う。


「あの時は本当に焦った。と同時に、とても悔やんだ。もうその時から私は、君に夢中になっていたんだろう」


 ブレーデンが小さな箱を手に取り、封を開ける。そしてダリアに跪いた。


「ダリア、君を愛している。その証として、この指輪を贈らせてくれ」


 その小さな箱の中には、指輪が入っていた。ダリアは呆れた様に笑いながら言う。


「仕切り直すって、こういう事ですか」

「ああ、そうだ」

「もう…本当に、面白い人ね」


 ダリアはブレーデンに手を差し出す。


「私もあなたを愛しています。ぜひ受け取らせて」


 ブレーデンはダリアの薬指に、指輪を嵌める。ダリアは指先に輝く指輪に、しばらく見入った。


「七宝焼きの小さな石がついてる」

「そうだ。それを探すのに手間取ってな」

「別に何でもいいのに」

「せっかくだから、君が気に入りそうなのをと思って」

「変な所でこだわるのね。ねえ、私も仕切り直していい?」

「何…」


 ダリアは、ブレーデンが言い終わる前に抱きついた。ブレーデンは目を瞬く。


「いきなり抱きしめてきたの覚えてる?びっくりしたんだから」

「す、すまない…」

「いつも振り回されてばっかりだったけど、これからはそうはいかないから」


 そう言ってダリアは背伸びをすると、チュッとブレーデンの頬にキスをした。


 二人は目が合い、お互い吹き出す。そしてどちらからという事もなく、口付けあった。


 数年後、ジョシュアとエマリエルの間に小さな王子が誕生した。その王子には既に頼れる側近がいて、近々生まれてくるそうだ。



 Fin.



お読みいただきありがとうございました。

活動報告の方に後書きの様なものを書いておりますので、ぜひご覧ください。

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