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白銀の忌まれ血  作者: 影乃雫
第四章 剣聖編
142/310

Ep:142 牢獄

「トイフェルが僕に会いたい…!?」


ドミヌスさんから新しい騎士団への誘いを受けた次の日、僕はブルートからその話を聞いて驚いた。


「そう言ってたらしい…奴が捕まってからお前が起きるまでの間に、何度もお前が起きたか確認してたって聞いた」


ブルートはそう言って少しの間黙り込む。


「どうする…?はっきり言って、あんな事を仕出かした奴とお前が会うのは気が引けるって言うか…危険って言うか――」


「僕、会ってみる」


「え…?は?でも危ないだろ…!?」


ブルートはそう言って僕がトイフェルに会うのを止めようとする。


「心配してくれるのはありがたいけど、もう決めたから。会って、ちゃんと話をして、反省させる」


僕が言うと、ブルートは俯き、少し黙った。


「分かった…そう伝えておく」


ブルートはそう言って医療室を出て行った。


------------------------------------


 三日後、色々な手続きを済ませて、僕はトイフェルに会いに行く。向かうのは、黄金獅子騎士団が所有する、犯罪者を一時的に捕えておく牢獄。場所は黄金獅子騎士団本部の裏手にある建物の地下らしい。


「銀鷲騎士団のライト上等兵ですね。お待ちしておりました。こちらへどうぞ」


黄金獅子の騎士に連れられて、大きな本部の建物の外周を回り、裏手の寂びれた塔の様な建物に入る。薄暗い螺旋階段を降りると、鉄格子のはめられた檻が幾つも並んでいた。


「こちらです」


騎士はそう言うと、通路を前へと進んで行き、一つの牢の前で止まる。そこには、足枷を繋がれ、小汚くなった貴族の服を身に纏ったトイフェルの姿があった。


「やぁ…待っていたよ」


そう言いつつも、トイフェルは視線を一切こちらに送ってこない。


「あの」


僕は騎士に言う。


「何でしょうか?」


「出してあげて下さい。牢屋に入ってる人を見るのは、昔の自分を客観的に見てるみたいで気分が悪い…」


「分かりました。出ろ、御厚意に感謝しろ」


そう言って騎士は牢の鍵を開け、トイフェルの足枷も外して外に出させる。そして、逃げられない様に手を後ろに回し、そこに手枷を付けた。騎士は僕達から一歩離れた。


「面会時間は十分間です」


騎士はそう言って手に持っていた砂時計をひっくり返し、時間を計る砂が落ち始めた。


「来てくれてよかった」


トイフェルはそう言いつつ、全く目を合わそうとしない。むしろ、視線だけは下を見ている。


「何の用…?」


「私が捕まる前、君が私の時間に追い付いた後に起った出来事を話そうと思ってね?」


「何があったの…?」


「君はあの後、魔王に体を乗っ取られた。しかも魔王は、今までより人間味を帯びてきていた」


「え…?」


僕は思わず声を漏らす。


「君が作った魔法、ショット。それを魔王は使い熟していた。正常な君が放っていた様にね」


とんでもない事を言いながらも、トイフェルはずっと下を見ている。


「君が魔王に乗っ取られた所為で、私は捕まった。もう一生牢の中だろう。君はこの苦しみをよく分かっている筈だ」


「それは…」


「君の所為で、私に自由は無い…!」


トイフェルは煽る様にそう言った。


「それは…それは違う。お前は悪い事をして捕まった。僕は、この世に産まれただけで捕まったんだ。僕とお前とでは訳が違う…!」


僕はトイフェルに言い放った。すると、突然トイフェルは若気、僕の方に視線を向けた。


「そう、君と私では捕まった訳が違う。だが私は捕まる訳にはいかない…!」


その瞬間、トイフェルの手枷が音を立てて外れた。

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