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白銀の忌まれ血  作者: 影乃雫
第一章 少年編
9/310

Ep:9 暴走 *

 スワードさんと出会ってから三日が経った。


 それなりに広いけど人通りの少ない道で、毎日素振りと基礎運動の繰り返し。


 本当にこれで強くなれるのかな……? 何より腕がはち切れそうなくらいに痛い。


「おい」


「はい……?」


「持って見ろ」


 スワードさんは最初と同じ様に僕に剣を投げる。


 咄嗟に手を伸ばすけど、腕が痛いし受け取れる気がしない……。


 一瞬腕に痛みと重みが来る。でも意外と受け止める事が出来た……。


「持てるようになったか。その調子なら足も鍛えられている筈だ。一度木剣で斬りかかって来い」


「は、はい……」


 木剣を構えてスワードさんを見据える。


 そしてスワードさんに向かって跳んだ。


 木と木がぶつかり合う音がして僕の動きが止まる。


「あれ……? 当たってる……」


「それが素振りと基礎運動の賜物だ」


「凄い……」


 それ以外の言葉が出てこなかった。


 強くなれるのか心配だったけど、成長を実感できる。


「ある程度は成長したがそのままでは下っ端の兵士を倒せるかどうかという程度だ。もっと俺に斬りかかって来い」


 僕はスワードさんに何度も木剣で斬りかかった。


 その度に攻撃の速度が速くなっていくのを実感して、左右からスワードさんに斬り込んでいく。


「次からは手加減するが反撃する。防いでみろ」


 僕は頷いてスワードさんに斬りかかる。


 スワードさんは防ぐと同時に木剣を弾いてきた。僕はその力に吹き飛ばされる。


「がっ……!」


 僕は石畳に叩き付けられる。


「お前の力はその程度か?」


 スワードさんが僕に聞く。


 その時、突然首の痣が右腕を覆う様に伸びて来た。


「あぁ、駄目だ……!」


 右腕を赤黒い痣は包む。


 僕は持っていた木剣の柄を握り潰し、細くなった。


「何だお前、何が起きている……?」


 返事をせずに踏み込み、スワードさんに向かって跳ぶ。


 木剣を叩きこむと、スワードさんはさっきよりも強く反撃してくる。


 僕は木剣でそれを防御する。自分の意思とは関係無く……。


「おい……!一旦止めろ……!」


 スワードさんはそう言うけど、僕は止まれない。意識はあるけど体の制御が出来ない……。


 気が付くと僕の首の痣が、右足にまで伸びていた。


 やがて右足まで赤黒く染まる。僕の跳躍は、さっきまでとは比べ物にならないくらいに速くなっていた。


「(速いっ……!?)」


 木剣を構えたスワードさんの意識がそこに集中するのが分かった。


「(魔力で抑え込――)なっ……?! 魔力が流せない……!」


 スワードさんは僕の木剣を受け止める。


「仕方ない……!」


 スワードさんがそう呟くと木剣を振り上げた。


 次の瞬間頭に強い衝撃が走り、僕は意識を失った。

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