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噂の動物屋敷  作者: 鵠っち
納葵音子~エピローグ~
34/50

美樹と呉葉

 今話タイトルは「美樹と呉葉」です。

「で、どんな話を聞かせてくれるんだ?」

(楽しみですね、未来也様!)

 美樹の目が楽しそうに輝いている。

「それは来てからのお楽しみだよ。あと、家を見て驚かないように、先に忠告するのを言われてるんだった」

(どういう意味でしょう?)

 美樹の表情が少し曇った。

「夕日たちの両親の話も気になるしな」

(みきやさま?)

 美樹の目は不信に染まりつつある。

「その話もするから、今は焦らないでくれ」

 美樹の目に輝きが戻った。

「オッケー。僕も美樹も楽しみにしてるよ。じゃあ、忘れないうちに全部伝えたいからこの辺、で……? 美樹が呉葉と話したいみたいだ。じゃあ、僕はかわるから」

 未来也は美樹に受話器を預けて、決定事項を伝えに行った。

「呉葉ちゃん、さっきはごめんなさい」

「未来也くんって、案外意地悪なとろこがあるのね……って、何で美樹ちゃんが話の内容を知っているのよ」

 呉葉が疑問に思うのは当然のことだろう。

「全部、未来也様から聞いていたわ」

「ああ、あの指をトントンするやつね。同時通訳みたいなことまでできるなんて、どれだけ応用効くのよ」

「……よく覚えていたわね。急いで伊いるときは簡略化するから、結構速くできるわ」

 美樹は呉葉の記憶力に驚き、呉葉の前では滅多なことはいうまいと心に誓った。

「簡略化しても、どうせ他人には見破れないんでしょうね」

「見る人が見れば分かると思うわよ。パターンを二十分の一くらいに減らしているから」

 実際は、美樹は未来也がどのような基準でパターンを考えているのかは分かっていない。

「どんなに減らそうとも貴女たちのことだから、ひらがな、カタカナ、数字、アルファベットくらいの違いはありそうなきがするわ」

 実際にはアルファベットという括りではなく、英語、ドイツ語、フランス語までは細分化できている。未来也と美樹は、既に『海外で不自由しない』どころではない語学力を持っている。付帯rとも、中学から英語の試験では満点しか取っていない。しかし、美樹はそこまで言う必要はないと思い、

「それくらいしないと、正確に伝えられないでしょう?」

 と適当に答えた。

「やっぱり貴女たちはあたしたちとどこか違うわよね。あーあ、『燕雀安えんじゃくいずくんぞ鴻鵠こうこくの志を知らんや』ってこういうこというのかしらね」

 呉葉は、わざと面倒な言い回しを使った。少なくとも、美樹はそんな言葉を使う人を今まで見たことがなかった。

「呉葉ちゃん? 小難しい言い方をしないでくれる? そんなことより、それは違うと思うわ。少なくとも私は、そんなにできた人間じゃないわ」

「小難しい、ねぇ。あたしもこんな言葉使うの初めてよ。それにしても、美樹ちゃんにも難しいと思うことがあるのね」

「五年くらい前に辞書で見かけてなかったら、そんな言葉一生知らなかったでしょうね。それに、使う人がいるなんて、普通思わないわよ」

 七年前から五年前までの美樹の愛読書は国語、英和、独話、漢和、英英、仏独どの各種辞書だった。暇さえあれば今でも読んでいるため、辞書は既にぼろぼろ。しかし、それだけ、美樹の脳に刻み込まれている。

 ちなみに、未来也はさらに露、西、蘭語なども少しは分かる。

「あたしは、昨日見つけたのよ。なんとなく開いたページになにやら難しい言葉があったのよね」

 呉葉が辞書を開くのは、いつも何の目的もない。分からなければ夕日に聞けばたいていのことは分かるからだ。

(美樹、ご飯ができたそうだよ)

 未来也が戻ってきた。

「ごめんなさい呉葉ちゃん。お夕食の時間なの。また今度お話しましょ」

「ええ、こっちこそごめんなさいね、長話しちゃって。またね」

 美樹は受話器を離すと、電話を切った。

 前話に引き続き電話回でした。

『燕雀安んぞ鴻鵠の志をしらんや』の意味は、『小人物は大人物の遠大な志を知ることはできない』(電子辞書:広辞苑 第六版)です。どちらにしろ、意味のない掛け合いでした。日常会話で使われることは、普通はないでしょうね。


 美樹の趣味ですが、辞書を眺めるのが好きな人っていますよね。それの行き過ぎちゃった感じです。読書といいつつ小説とかではなく辞書を読んでいるような人なんです、美樹は。


 次話タイトルは「二人のいたずら 夕食編」です。

 さて、注意です。変な料理が出てきますが、真似しないでくださいね。材料(費も含む)と味の保障はしかねます。やるならば自己責任でお願いします。

 あ、やった方はおいしいかまずいか教えていただけると嬉しいですね。

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