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噂の動物屋敷  作者: 鵠っち
納葵音子~エピローグ~
38/50

遙と少年

 今話タイトルは「遙と少年」です。


 どうしよう、こういうの「残酷な描写」なのかなぁ?

「ハル、貴女も人が悪いわね。これって、私が昔作ったやつじゃない」

「遙、よくあんなに前に作ったものを再現できるわね。このレシピは本当に試してみたってだけで、あの日にしか作ってないわ」

 そんなことを覚えている二人もすごいが、それを味だけで再現する悠の母はもっとすごいと思った呉葉だった。

「二人ともだけど、なんでこんなに手間のかかる作り方をしたのか、甚だ疑問だったんだがね、実際に作ってみるといつもより楽だよ」

 ちなみに、作っているところは見ていないはずである。

「母様? 小母様?」

 美樹はなんだか心配そうである。

「おいしい!」

 呉葉は大満足で食べている。

「美樹さん。いつものと、これと、どっちが美樹さんの好みかしら?」

「……いつものも、これも、おいしいです」

 美樹は慎重に答えた。

「そう、これもいいのね。私的にこの味は黒歴史なんだけれど……」

「黒歴史ねぇ。まあそうなんだろうね。こんな作り方しちゃあ」

「あ、あの、けんかはおやめになってください、加古お姉ちゃん、永井さん」

 ささいな言い争いでも見たくはない音子であった。

 ややあって食後。

「そろそろ今日の目的を始めようか。早くしないと私らは日が暮れてしまうよ。幸い、この家には部屋がたくさんあるみたいだから、いざとなったら泊めてもらうのもありかな」

 未来也と美樹は少し怖いと思った。

「じゃあ、とりあえず、何も知らないイッツーと祈裡に説明からだね」

 少しの間をおいてから、遙が話し始めた。

「私の住んでいる近くに、たま~に現れる『動物屋敷』と呼ばれる大きなお屋敷があってね、もう六十年、七十年くらい前かね、取り壊されたはずのお屋敷なんだよ。その家に泊まると骨になって見つかるって言われてる、ホラーハウスでね、この間この子達がみんなで言ったのがその家なのさ」

 遙はそこで話を一旦切って、出されたアイスティーを一口飲んだ。

「うん、おいしいね。これを淹れたのは夕日くんかな」

「いえ、呉葉です」

 夕日が答えた。

「おや、呉葉ちゃんか。うまくなったもんだね」

「あろがとうございます、永井さん」

 呉葉は少し照れている」

「それで、『動物屋敷』に最後に住んでいたのは、十四、五の女の子だって言われているんだよ。私も、にわかには信じられなかったんだが、昔からうちの方では有名でね、十八年前かい? ちょうど今みたいに暑い夏休みの時期だね。家の前を掃いていると、ある少年が尋ねてきたんだよ。『音木という家を知らないか』って。もちろん、私は、そんなのはただの噂さって言ったさ。でも、その少年はなんと『三日前に来た』っていうじゃないか。その目を見て確信したよ。本当に見ちまったんだって。私は、知っていることは話した。知っていることっていっても、さっき言った、半世紀ほど前に取り壊された『動物屋敷』と呼ばれる家で、泊まっていくと骨で見つかるってだけなんだが、それを以って近づくなって警告のつもりだったんだ。一週間ちょっと経ってからかな? その少年を見たときには、もう息をしてなかったのさ。ただ、不思議なことに、骨になっていなかったんだよ。前から、『音木』の家にいったもんの骨を見つけたってのは、何度も、それこそ百や二百じゃ数え切れないほど聞いていたけど、肉がついたままの死体ってのは、本当に前例がなかった。おかげで、あん時は随分疑われたもんだよ。今じゃ、歴史の生き証人みたいに言われているがね」

 ここで、また一旦言葉を切り、大きく息を吸った。

「うーん、二十一年前だったかね? その家に泊まったある親子がいたのさ。その両親は例によって骨になって発見されたんだが、女の子は生き残った。少年が来るまで名前は知らなかったんだが、その女の子が音子ちゃんなんだよ。三年くらいして、雑誌に音子ちゃんが出ていてね、それを見て、こんな可愛い子じゃ、また会いたくもなるって、納得したよ」

 ええと、少年は死んでしまいましたが、プロローグ参照です。ネタバレですが、どうせ分かっていると思うので。


 次話タイトル(予定)は「夕輝と音子」です。

 遙の次は、音子の思い出語りです。音子と夕輝の馴れ初め……っていうか、ぶっちゃけプロローグ参照です。

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