Ep:138 碧玉
アカネとアオイはヘルツに切り掛かる。しかし、それは容易く受け流された。
「宵刀流、月光の断…」
「暁刀流、陽光の断!」
二人は同時に言い、ヘルツに向かってカタナを振る。ヘルツは二本のカタナに対して一本の剣で受け流す。アカネとアオイは間合いを開けた。
「お前達は碧玉を知っているか…?」
ヘルツは言う。
「知っているが、それがどうした…?」
アオイはヘルツの言葉に答える。
「碧玉って何…?」
エルはアカネに聞く。
「東方の宝石の事です」
「碧玉は様々な色に変わる…緑にも赤にも黄色にもな」
すると、ヘルツはフードを取り、その白銀の髪を露にする。
「我ら碧竜騎士団は碧玉の様に様々な色に変わる。正義の白にも、悪の黒にもな」
「何だと…?」
「No.sの一部は碧竜騎士団の団員だ」
「なっ…!?それは本当ですか!?」
アカネはヘルツの言葉に驚き、大きな声で聞き返す。
「本当だ、この場で嘘を吐く理由が無い」
「幾ら団長だからってそんな事を…!」
エルは呟く。
「何も知らずに国王を守る為に我が騎士団に入った者も多い。だが、全てが白い訳では無い」
「そんな人の心を踏みにじる様な事を!」
アカネはヘルツに向かって言う。
「そんなのは偽善者の戯言だ。他人に押し付けるな…」
ヘルツはそう言うと、一拍置いて言葉を続けた。
「そんなに言うのなら、一騎士団長としてお前達の相手をしてやろう」
その瞬間、ヘルツの髪が根元から色が変わり、白銀から朱赤の様な色に変わった。
「今の私はヘルツでは無い。碧竜騎士団団長、ハーツ=カルトだ」
「知った事か…宵刀流 秘技の壱、雲心月性、秘技の弐、鏡花水月、奥義、月神月読…!」
アオイがそう言った瞬間、その姿が消える、次の瞬間、葵色の残像と共にヘルツ、否、ハーツの後ろにアオイが現れる。ハーツは咄嗟に振り返り、現れたアオイに剣を振る。しかし、残像の胴を斬るのみで、アオイ本体には傷一つ付かなかった。
「遅いな…」
その声が聞こえた瞬間、再びハーツの背後に現れる。ハーツは、反応は出来ているものの、決定打になる攻撃を繰り出せない。アオイは攻撃せず、誰の目にも止まらぬ速度でハーツを翻弄した。
「暁刀流、暁光の閃!」
目まぐるしく右往左往するハーツに向かって、アカネは一気に肉薄する。
「秘技の壱、旭日昇天!」
アカネはそう言ってカタナを振り上げた。その瞬間、黒い影と共にハーツの姿が消えた。
「なっ…!?」
アカネは居なくなったヘルツを探して周りを見回す。しかし、その影からハーツが現れ、アカネに剣を振り下ろした。




