第585話 魔女の慰労会! おつかれさま、ディケーさん!!
「えー、そういうワケで。
何とか貴族連合の次の会議までに、有力貴族の奥様達を通じて、旦那様の議員方にナタリア様の味方をしてもらえるよう、約束を取り付けました!」
『やりますねぇ!』
ディケーさん慰労会、開催ッ!!!
ここ数日、第一公女のメアリ様から書いてもらった書状やおみやげを手に、何人もの有力貴族のお屋敷を渡り歩き!
その奥様方にマッサージを施して洗脳……もとい、ドハマりしていただき、次回以降も継続してマッサージをしに来ると約束し、なんとかナタリア様に味方するよう説得できたのを記念してえ……今夜はパーティです!!
「お、おつかれさまでした、マスター……。
しばらく、ゆっくりなされてください……」
私の隣に座ったソロアちゃんが、コポコポとグラスにジュースを注いでくれる。
いやあ、労働の後の一杯は異世界であってもたまらんですなあ……気の利く従者がいてくれて、マスター冥利に尽きるってヤツですよ……。
「ありがと、ソロアちゃん。
ソロアちゃんの方こそ、ナタリア様が内偵に使う潜入用の魔道具の開発を任せっぱなしで、ごめんね」
「い、いえ……。
何やかんやで、結構楽しみながら作ってましたし……うひひ」
「そう? ならいいんだけど」
私もソロアちゃんを労い、猫耳ごと優しく頭を撫でてあげた。
「あとはナタリア様が上手く宮廷内で情報を得られれば、万々歳ですねえ」
「そうねえ……。
あ、キャルさん、私が運ぶわ」
キッチンからソロアちゃんの好物のビーフシチューの入った土鍋を、ミトンを装着したキャルさんが運ぼうとしていたので……ここはちょちょいと、浮遊の術式でまとめてテーブルに移動させて……と。よし、完了!
「おおー。
助かります、ディケーさん!」
「いいのよ。
キャルさんにはここ最近、ずっとお夕飯の支度を任せっきりだったし」
「いえいえ!
世界の命運を左右する重要な情報が手に入るかもしれない大事なミッションですし!
地方都市の図書館勤務の私でも、何かお手伝いできるコトがあれば……それはそれで、誇らしいですから!」
「ありがと、キャルさん」
そう言って、私が感謝を込めてチュッと軽く頬にキスすると。
キャルさんは手にミトンを付けたまま、恥ずかしそうに頬を覆って「も、もう、ディケーさんったら……」と、まんざらでもない様子で身をよじるのだった。
『お熱いですなあ〜。うりうり』
「キラリちゃんも、最近あんまり外に連れていけなくてごめんねえ」
私達の一部始終を、背中の羽をホバリングさせながら見ていた星妖精のキラリちゃん。
私の肩に腰を下ろし、いつものようにぷにぷにとほっぺたに頬ずりすると。
『へーき、へーき。
夏休みになればライアとユティも帰ってくるしね。
まずは頑張ったディケーに一休みしてもらうのが先だよー』
「うーん、いい従者と使い魔に恵まれたわね、私も……」
『やっぱ(私達が)好きなんすねぇ』
私に労いの言葉を代わる代わるかけてくれるソロアちゃん、キャルさん、キラリちゃんに感動しつつ……。
「さあさあ、冷めない内に皆さんで夕食をいただきましょう!
今夜はディケーさんの慰労会なんですから」
「きゃ、キャルさんのおっしゃる通りです……。
たくさん食べて、日頃の疲れを取られてください、マスター」
「ええ、そうね!」
キャルさんとソロアちゃんに促され、再びテーブルに着くと。
「「「『 いただきまーす!!!! 』」」」
異口同音に、夏のスターレイム邸に楽しげな夕食の始まりを告げる声が響いたのだった。
「(あとは貴族連合の会議で、ナタリア様が邪教団でも聖女護衛団でもいいから、何か情報を掴んでくれさえすれば……!)」
数日後に迫った、異世界版ミッション・インポッシブルに期待と不安、双方を抱かずにはいられない、ディケーさんなのでした……。
「ま、マスター、このビーフシチュー、とっても美味しいです!」
「よかったわね、ソロアちゃん」
ソロアちゃんも魔道具開発を頑張ったし、苦労が報われるといいんだけど……。




