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フェバル設定集  作者: レスト
世界観
3/15

フェバルと各能力について

【フェバル】

 星(世界)を渡る性質を持つ者たち。星脈に属する者。通常の人間が持たないような各人固有の特殊能力を持ち、その力はこの世の条理を覆すとまで言われる。

 星脈という宇宙規模のシステムに属しているため、各世界の許容性の影響を受けにくい。各世界における人の限界を遥かに超越した身体能力諸々を常に持っている。通常の人間であれば高いレベルの気力と魔力を併せ持つことはできないのであるが、フェバルはそれが可能である。

 全員が共通して、決して成長も老いることもしない身体と、言語自動変換・自動翻訳能力、不死の性質と修復の性質を持つ。 

 不死の性質とは、正確に言えば、普通に死にはするのだが、死んだ際に次の異世界に飛ばされて、そこでは何事もなかったかのように蘇ってしまう性質のことである。

 修復の性質とは、旅を続けるに当たって重大な障害が、世界を渡る際に修復されてしまう性質のことである。肉体の損壊(手足の欠損など)や、精神の深刻な異常(発狂、廃人、植物状態など)は勝手に修復され、健常な状態に戻る。ただし、長い旅を続けることによって自然に摩耗した精神に関しては、この限りではない。

 彼らが世界を渡るのは、強制的に次の世界へ流されるタイムリミット(各世界、各人ごとにランダム)が来るか、死ぬか、何らかの能力や手段を使って自分から移動したときである。

 実は、フェバルは極めて長生きであるが、不老不死そのものではない。長い旅の果てに心をすり減らし、人としての心を維持できなくなったフェバルは「死ぬ」。星脈に存在を取り込まれ、肉体の自由を失って意識だけの存在となってしまう。そして宇宙が終わるそのときまで、ただ果てしない悪夢を見続けることになるのである。


【星脈】

 宇宙の星々を網の目のように結ぶ、全宇宙規模のシステムのこと。まるで脈のように流れを打っていることから、フェバルを始めとした人々はこれを星脈と呼ぶ。脈の内側では、黒い宇宙空間のような場所が広がり、淡く白いものがふわふわと漂っている。

 フェバルとなる運命を持つ者が初めて異世界へと流れ渡るとき、その者をフェバルに相応しい力を持つ肉体に作り替えるという。不規則な周期で脈動し、フェバルを次の異世界へと誘う。

 フェバルの力の源であり、極めて大きなエネルギーを持っているとされる。「死んだ」フェバルが還っていく場所でもある。

 また、個々の星々にエネルギーを循環する役割も果たしているが、星脈自体の持つエネルギーがあまりに強大であるために、かえって星々を縛り付けてしまい、宇宙の総体に対してはむしろ淀みや歪みを生じる方向に働く。

 

【各能力の説明】

・神の器

所有者:星海 ユウ

 男にも女にも、いつでも瞬時に、自由自在に変身することができる能力。能力名はウィルが命名した。男の身体は強い気力を、女の身体は強い魔力を持っている。当初は、ウィルの【干渉】が弱点だった。能力及び身体のコントロールの自由を奪われてしまうのだが、これは剣と魔法の町『サークリス』の最終盤に克服している。

 実は、その能力の正体は全くの別物であり、変身能力はあくまで副次的産物に過ぎない。

 ユウは、『心の世界』という宇宙規模に大きな独自の世界を己の内に抱えている。

 そこに自身のあらゆる体験を、全て漏れなく自動的に蓄積していく。そして蓄積したものは全て、原理上百パーセント自らの力として操ることができる。

 例えそれがどんな魔法や技であろうと、他のフェバルの能力であろうと、一度経験したものは必ず記憶し、習得してしまう。

 単体でも凄まじい能力だが、フェバルの持つ不死の性質と合わせるとなお恐ろしい威力を発揮する。

 初期状態こそ何の力もないが、終わらない旅の中で際限なく経験を積み成長していくことができるこの能力は、あらゆるフェバルの中で最強のポテンシャルを誇る。

 そんなチート能力であるが、致命的な欠点が存在する。それは皮肉にも、この能力があまりに強過ぎることである。経験したことを全て『心の世界』という器に溜めていくために、その蓄積量はあまりにも膨大なものになってしまう。

 ただの人間の肉体を持つに過ぎないユウでは、その膨大な力をまともにコントロールすることができない。無理に能力を使用すれば、力に振り回されて、心身が耐え切れなくなってしまったり、制御を失った能力が暴走して、ユウ自身に異変を生じさせてしまうこともある。

 ユウは能力の暴走を避けるために、普段は無意識に力をセーブしている。

 この能力は、『心の世界』というだけあって、その本質はユウ自身の心に根差している。そのため、ユウの精神状態が能力のパフォーマンスに強く影響してくる。例えば、憎しみや怒りに心を黒く染めれば、それに応じて凶悪な力を発揮することになる。この状態では、フェバルをも圧倒する凄まじい力を得るが、代わりにユウは優しさを失ってしまう。

 以上のように、元々は変身とはまったく関係のない能力なのだが、以下、ユウが女の子への変身能力を得ることになった経緯を説明しよう。

 幼少時、虐待を受けていたユウは、精神の危機に陥っていた。精神の揺らぎによる能力の暴走も、十分に起こり得る状態だった(実際、それは起こった)。

 そこでユウは、自分の心を守るために、無自覚に自らのサポート役を作り上げた。

 核とするのは、自分を守ってくれるイメージに最も適合する母親に関する記憶。そこに己の女性的な部分や、女性的な経験要素を加えてまとめ上げ、一つの人格として完成させた。

 さらにその人格に対して、女性としての肉体も付けてやることで、完全な一人の人間とし、自らの話し相手として『心の世界』に住まわせたのだった。この女性人格と女性の肉体が、現在のユウの女の身体の元になっている。そして女性人格こそまさに、もう一人の「私」(ユイ)である。

 自らのサポート役として作った存在は、そのサポートとしての役割ゆえに親和性が高く、扱うことへの負担も少なかった。

 そこでユウは、またも本能的に、リンクを張るような形で、能力のキャパシティをこの存在の現実世界への呼び出しに割り当てた。

 ところで、ユウが女性の身体を創り上げてしまったため、『心の世界』には男性の身体と女性の身体、二つの身体が実在している。しかし現実世界に実在できるのは、常にどちらか一方のみである。

 ユウが男であるときに女性の身体を呼び出せば、現実世界に本来存在しないものを呼び出す形になってしまう。しかし能力が非常に強力であるために無効とはならず、呼び出しは物理的に不可能ではない何らかの形で実現しなければならない。そこで、現実世界に矛盾なく辛うじて実現する現象として、ユウの肉体が瞬時に変化して女性のものに変化するということが起こる。

 これこそが変身の正体であり、変身能力とは、本来実在しない対象を無理に呼び出そうとして生まれた偶然の産物なのである。

 瞬時に身体を変化させるという離れ業をやるため、この割り当てはキャパシティをかなり食ってしまう。だがその割に現実世界へ及ぼす結果が大したことないことと、女性の身体の親和性が非常に高いために、心身への負担が少なく、非常に都合が良かった。

 この方法を採用することで、暴走の危険を孕んだユウの能力は、比較的安定を得ることに成功する。以後、デフォルトでは変身能力にキャパシティと照準が割り当てられ、その他の莫大な力には、普段は意識が向かないようにされることとなった。

 結果として、一見するとただの変身能力にしか見えないような、奇妙な能力が生まれてしまったのである。

 ウィルによれば、元々一つの身体を無理に二つに分けて、力も分け与えてしまったことで、ユウの肉体はフェバルが持つべき高いスペックのものからほとんど通常の人間のものへとレベルが落ちてしまっており、本来持つべき力をほとんど発揮できていないという。本来ならば、ユウは気も魔法も全て一人で操ることができる上に、能力を完全にコントロールすることができた。そしてその力もポテンシャルの通り、並みのフェバルを遥かに超えるものだったとしている。


・干渉

所有者:ウィル

 この世のあらゆる事物に干渉し、ある程度は思いのままに操ることができるという、最強級のチート能力。

 あらゆる事物とは、まさに言葉通りであり、その影響力は生物や物質を問わず、果ては概念にまで及ぶ。だが、干渉するものによってはほとんど影響を及ぼすことができないため、さすがに全能とまではいかない。


・反逆

所有者:レンクス・スタンフィールド

 決められた運命やルールなど、正確には世界の理というものに反逆することができるチート能力。ただし、あくまで反逆であり、完全に覆すまではいかないことも多い。

 一度ある理に反逆すると、安定状態を保とうとする性質を持っている世界には、その安定を乱す反逆者とみなされて警戒されるため、次からはその理に対しては効きが悪くなってしまう。

 使い方としては、例えば、フェバルの誰か(自分でも良い)がかつて行ったことのある世界なら、その人と同行する(自分なら一人で良い)ことによって、しばしの間その世界へ行くことができる。

 これは、「フェバルは星脈によって世界から世界へと流されている」という事実に対し、その流れに「逆らう」ことで可能となる。だが、この反逆が許されるのは、同じ世界に対して各一度きりである。

 ウィルの【干渉】にも「逆らって」弱体化させることができるため、彼にとっては目の上のたんこぶのような存在でもある。

 欠点としては、逆に世界の理に関わらないようなスケールの小さなこと(窓ガラスの修復など)にはこの能力は使えないということがある。

 あくまで一個人に過ぎないユウに【反逆】が効いたのは、ユウの特殊な『心の世界』が一つの独立した世界としての性質を持っているからである。


・星占い

所有者:エーナ

 この世のあらゆる事物を占い、大まかに知ることができるチート能力。あくまで大まかにであり、完璧にわかるわけではないところが少々難点だが、本当に何でも占うことができるため、その利便性は留まるところを知らない。

 所有者のエーナは、フェバルとなった自らの運命を酷く呪っており、同じ運命を持つことになる人物を、覚醒前に永眠させて、その運命から救うことを生きがいとしている。ただし実は、フェバル覚醒予定者を殺せたことは一度もない。

【星占い】を駆使して、フェバルとなる予定の人物、住んでいる場所、そこへの移動方法を調べては、抹殺しに向かうという日々を送っている。ちなみに、ユウもこの能力によって発見された。


・都合の良い認識

所有者:トーマス・グレイバー

 どんなおかしな恰好で、どんなおかしなことをしても、周りの認識が勝手に修正され、その存在も行動も常に違和感なしで受け入れられるという凄まじいチート能力。この能力を悪用すれば、とんでもないことであっても簡単にできてしまう。所有者のトーマスは、自分が自由に生きるという目的のためにこの能力を使っている。


・気の奥義

所有者:ジルフ・アーライズ

 気に関する理を覆す力。各世界の気力許容性による限界を全く無視できる上、他にも様々な利点を与える。

 通常、気は身体から離れると大気中に霧散し、ほとんど威力を発揮しないが、この能力の所有者であるジルフは、それを全く拡散させることなく扱うことができる。それによって、飛び技の使用が可能。

 さらに、星に存在するあらゆる生物の気を借りて扱えるという、どこの元〇玉だよと言いたくなるようなチートな能力でもある。

 こと戦闘能力に特化した能力であり、【干渉】なしのウィルならば、軽く上回るだけの力を誇る。この能力を使った必殺技は「センクレイズ」。気剣に莫大な気力を集中し、剣閃として放つ究極の奥義。威力は場合によるが、少々多めに気を集めれば、町一つくらいなら軽く吹っ飛ぶ威力である。さらに大量の気を集めることで、底なしに威力を上げていくことも可能。


・逆転

所有者:ワルター

 万物の流れを逆転させる能力。例えば時間を逆転させたり、攻撃のベクトルを反転させたりといった使い方ができる。


・属性付与

所有者:ハーティナ

 万物に属性を付与する能力。ユナの持つ魔力銃ハートレイルを作成したのは彼女である。ハートレイルには「全貫通属性」が付与されている。


・支配

所有者:ヴィッターヴァイツ

 自身より劣る者全てを支配する能力。具体的には、フェバル、星級生命体、異常生命体を除く全ての者を意のままに操ることができる。操り人形にするばかりではなく、操った者の気力や魔力などを暴走させ、人間爆弾とするなど、極めて凶悪な使い方が可能。


・死圏

所有者:ザックス・トールミディ

 自身の周囲半径約四メートル以内に入ったものの命を無差別に断ってしまう能力。フェバル、星級生命体、異常生命体には抵抗があるものの、それらを除く全ての者に無効化する術がない。


・いつもいっしょ

所有者:ラミィ・レアクロウ

 いついかなるときもザックスと共に生きることを保証する能力。ただそれだけの能力であるが、他のいかなる能力にも優先する。

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