デッドオアアライブ
久々投稿。そのくせあまり文字数ない
さて、キリアを置いて先に逃げた俺達だが……
キリアの言うとおりの状況に陥っていた。
「……おいおい……なんでまだいるんだよ……」
「悪いな。もう鳴神とお前セットで連れてこいって言われてんだ」
「セットって……」
「因みにお前に関してはデッドオアアライブ」
「いいよそんなの」
いまいち緊張感が上がりにくかった。
相手は一人。一人なら逃げきれるかもと思いたいところだが、現在三方は壁だ。要するに何が言いたいかっていうとつまり逃げ道ナシ。
「……ミソラ」
後ろの鳴神が初めて口を開く。
「何だ?」
「ごめん……」
「いやいや、今謝られても困るから。な? 取りあえずこれなんとか出来れば少しは安全だろ」
「これって言うな! お前なんか俺一人で十分だよ!」
こちらへ突っ込んでくる。
「いきなりかよ……」
横凪の拳をしゃがんで避けて、立ち上がる時にアッパー。
「あぶねっ!」
相手は一歩下がりそれを避ける。相手もそれなりに出来るようだ。いや、俺が言うのも変だが。
しばらくお互い睨み合う。仕掛けるか……それとも反撃のために待つか……。
「はっ!」
桐島の蹴りを跳んで避け、着地と同時に回し蹴り。
桐島はそれを腕で受け止めると、一旦距離をおいた。
「……てぇ……。相変わらず容赦ねぇなお前」
「生憎容赦なんて器用な真似は出来ねぇよ。する気もねぇが」
「だが、あの頃に比べれば随分甘い蹴りじゃねぇか。なまっちまったか?」
「お前こそ、昔はもちっと速くなかったか? その程度じゃ百発蹴っても当たらねぇぞ?」
「……ふん」
「ハッ」
一瞬の静寂の後、再び無言で戦いをするのであった。
「ああもう! ちょこまかと!」
「いや、俺避けてるだけだが。お前が勝手に変な方向に蹴ったり殴ったりしてるんだろ」
「あ!? 俺はアレだよ。あの、お前の避ける先を読んでるんだよ」
「じゃあ当たらないだろうな! ある意味凄いな!」
どう考えても喧嘩慣れしているとは思えない。その点に関しては助かったかもしれない。
「まぁ避けてるだけじゃ終わらないよな……よっ!」
蹴りの構えを取ってから拳を突き出す。
「おわっ」
相手は蹴りが来ると思ってくれたのか拳を避けたもののがら空きだ。
「くたばれっ」
「がっ!」
腹を思い切り蹴り上げる。
「逃げるぞ! 走れ!」
「……うんっ」
鳴神の手を引いてその場を離脱。
どうする? キリアも気になるがやはり教室に……でも教室にあいつらがきたらクラスのみんなに迷惑かけちまう……。
「……ミソラ」
「ん? 何?」
「……痛い」
「え? あ、やべっ」
考え事してていつの間にか強く握ってしまったようだ。慌てて手を離す。
「とにかく、これからどうすれば……」
「あ、ミソラ。あれ」
「ん?」
鳴神の指差す先を見ると、何かが凄い勢いでこちらに向かってくるのが見えた。
「まさか、また奴らが!?」
「……違う」
若干不機嫌な鳴神に言われる。
「ミーソーラーぁぁ!」
「えあれ椎名!? 何!? なんであいつ凄い剣幕でこっちにくるの!?」
「オラァ!」
「ごはっ!」
走ってきた勢いのまま蹴り飛ばされる。
「し、椎名……! これは一体!」
「うっさいわね。なんで私を頼んないのよ生徒会長よ私」
「え? ……おおっ」
「今思い出したって顔ねそれ……!」
「ま、待て! 二度はキツい!」
再び戦闘態勢に移る椎名を抑えつつ、周囲を見回す。
「とにかく、身を隠したいなら生徒会室があいてるわ。来なさい」
「え、でも」
「キリアのこと。心配じゃないの?」
そう悪戯っぽい笑みで言うのだった。
「ここよ」
案内されたのはまぁ、高等部の生徒会室だ。だが、中が凄いことになっていた。
「あ、椎名さん。これ先生に言わなくていいんですか?」
「そんなの言っちゃったら多分、キリアに蹴り殺されるわよ」
それはないと思う。
「えっと……椎名。この人は?」
「ああ、副会長の如月さんよ」
「……どうもです」
如月さんが会釈する。
「園山っていいます」
「……鳴神」
「はいミソラ。ここのモニターに写ってるわ」
「ああ、ていうか生徒会室ってこんなもんいつも設置してんの?」
天上近くまであって向かいの席に座ったら相手が見えないんですが。
「んなわけないでしょ学園祭の時だけよ」
「それもそうか」
いいつつ、椎名が指差すモニターの画面を覗き込んだ。