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20代最後のゲイのエッセイ  作者: 赤井獺京


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僕に残された時間はあと34日

 残された時間は34日、時間にすると816時間ほどだ。


 これが何の時間か、僕が20代である残りの時間だ。


 あと34日で何ができるか。残された時間は少なく感じる。一日一冊本を読んでも20代であるうちの人生は変わりっこない。


 あと816時間で何ができるか。好きな海外ドラマを最後に見返してみるか。吹き替え版、字幕版で2度は見返した。シーズン15までぶっ通しで233時間くらいある。見るにしても3度目は吹き替えか……字幕か……。悩んでいるうちに時間は過ぎていく。


 ちなみにワンピースをアニメで見返すとなると440時間もあるようだ。残りの時間の半分が終わってしまう。


 20代が終わるタイミングは10代が終わるタイミングよりも感慨深いものがある。


 何となく生きても楽しく生きてこられた10代とは違う。

 自分で生きる道を模索しながら、時には守るものの為に人を傷つけて、その守ったものさえも失って、一人孤独になった日もあった。

 お金があれば何でもできると思っていた。お金は確かに大事、だけどそれがあってもどうしようもできないことがあると分かった。

 20歳になった瞬間に僕は大人になれなかった。


 20歳を迎えてからの10年間で少しずつ大人になっていった。


 捨てる心、守る心、人との付き合い、優先順位、社会の不条理。


 この世界は子供の頃に見ていた世界ほど夢がない。

 そして思っている以上に完璧じゃないことが多い。

 みんな適当に生きている。ちゃんとしているように見えて適当だ。


 ちゃんとしているように見せながら手を抜けるのがこの世界で生きていける大人だ。ただの真面目くんや頑張りすぎ屋は死んでいく。この世界についていけなくなる。


 だけど子供の頃は宿題の提出期限が決まっていて出せないと怒られたり、テストの点数で順位がつけられたり、社会のまねごとをしてきた。だからみんなそれに染まって、そうしないといけないと思い込む。


 宿題は、会社で言う資料作成や納品の練習。この日までにこれを終わらせなさいと言う練習。

テスト順位は営業成績。成績が悪いと順位が下になって見下される。良い学校に出世もできない。


 みんな社会のまねごとをして育ってきた。だから社会に出てもすぐになじめる。システムを理解できる。

 なんだ学校と同じかって。


 だけど学校ほど会社は優しくない。先生はいない。

 上司も同期もみんなライバルでいくら仲良くしていても裏切りが起きる。

 いくら仲良くしてもある日突然いなくなる。


 あくまで他人だったと気づく。


 あくまで同じ場所にいただけの他人。


 社会で働くのに人の心を持ったら疲れてしまう。それに気づかされる20代。


 嫌いだった先輩が自殺して、10年片思いの相手を追って上京して、嫌いになって、初めての恋人に呆気なく振られて、新しい恋人と同棲を始めた。


 それが僕の20代。


 何もしてこなかった。

 そう思っても思い返すといろんなことをしてきた20代だ。


 30代に入った僕から見てもきっと、いいバトンパスだと言える気がする。

 いい塩梅に傷ついて、いい塩梅に幸福だ


 34日後の僕がこれでよかったと言える20代だったか、残りの時間でじっくり振り返りたい。


 さよなら20代、ようこそ30歳。


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