Ep:98 確認
ようやく王宮を超えた頃、既に太陽は真上まで昇っていた。剣聖様に言われた時間はお昼過ぎ。少し急がないといけない。少し歩く速度を上げて、無心で暫く歩いた。
やがて、王都の中心の屋敷が立ち並ぶ地域へと着いた。この地域のどこかに剣聖様の屋敷がある。地図は持って来たけど、始めて来る上に入り組んでいてよく分からない。
「ここどこだ…?」
僕は呟き、地図と正面を交互に見ながら目的の屋敷へと向かう。そして、ようやく剣聖様の屋敷を見つけた。
「これが剣聖様の屋敷…」
大きな鉄柵の門の前で、僕は見上げながら呟く。周りの屋敷と比べても、一際豪華な造りの御屋敷。僕は門を押し開けて、玄関扉の前まで進んだ。ノッカーを三回叩き、返事が帰って来るまで待った。
少しして扉が開き、中から剣聖様が出て来た。
「やぁ、よく来たね。疲れたろう?取り敢えず上がりたまえ」
「お邪魔します」
僕は少し警戒しながら、それを悟られない様に中に入った。広い玄関は吹き抜けになっており、二階から見下ろせる造りになっていた。
「談話室まで案内するよ。付いて来てくれ」
そう言って剣聖様は奥へと進んで行く。僕もそれに付いて行く。幅の広い廊下を進み、宣言通り談話室に通された。
「少し待っていてくれ。紅茶を淹れて来る」
「ありがとうございます」
剣聖様はそう言って部屋を出る。僕は部屋の中を見回した。特に怪しい物は見つからない。部屋を照らす光を入れる窓の外には、花壇の花が見えた。
少し待って、剣聖様が戻って来る。その手のトレイの上には紅茶の入ったカップと、お皿に乗ったケーキが二つずつあった。
「このケーキはつい最近できた店のものなんだ」
説明しながら剣聖様は紅茶とケーキをトレイから下ろす。
「このケーキ、凄く高いんじゃないですか?」
僕はふと疑問に思った事を口にする。
「まぁそれなりにね。私も食べたかったから良いんだよ」
「そうですか…」
剣聖様が座り、僕は紅茶に口を付ける。
「さて…いきなり本題に入るのだが。ライト君、国王陛下が君に牙を剥く存在だったのは確かなんだね?」
「はい。始めは僕の質問に対して「味方だ」と言って居ました。でも、その場に居たアオイが鎌を掛けると、一転して敵だと言いました」
「そうか…同じ英雄の血を引く者として残念な限りだ…」
剣聖様はそう言って溜め息を吐く。
「そして、毎回の様に突然フードを被った女が現れると言うのも本当かい?」
僕は頷いて答える。
「その女は魔力も出さずに突然現れたり消えたりするんだったかい?」
「はい。高速移動でも無く、瞬間移動でもありませんでした。本当に突然目の前に現れて…」
「分かった。私の方でも調べてみよう。陛下の事も銀髪の女の事も。力が必要な事があれば、何でも言ってくれ」
「ありがとうございます」
僕は剣聖様にそう言った。




