表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/111

 お昼ごはん

♢37♢


 朝食のあと、することないし1日中寝ていることにした。

 何故かというと、姉による鍛錬が休みなだけで個人的にやる分にはいいよね? と雲母(きらら)さんに言ったところ……。


『駄目だ。今日は休みだと言ったら休みだ。寝てないんなら、大人しく寝ろ!』


『──やだ。全然眠たくない!』


『小学生みたいなこと言ってんな! 余計なことした場合、困るのは自分だからな。ユウキの役に立ちたいんだろ? ミヤビちゃんの魔力量じゃ回復にも時間が掛かるんだ。アホみたいな量があるからな! ……それとも、いざという時にガス欠で、ユウキにカッコ悪いところ見せるのか?』


『ぐぬぬぬぬっ──』


 それは困る。ユッキーに頼られるあたしでいたい。

 むしろそうなりたい。なので、姉に言われた通り休むことにした。


 ……とはいえ、お昼近くになったところで目が覚めてしまった。なんとか二度寝しようと努力していたんだけど無理。寝よう寝ようと思うほど眠れない。

 それに志乃(しの)ちゃんも亜李栖(ありす)ちゃんも一旦帰ってしまったし、起きたところで誰も遊んでくれない。


「スマホでゲームでもやるか。そうしたら眠たくなるかも……いや、テレビか? テレビを観にいこう」


 あたしたちの泊まっている姉の、ただあるだけの部屋にはテレビがない。あとユッキーの部屋にもないらしい。この家はリビングに超デカイやつがあるだけなのかも。

 そこから推察するに2人はテレビをあまり観ない人みたいだ。勿体ない。


「今の時間だと何やってるかなー」


 リモコンでテレビ欄を出せるのはスゲェと思う。

 これのおかげで、番組がずっと先までのってる雑誌を読まなくなった。あれの方がたくさんのってるけど、1週間先まで分かればあたしは十分です。


「……あんまり面白そうなのやってないな。土曜日ってこんなんだっけ? 夜はドラマを観るとして」


(みやび)、もう起きたんですか?」


「ユッキー! そうだよユッキーがいたね。遊ぼう!」


「それは構いませんが、この家には遊ぶような物は何も無いですよ」


 そっかー、ユッキーはそんなタイプじゃないし。姉はもっとそんなタイプじゃない。

 せっかくデカいテレビがあってもゲーム機もないんじゃ……買おうか? もういっそのこと。


「ユッキー。あのお金はどこかな?」


「親切な人が寄付してくれたというやつですか?」


「──そうそう」


 ユッキーにはそう言ってある。間違っても許嫁とか強盗とか知られてはいけないからさ。


「私が預かったままでしたね」


 ユッキーが昨日持っていたバックから封筒に入った札束が出てきた。よし、これで資金はある。

 本体とソフト。人数分のコントローラ。でいくらだろう? まぁ、封筒の中身が無くなることはあるまい。


 ソフトは何がいいかな? レースのあれかな?

 なんにしても、みんなで遊べるやつがいいよね。


「これを何に使うんですか?」


「暇だからゲーム機を買おうと思って」


「そんなことに使っていいんですか……」


「いいんだよ。強……──げふん、げふん……何でもない!」


 ユッキーには言えない! これでは、この計画は実行できない。


「ゲーム機ですか。フウから借りてきましょうか」


「フウちゃんはゲームやるの?」


「やります。というか、それしかやってるのを見たことがないです。フウの部屋には、ここと同じ大きさのテレビがありますよ」


 それはまた……。

 フウちゃんが出てこない理由はそれだね。


「いや、もうゲームはいいや……。また暇な時に借りるよ」


「そうですか。そういえば、お昼はなりましたね。どうしましょうか?」


 テレビの中の時計が12時になったのにユッキーが気づいたらしい。

 お昼ごはんは、朝の残りと常備菜でいいかなと思ってたんだけど、ユッキーにフウちゃんもいるとなると手抜きはできないね。シェフとしては。


「お昼もあたしが作る。ユッキー、何食べたい?」


 あっ──、この質問はユッキーを困らせてしまう。

 あたしのバカーー! うっかりしてた。


「ハンバーグが食べたいです」


 …………えっ?


 今、聞き間違えじゃなければハンバーグって言ったよね。好きなものを聞いた時は困らせてしまったのに。

 ユッキーはそういうのも覚えてないのかと思ってたのに……。


「無理なら別に構わない──」

 

「──ミヤビちゃんに無理などない! ひき肉あるし、必要なものはあるから大丈夫だよ! リクエストに驚いただけだから」


「……自分でも驚いています。でも気づいたら、そう口にしていました」


 なんだっていい。

 食べたいものを言ってくれたならそれで。


「よし、作ろう。ユッキーも手伝ってね?」


「私はやったことないですが……」


「難しくはないから大丈夫。手を洗って台所に集合!」


 3人分だしそんなに時間は掛らない。1時間もあれば完成する。

 お昼食べたら買い出しに行こうかな。タッパーも欲しいし、夕飯もユッキーに決めさせよう。



 ♢



「包丁はこう」


 まずはタマネギを刻むんだけど、ユッキーは包丁の持ち方がおかしい。

 あたしは自由にやればいいとは言わない。ちゃんと教えます。


「こうですか?」


「──違う! なんか違う」


 それは暗殺者的な持ち方だと思うな……。

 包丁を凶器に使うなら正解かもしれないけど。


「ちょっとごめんね。こうだよ」


 背後にまわり手を添えて持ち方を教えてあげる。

 この行為に深い意味は無い。


「そして縦と横に切り込みを入れて……こう」


「すごいですね」


「──そう? このくらい普通だよー」


 タマネギ刻んですごいと言われるとは!

 このまま全部あたしが──、じゃダメなんだよ。ユッキーにやらせないと。


「ユッキーもやってみて」


「切断しないように、皮一枚残すように……」


 うーん、気のせいかすごい物騒に聞こえる。

 教えた通りに実践してるだけなのにね。


「問題ないと思うけど、手を切らないようにね」


 最初はタマネギを炒めて粗熱をとって。

 肉とパン粉。塩コショウと牛乳。と合わせて混ぜる。


「ユッキーが刻んでる間に調味料と、調理器具と、お皿と用意して」


「雅、終わりました」


「──はやっ! 目を離したら終わってた」


 手品なんだろうか?

 それとも高速で微塵切りにされたのか。

 実はあの包丁に秘密が……別にどれでもいいや。


「じゃあ次は炒めるから、フライパンに油ひいて」


「炒めるんですか?」


「炒めるとタマネギは甘くなるんです。これもユッキーやってみて」


 ユッキーの作業を監督しながら、あたしは付け合わせをその間に用意しよう。

 にんじんとブロッコリーかな。にんじんはグラッセにして、ブロッコリーは茹でてソテーだな。


「にんじんはレンジでチンするだけ〜」


「レンジで温めるの?」


「そうだよ。これで柔らかくなるし、砂糖とバターを入れてもう1回チンするだけで、出来上がりなのです」


 ブロッコリーは茹でてからオリーブ油で炒める。

 ──おっ、ユッキーの方がいい感じ。


「ユッキーもういいよ。火止めて」


「次はどうするの?」


「少し置かないとだから、調味料を計ってもらおうかな」


 目分量は一人前になってから。

 ちゃんと計らないとダメ!


 しかし、ユッキーは器用だね。飲み込みが早いや。前はやっていたのかな?

 これも何かのキッカケになるといいな。そして、ハンバーグが食べたいか……なんだか男の子みたい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ