第31話
「……おい、アリア。この鍋の色、いくらなんでもおかしくないか?」
王立聖女学院、深夜の錬金術実習室。
石造りの冷たい壁に囲まれた薄暗い部屋の中で、大鍋の下で燃える魔力火の光だけが、怪しく揺らめいていた。
俺は補習授業として、アリアをはじめとする三人の令嬢たちと共に『体力回復薬』の調合を行っていた。本来ならば、清らかな水と神聖ハーブを煮込み、透き通るようなマリンブルーの液体を完成させるはずだった。
だが、三十八歳のオッサンである俺は、連日の「聖女としての振る舞い」と狂信者たちの相手で、心身ともに限界を迎えていた。
(ただのハーブ水なんかで、オッサンの蓄積疲労が抜けるかよ……。もっとこう、ガツンとくるスタミナ源が必要なんだ)
そう考えた俺は、学園の備蓄庫からこっそりくすねてきた「乾燥マムシの黒焼き」「スッポンの粉末」、そして王都の闇市で仕入れた「精力増強の特濃ニンニクエキス」、さらに魔力活性化の触媒として「魅惑の妖精の鱗粉」を、令嬢たちが目を離した隙に大鍋へありったけぶち込んでしまったのだ。
結果として、鍋の中でグツグツと煮えたぎる液体はドロドロのショッキングピンクに染まり、そこから立ち昇る煙は、毒々しくも脳髄を直接溶かすような、異常に甘ったるい香りを放ち始めていた。
「ヴァル様……なんだか、体が……とても、熱いですわ……」
最初に異変を訴えたのは、鍋の真正面に立っていたアリアだった。
彼女の真っ白な頬は異常なほどに紅潮し、潤んだ瞳は焦点が定まっていない。荒い息を吐くたびに、制服のブラウスの胸元が大きく上下し、額にはうっすらと汗が滲んでいる。
「おい、どうした? 熱でも……ッ!?」
俺がアリアの肩を支えようと一歩踏み出し、そのピンク色の煙を深く吸い込んだ、その瞬間だった。
――ドクンッ!!
心臓が、ありえないほどの早鐘を打った。
全身の血液が沸騰したかのような異常な熱さが、足の先から頭頂部へと一気に駆け抜ける。
ただの熱じゃない。体の奥底、下腹部のあたりから、脳髄をドロドロに溶かすような『甘い痺れ』が這い上がってくるのだ。
(な、なんだこれ!? 息が荒くなる……それに、肌が……っ!)
俺の中身は三十八歳の歴戦の元・騎士だ。辺境の砦で、毒矢を受けようが呪いを受けようが耐え抜いてきた強靭な精神力がある。
しかし、この器はうら若き至高の聖女ボディ。極限まで磨き上げられた純真無垢な女性の肉体は、俺が偶然作り出してしまった超高濃度の『究極媚薬ガス』に対して、一切の耐性を持っていなかった。
「はぁっ……あ、あっ……ふぅっ……」
制服のブラウス越しに下着のレースが擦れるだけで、布越しの摩擦が雷のような快感となって脳を貫く。
双丘の先端にある柔らかなピンク色の突起が、意思を持つかのようにカチカチに硬く尖り、ビクビクと脈打つのが自分でもはっきりと分かった。
太ももをギュッと無意識に擦り合わせると、股間の最も奥深い場所から、自分のものとは思えないほどのトローリとした熱い蜜(愛液)がとめどなく溢れ出し、純白の下着をあっという間にぐっしょりと濡らしていく。
(ウソだろ!? オッサンの俺が、なんでこんな発情期のメス犬みたいな……ッ! 立て、俺の理性! 辺境砦のド根性を思い出せ!!)
必死に【聖闘気】を練り上げて媚薬成分を浄化しようとするが、魔力を練れば練るほど、それがすべて『快感』に変換されてしまい、逆に感度が何倍にも跳ね上がってしまう。
「ヴァル様……ああっ、女神様……! とっても、甘くていい匂いがします……。女神様の体から、極上の香りが……」
「ひゃんっ!?」
ドサッ!
俺が足の力が入らずに膝から崩れ落ちたところを、完全に理性を飛ばし、欲情の獣と化したアリアと令嬢たちが、群がるように押し倒してきた。
冷たい石の床に背中を打ちつけるが、その冷たさすらも異常な皮膚感覚のせいで心地よい刺激に変わってしまう。
「お、おい! お前ら、正気に――ひっ! やめ、触るなッ!」
「女神様……私、もう頭がおかしくなりそうです……。女神様に触れて、ひとつになりたい……!」
アリアの熱い手が、俺のブラウスのボタンを力任せに引きちぎるように開け放った。
「ああっ!」
露わになった、雪のように白く柔らかな双丘。その先端で主張する硬い蕾を、アリアの震える指先が容赦なく鷲掴みにする。
「だめっ……そこ、こするな……ッ! ああんっ! ひぃっ!」
オッサンの野太い声で一喝しようとしたのに、俺の口から漏れ出たのは、甘く甲高い、完全にメスに堕ちきった情けない嬌声だった。
アリアが俺の尖った突起を指の腹で摘み、コリコリと捏ね回すように弄る。
「あっ、あぁっ……! ヴァル様のここ、すっごく硬くなってます……可愛い……」
「やめ……やめろぉっ……頭が、真っ白に……っ」
俺が首を振って抵抗しようとするが、他の令嬢たちが俺の手首と足首を床に押さえつける。
一人の令嬢が俺の首筋に顔を埋め、汗ばんだ肌を舌でペロペロと舐め上げながら、耳たぶを甘噛みしてきた。
「んちゅっ……れろぉ……女神様の汗、すっごく甘いですわ……」
「ひゃああっ! 耳、だめ、耳はやめ……ッ!」
耳の裏の敏感な部分を吸い上げられ、背筋を強烈な悪寒のような快感が突き抜ける。
そして、アリアのもう片方の手が、俺のスカートの裾を捲り上げ、すでに愛液で重たく濡れそぼった下着のクロッチ部分に触れた。
「女神様の、ここ……。下着の外からでも分かるくらい、こんなに濡れて、グチャグチャですわ……」
「違う! それは……俺の意志じゃなくて……体が勝手に……ッ!」
アリアは躊躇うことなく下着を引き裂き、俺の最も秘められた、薄紅色の花弁を夜の空気に晒した。
そこはすでに媚薬の効果で充血し、溢れ出す蜜でテカテカと卑猥な光を放っていた。
「女神様の神聖な場所……私が、綺麗にして差し上げますわ」
「ひっ!? 待て、舐め……舐めるな……っ! ああぁぁっ!!」
アリアの柔らかい舌が、蜜で滑る俺の秘裂を下から上へと長く舐め上げた。
最も敏感な真珠のような部分を、舌先でチロチロと弾かれるたびに、俺の体はビチビチと水揚げされた魚のように跳ね回った。
(やめろ! 俺の尊厳が! オッサンの三十八年のプライドが……ッ! でも、気持ちいいィィッ!! 狂いそうに気持ちいいッ!!)
アリアの舌の奉仕に限界を迎えた俺が、腰をガクガクと浮かせて喘いでいると、ついに彼女の細く長い指が、蜜の糸を引きながら秘壷の入り口へと宛がわれた。
「ヴァル様、中、すっごく熱くて、ピクピクしてますわ……! 女神様の愛の奥深くまで、私を入れてください……!」
「ああああっ! ダメ、指、奥はダメぇッ! そこ突かれると、オ、オッサンが壊れるゥゥッ!!」
ズブチュッ!!
卑猥な水音と共に、アリアの二本の指が、俺の狭く熱い肉壺の中へと根元まで飲み込まれた。
「あぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「ちゅっ、ちゅむっ、れろぉっ……」
胸の先を激しく吸われ、耳元で甘い吐息を吹き込まれながら、下半身ではアリアの指が獣のように激しく抜き差しされる。
クチュクチュ! ズチュ! プチュッ! という、乙女の園にはあるまじき淫靡な水音が実習室に響き渡る。
指が最も敏感な内側の壁(Gスポット)を抉るように擦り上げるたびに、目の前がチカチカと白く明滅し、快感の奔流がオッサンの理性を完全にドロドロに溶かしていく。
「ああっ! いくっ! いくから! 何か出ちゃうからァァァッ!!」
「女神様……っ、私も……! 女神様の中で、一緒に……一緒にイキましょう……!」
アリアの指のストロークが限界の速度に達し、俺の体内で極限のスパークが弾けた。
「あ、あ、あああああああぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!」
俺は体を弓なりに反らせ、声の限りに絶叫した。
股間から大量の潮を噴水のように噴き上げ、頭の先まで痺れるような強烈な絶頂が何度も何度も波となって押し寄せる。
ガクガクと全身を痙攣させ、だらしない涎を垂らし、白目を剥きながら、俺は完全に底なしの快楽の海へと沈んでいった。
令嬢たちもまた、俺の絶頂の匂いと媚薬の煙に当てられ、次々と床の上で身をよじらせながら快感の絶頂を迎え、折り重なるようにして倒れ伏した。
***
翌朝。
実習室の冷たい石の床の上。
完全に効果の切れた冷たい空気の中、全裸で絡み合い、愛液と汗でベタベタになった令嬢たちの下敷きになって目を覚ました俺は、股間に残るジンジンとした強烈な疼きと、完全に消滅した『オッサンの尊厳』を思い出した。
「……殺してくれ」
天井のシミを見つめながら、最強の聖女は声にならない絶望の涙をポロポロと流すのだった。




