Ep:101 十番
僕は王様と二人のXthを見据える。
「素早い炎!」
ブルートはそう叫ぶと、赤いローブのXth、火炎のフレイムに肉薄する。そして空中で体を捻り、跳び蹴りの体勢を取る。手から噴き出した炎に押され、ブルートはフレイムに飛び込んだ。
「俺とお前では火力が違う!」
フレイムはそう言うと両手を前に突き出した。そこに炎の魔力を集中させた。すると、渦を巻くような炎の壁が現れ、ブルートの蹴りがそれに直撃する。
「ぐっ…!」
ブルートは声を漏らす。ブルートはフレイムの炎を蹴った状態で体勢を変えない。二つの炎を受けてフレイムのローブは引火し、肩の辺りまで燃やした。
「ふんッ!」
フレイムは力むような声を上げ、ブルートごと炎の壁を上に振り上げた。その勢いでローブの炎が消える。ブルートは炎から跳び、空中で止まった。
「戦いの場において余所見とは、余裕そうだな」
いつの間にか僕の後ろまで近付いていた旋風のXthサイクロンが言う。僕は咄嗟に後ろに剣を薙ぐ。サイクロンは飛び退き、僕の剣は空を斬る。
「ハアッ!」
今度は剣を縦に振り、空気の斬撃を飛ばす。強いてこれに名前を付けるなら――
「空刃!」
空気の斬撃はサイクロンに向かって一直線に飛ぶ。
「その攻撃は既に見切っている…!」
そう言うとサイクロンは右腕を前に突き出し、風の魔力を放った。横向きの竜巻の様な風が僕に吹き付ける。空気の斬撃はそれによって破壊された。
「空刃とは相性が悪い…!」
僕は痣を足まで移動させ前方に跳躍する。そして、サイクロンの眼前まで移動した。
「無駄だ」
無慈悲な声と共に放たれた風によって、僕の体は上空へと吹き飛ばされる。
「ふ…第三段階…!」
僕は第二段階と第三段階を同時に発動し、次に来る攻撃を予測する。予測には、サイクロンが自分の風で飛んでくる姿が映った。
予測通りサイクロンは自分の足元に風を放ち、空中の僕に向かって飛んで来た。僕にこれを躱す方法は無い。だったら――
「空刃!」
僕は敢えて空気の斬撃を放った。サイクロンに向けて一直線に飛ぶ斬撃を防ごうと、サイクロンは上に向かって風を放つ。想定通り。僕の体はその風の勢いで更に押し上げられた。
「何…!?」
サイクロンの声を微かに聞きながら、僕は屋敷の屋根へと飛び乗った。
「成程、そうきたか…」
突然後ろから声が聞こえる。そこには、いつから居たのか剣聖様が――いや、トイフェルが立って居た。
「面倒だ。今ここで段階を進行させる」
「空刃!」
僕はトイフェルに向けて空気の斬撃を飛ばす。けれど、いつの間にか僕の眼前まで移動したトイフェルの背後に空気の斬撃は飛んで行った。トイフェルは僕の顔を掴み、強制的に目を合わせて来た。トイフェルの紅い瞳が光り、僕の視界は暗くなった。
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同時刻、本部の小さな会議室にて会議をしていたエルが突然苦しみだした。
「うぅ…!があぁ…ッ!?」
「おい!どうした!?」
ダギルが咄嗟に声を掛ける。しかし、依然としてエルは自分の胸元を掴みながら苦しんだ。その左の瞳は、紅く光っていた。




