Ep:10 魔力 *
気が付くと、とっくに夜だった。
「う、うぅ……?」
「やっと起きたか……」
スワードさんの声が聞こえて、少し遅れて頭に痛みが走った。
「うっ……」
僕は頭を押さえる。そこには大きな膨らみが出来ていた。
「単刀直入に聞く、あれは何だ……」
「分からない……突然なって、さっきのが二回目だから…」
「あの痣も最近現れたのか……?」
僕は首を横に振る。
「なら、元々持っていた力が何らかの理由で最近になって目覚めたと考えた方が良いか……その目も関係していそうだな……」
スワードさんは僕の目を見る。
「もう一つ聞きたい。あの時、魔力の操作が利かなかった。何か分かるか……?」
「マ、リョク……?」
「お前、魔力すら知らないのか……? 常識知らずにも程がある。」
スワードさんは溜め息を吐きながら魔力について説明してくれた。
「魔力と言うのは自分の体の中に存在するエネルギーの事だ。そのエネルギーを操作すれば、環境や物体に影響を与えられる。何もない所から火を起こしたり、俺がやろうとしたみたいに剣に力を上乗せする事が出来る。だが、それがさっきは出来なかった……」
スワードさんが手を前に出して何かをしようとしても何も起こらない。
「今俺はこの手の上に火を起こそうとした。だがそれが出来ない……こんな事が起こるのは、魔力の操作を妨害されているか、放出した魔力に上書きされて――」
スワードさんの言葉がそこで止まる。
「もしもお前の魔力が膨大だとして、それを制御できずに漏れていたとすると辻褄が合う。だがお前にそんな魔力があるのか…?」
疑問形でスワードさんは言う。
「試しに丹田に意識を集中させてみろ」
「丹田……?」
「臍の下の辺りだ、やって見ろ」
僕は目を瞑って意識をそこに集中させる。
体の中を何かが流れる様な感覚がして、僕に段々と何かが集まってきている様な気がした。
目を開けてスワードさんを見る。スワードさんはさっきと同じ様に手を前に出した。
明るい火がスワードさんの手の上に現れた。
「出ただと……」
スワードさんは動揺を隠せないと言う様に目を泳がせる。
「まだ年端も行かない子供が辺り一帯を妨害する程の魔力を持っている筈が……だが現にコイツが魔力を納めた瞬間から魔力が何の障害も無く使えた……」
スワードさんは一人で喋り続ける。
「手を出せ」
「え?」
「早くしろ」
「はい……」
言われた通り手を前に出す。
「そこに意識を集中して、さっき見た炎を思い浮かべろ」
目を瞑って掌に意識を集中する。
すると、掌から想像していた以上の火柱が勢い良く上がった。
暗かった道を一瞬眩く照らした。
「こんな魔法はあり得ない……お前は一体何者なんだ……?」




