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第206話 変わったあの場所


 ラトーナの寝顔を眺めることから始まった朝。

 見たまえ、俺の傍ですやすやと眠るこの美少女を。

 実に清々しい気分だ。まるで正月元旦の朝に……いや、流石にくどいか。


「んぅ……おはようディン……」


「あ、ごめん。起こしちゃった?」


 愛しさにそっと頬を撫でてみたら、彼女がうっすらと目を開いた。

 流石に起こすのは忍びないので、次からは眺めるだけに留めておこう。


「いいの。お腹も空いたし」


「じゃあ朝ごはん貰いにいこうか」


 おお、なんか今の会話は夫婦っぽい。

 残念なのはシチュが詰め所の部屋だというところだな。これは早急なマイホームの購入が求められるが……どうやって金を集めたものか。

 というか、家を買うのにどれくらいの金がいるのかすら俺は知らないしな。

 朝からやることリストがパンクしそうだ……


ーーー


 さてさて、朝食と身支度を終えて、ラトーナと共に向かったのは学園のとある一室。

 

「おお、久しいねグリム君にラトーナ君じゃないか」


「ご無沙汰しております王子」


「殿下におかれましては、ご健勝なようで何よりでございます」


 そう、やってきたのは学園の生徒会室。

 復学したということで、まずは関係各所への挨拶回りを始めたのだ。

 トップバッターはマルテ王子。彼には色々と世話になったのもそうだが……まあ身分的に彼が最初の方が角が立たないというのが本音だ。


「それと、諸事情で『グリム』という名はもう捨てました。今は『ディン•オード』で通しておりますので、そう呼んでいただけると幸いです」


「それは実家のお家騒動の影響ということかな?」


 やはりリディの根回し通り、俺は名前を借りているムスペル王国豪商のバルジーナ家の相続問題で急遽帰国したという情報が回っているらしいな。


「はい。お察しのほどです」


「わかった。それでは改めてよろしくディン君、卒業まで残すところ三ヶ月ばかりだが、引き続き生徒会の一員として治安維持に努めてくれるかな?」


「謹んでお受けします。ああそれと、一つご報告が」


「聴こう」


 茶番も終わったところで、俺は王子にラトーナを妻にしたことを報告した。

 さっきまではあくまで生徒会長、王子として機械的に振る舞っていた彼だが、何よりの好物が恋バナで、俺とラトーナの関係にもかなり首を突っ込んでいただけあって、態度が豹変してがっついてきた。

 目を輝かせて結婚の経緯を聞き出そうとするその様子はまさに年相応という感じだった。


ーーー


 生徒会室から出ると、どっと疲れがやってきた。

 無理矢理にでも話を切り上げなければ、きっと無限に惚気話を話すハメになっていただろう。

 惚気を聞かされてうんざりすることはあるが、まさか話させられてうんざりする日が来るとは……

 

「ふ〜……どうだったラトーナ」


 廊下を歩き出し、生徒会室からある程度心なしか疲れているラトーナに声をかける。


「黒ね。リディアンの言う通り、最初からお見通しよ」


「そうか……」


 今回ラトーナを同伴させたのは他でもない、王子が俺のことをどこまで知っているか探る為だ。

 というのも、昨日の話し合いの時にリディアンから本名を名乗れと言われたのが始まりだ。


ーーー

【昨日】


「本名ですか?」


「そう、復学するにあたって、君はもう『グリム』を名乗らなくていい。ディンとして好きにやるといい」


「え、でもどうして今更?」


 いちいち面倒くさい嘘をつかなくて良くなるのは嬉しいが……

 そもそも、俺ってなんで偽名を使って入学したんだっけ? 家柄のコネを使うためだったか? どうにもそこら辺が曖昧だ。


「もともとは俺と君に直接的な繋がりがないことを隠すためのものだったけど、黒幕の正体がわかった今、その必要も無くなったからさ」


「なるほど……って、え? マルテ王子の裏にいる人間がわかったんですか!?」


「うん。君、そしてラトーナもよく知る人物だよ」


 俺とラトーナが知っていてかつ、王子に接近して裏で操ることが出来る地位の人物……

 魔術科の教授はそれなりに良い家柄の出身だがそういったことには無縁そうだし、となると残る候補は——


「私の父、アーベスですね」


「正解」


 ディフォーゼ家は王子派閥なので、もしかしたらとは思った。

 でも口には出せなかった。だってそれじゃあ、ラトーナは和解した父親と敵対することになる。俺としても昔にかなり良くしてもらったので、出来れば読み違いであって欲しいと思ったのだ。


「実際、学園の武闘会の日にアーベスは俺に接触してきた。どこからかディンと俺の繋がりまで調べ上げてね」


 マジかよ。

 っていうか、時系列的に考えるとアーベスの接触よりも俺が生徒会に入ったことの方が後だからつまり……


「王子は元々全て知った上で俺を受け入れた……?」


「そうだね、まんまと支持率アップに利用されたわけだ」


「……」


ーーー


 とまあ、そんなことがあり、復学の挨拶のついでに真偽の程をラトーナに『遺産』の力を使って確かめてもらったのだ。

 

 うん、許せん。

 俺が一人エリートスパイ気分で気持ち良くなってる様子を見て、あの王子は裏で茶会の笑い話にでもしていたのだろう。

 まあ、恋愛相談に乗ってくれたり、色々頼み事を聞いてもらったのは事実だから今回はチャラにしてやるが……

 どのみち、彼とは敵対しなきゃいけないからなぁ、いっそ嫌いになれた方が良かったかもしれない。


「嫌なら逃げても良いのよ。私はアナタの行く所が居場所だから」


 『読心』は使っていないようだが、今の考えが顔に出たのか、ラトーナに気を遣わせてしまった。

 参ったな、そんなに俺はわかりやすい奴だろうか。


「ありがとう……でも逃げないよ。君が居てくれさえいれば他は些事だ」


「ふふ、お上手ね」


 そうだ。五年近くかけてやっとラトーナとの生活を手にしたんだ。

 これからは彼女を守っていかなければいけない以上、前みたいに後先考えずに一時の感情に任せて動くわけにはいかない。

 たとえ仕事が危険があろうとも、リディの下に付いてる内はある程度将来が保障されているのだから。


「でも、この力は私に返しちゃって良かったの? 今みたいに連れ回すのも面倒じゃない?」


 返還したラトーナの『遺産』は実際使ってみてわかったが、やはりメインの『読心』だけじゃなく魔力の自動収集機能も含めてとても強力な加護であった。

 これが無かったらヴェイリル王国では刻印の身体強化を最大出力で常時発動なんて出来なかっただろうから、ほとんどの白兵戦はどうなっていたかわからない。だから今のこの結果に辿り着けなかった可能性は大いにある。

 これがあるのと無いのとでは、俺の実力はかなり変わってくるが……


「なんか、俺にはまだ過ぎた力かなって」


 本格的な格闘戦が出来なくなった今となっては特に使い道もないし、アレにかまけてしまていては俺自身の成長が止まってしまう気がするのだ。

 所詮俺には、ラトーナのような頭脳とセンスもなければ、アインのような剣才もない。ヴェイリル王国での戦いでは、格上には一度も正面から勝てていない。

 こうして時間ができた今こそ、自分の戦い方をゼロから見つめ直すべきなんだろう。

 

「それに、ラトーナと一緒にいる理由はいくつあっても良い」


「そんなこと言ったって何も出ないわよ」


 なんて言いつつも、俺の頬にキスをするラトーナ。

 いけませんよ奥さん、ここは公共の場です。俺のエクスカリバーが暴発したらどうするつもりなのですか。隻腕の俺では抑えきれませんぞ。


「さっ、予定も詰まってるんだし早く行きましょ」


 照れ隠しのように俺を足場に追い抜いていくラトーナさん。

 ぺろぺろしたいです、はい。


ーーー


 次にやってきたのは、我らが現代魔術研究室なのだが……


「あ! ひょっとしてグリムさんですか!?」


「おい皆んな! グリムさんがいらっしゃったぞ!」


「後ろにいるのはひょっとしてラトーナ様じゃ!?」


 まず何から突っ込めば良いだろうか。

 一つ目は場所だ。研究室は前と違う場所に移動していた上に、めちゃくちゃ広くて豪華になっていた。以前の物置のような部屋とのギャップに眩暈がしそうだ。

 

「うおおおおやっと会えましたぞ!!!!!」


 そして何より、扉を開けた先で待ち構えていた謎の集団だ。総勢十数名、人種も多種多様、制服を着てるので多分生徒なんだろうけど……


「えっと、君達は……?」


「新人研究員です! グリムさんの論文に惹かれてやってきました!」


「私もです! 上級魔術の詠唱化とか感動しました!」


 あれ、上級魔術の汎用化理論ってまだ発表してなかったはずだけど……まあ後でいいか。


「えっと、ひとまずジョージ室長にお会いしたいんだけど、いらっしゃるかな?」


「ジョージ室長は出張のため学園にはおりません。代わりにアセリア室長代理が——」


「え!? グリム君!?!?」


 噂をすればというやつか、広い広い研究室の奥にあった扉から見覚えのある女性が現れた。

 

「久しぶりねアセリア」


「えっ、あっ、ラトーナ……ちゃんまで……?」


 アセリアはまるで亡霊でも見たような顔をしてこちらに駆け寄って俺達をペタペタ触ると、崩れ落ちるかのように地面にへたり込んでボロボロと涙を溢し始めてしまったアセリア。

 流石に他の生徒達も状況を呑めずにギョッとしていたので、場所を移すことにした。


「……失礼しました……」


「い、いえいえ……」


 場所は変わって室長室。なんか前までは資料に埋もれた飾り気のない部屋だったが、今は観葉植物とかが置いてあって、ベンチャーITのオシャレオフィスみたいになってる。

 元々はジョージ室長の部屋だったそうだが、どうやら彼はこの二年で魔導科学長にまで上り詰めたようで、その多忙さ故に研究室は殆どアセリアに任せっきりで部屋もほぼ彼女のものなのだそうだ。


「えっと、改めてお久しぶりです。先輩」


「はい、お二人ともお帰りなさい。また会えて嬉しいです……」


 二年ぶりに再開したアセリア。

 初対面の頃は猫背で前髪で目元を隠し、オドオドと喋るとにかく陰険な女性というイメージだったが、今はどうだろう。

 背筋と服の皺はピンと伸び、前髪も切り揃えられていて、どこかこう……丸の内を庭とするバリキャリって感じだ。とても十七歳には見えない覇気がある。


「しばらく会わない内にお綺麗になりましたね、先輩」


「お上手になりましたねディン君」


 以前までの彼女なら、真っ向から容姿を褒められでもしたら顔を真っ赤にして取り乱していたはずだが……目の前には口元を隠してくすくすと上品に笑う先輩の姿。変わったのは見た目だけじゃないのか……大人の余裕というやつだろうか、俺が独り身だったら今の仕草で完璧に落とされていただろうが痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!

 ごめんなさいラトーナさん、そうですよね、社交辞令とはいえ妻の前で他の女性を褒めるのは無神経でした。

 以後気をつけるのでつねるのと睨むのを辞めてください……


「そ、それより、ラトーナちゃんがここに戻ってきたということは、お二人は……」


「ああ、はい。お察しの通り結婚しました」


「……そ、そうですか! お二人ともお似合いですよ」


「ありがとう。それで早速なのだけど、この研究室に何があったの? 随分様変わりしたようだけど……」


「はい、えっと——」


 そこからは、俺達がこの国を離れていた二年間で起きた出来事がアセリアの口から淡々と語られていった。

 

「すみません。もうご存知かも知れませんが、お二人の作り上げた上級魔術の汎用化論文を身勝手に発表してしまいました……」


 ことの始まりはそう、研究室の中心であったラトーナと俺が抜けてしまったことで、その年に発表予定だった件の研究が凍結してしまったことだ。

 当然ながら、学園から研究費を得ている以上毎年何かしらの成果は報告しなければいけない。

 しかし、せっかく地位を得はじめた研究室を傾かせまいと焦ったアセリアは、俺とラトーナが個人で作成していた論文を発表したそうだ。


「本当にごめんなさい」


「ちょっ、辞めてください!」


 悲痛な声と共に五体投地するアセリアの体を地面からひっぺがしつつ、ソファに再び座らせる。


「大袈裟ね、結果的に研究者の欄にアナタの名前が追加されただけじゃない」


 ラトーナの言う通りだ。

 聞けば、その論文も俺達名義で発表されたわけで、その研究に現代魔術研究室が大きく貢献したという体にイジっただけだから、研究自体を横取りされたわけじゃない。

 いやまあほぼ剽窃のようなものだし、研究成果を山分けすることになった時点で、本来なら普通に問題なんだろうけど……


「そもそも、断りもなく消えた俺達に非がありますし」


「そうね、貴方が気負う必要なんてないわ」


「でもそれじゃあ、私の気が済みません。何でもするので詫びをさせて欲しいです……」


「なっ、何でも……」


 俺はまだそれしか言ってないのに、横からラトーナがつねってきた。

 冗談なのに……

 これは前世の鉄板ネタであって、マジでエロいこと要求したりするわけじゃないのに……

 何で俺の信用がないんだ? 俺はそんな下半身でモノを考えてると思われるような言動はしてこなかったと思うぞ?


「コホン、えっと……だったら、また俺達をこの研究室に入れて下さい。それでチャラっていうのはどうですか?」


「えっ……でもそんな——」


「私もディンと同意見よ。一度身勝手に去った人員を迎え入れるなんて都合の良い話でしょうけど、今度こそ貴方達の力になると誓うわ」


 アセリアを遮って、食い気味にラトーナが俺に同調した。

 ここでアセリアが俺達の条件を『そんなこと』と言ってしまえば、また彼女が負い目を感じることになってしまう。

 だからアセリア側も割を食ってることを強調し、これは対等な取り引きであると再認識してもらうの


「どうでしょう先輩……いや、アセリア室長代理殿」


「……お二人には敵いませんね。それを受け入れるとします」


 とにかく勢いで押し切ろうとする俺らの意図を察したのか、アセリアは涙を拭いながら苦笑してそれを承諾した。

 ひとまず納得してもらうことはできたようだな。なにより、これから人脈を広げていくにあたってこの研究室を使えるのは大きい。


「ならよかった。時間があるようなら、今後の話とかも聞いておきたいんですけど……」


「はい……あ、ですがその前にお渡しするものが」


 アセリアは思い出したようにそう言うと同時に、室長室に飾ってあった一体の人形が動き出して、部屋の棚からバスケットボールくらいの大きさの皮袋を机に持って来させた。

 ジャリジャリと言う音と、机に置いた時のゴトンという音からして大金が入ってるようだが……


「こちらを渡さなければと思っていたんです。受け取ってください」


 アセリアに促されて袋の中を覗くと、そこには大量のギル金貨が詰められていた。


「あえ? こんな大金をどこで……?」


「それはこの二年間で入った氷結魔導具の使用料金です」


「え、こんなに……?」


 氷結魔導具は王家ととある喫茶店にしか設置してないし、喫茶店の方からは大した金を取ってない。

 流石に多すぎると思うのだが……


「こちらも勝手で申し訳ないのですが、新モデルを完成させて、それを幾つかの市場に売り込みました」


「あー……なるほど、でもこんなに?」


「二十箇所からの定期利用料金と、民間を対象にした氷結魔導具の利用施設をギルドと協賛して幾つか設けましたので、それなりの額になりました」


「凄いわね……全部アナタがやったの?」


「はい。展開プランはディン君が以前語ったものをベースにしているので、何から何まで私がやったと言うには少し烏滸がましいですが」


「いや、俺の考えていた以上の結果ですよ」


 民間利用なんかまでは全く想定していなかったし、海岸のある北部を中心に展開させるのも俺の案じゃない。

 そもそもマーケティングなんかは俺も大してできないのでラトーナに丸投げするつもりだったしな。


「そう言っていただけると、私も勉強した甲斐がありました」


 謙遜気味に苦笑するアセリアだが、対人が得意じゃない彼女が進んで売り込みなどをしていたのだと考えれば、物凄い成長だ。おまけに最高の結果を出しているのだから、もっと誇れば良いのにと思う。


「そういえばこれ、全部でいくらぐらいですか?」


「それは一部なので、全部でギル金貨450以上はあります。残りも後ほど」


「450枚……」


 ミーミル王国のギル金貨はムスペルなんかと比べて純度が低いので価値は半分、日本で言う五万円くらいしかないそうだが……それでも単純計算で四〜五千万円近くあるな。


「先輩の手柄なのに、こんなに受け取って良いんですか」


 というか、さっきの取引の段階でこれを出すことも出来ただろうに、それはそれ、ということか……? 

 律儀だなぁ、誠実すぎて全部受け取るのに抵抗感を覚えてしまう。

 

「はい、この商売は元々ディン君が考えたモノですし、今の現代魔術研はパトロンにも困っていないので」


「わかりました。ありがとうございます……」


 マジか、いきなり大金が手に入ってしまった。

 あ、もしかしてこの金で家とか買えたりするのかな? 

 となるといきなりマイホーム問題解決か!? 早ければ今日にでも物件を探しに行くとしようか。


「それじゃあ、次は本題かしら」


「そうですね、今後お二人には——」


ーーー


 アセリアとの打ち合わせ、学長や校長への復学報告、etc……とりあえず今日の予定は全て終わらせることができた。

 現在時刻は夕方、先ほどこっそりアセリア先輩やジョージ学長に聞いたところ、王都に不動産屋のようなものがあるそうなので、行ってみようかと思う。

 なぜこっそりなのかだが……まあ、あれだ。マイホームはサプライズ的な感じでラトーナに紹介したいのだ。

 これまで、ボロボロになって気絶したりとか、大人気なく喧嘩したりとか、上司にヘコヘコしたりとか、ラトーナに何一つカッコいいところを見せられていない。

 こんな俺が良いと言ってくれたラトーナだが、やはり好きな人の前ではカッコの一つくらいつけてみたいと言うのが男だろう。


 問題は、今現在も俺の隣を歩いているラトーナとどうやって離れるかだ。

 物理的に撒くわけにもいかないし、下手な誤魔化しをしようものなら、『読心』を使われて一発アウトだ。

 ラトーナに対して嘘をつく、というのは他とはわけが違う。新婚早々彼女に不信感を与えるのは絶対に避けたい……もういっそ、サプライズしたいから俺に選ばせて、と正直に話すべきか。それだとなんかな〜……


 なんて事を考えていると、ラトーナが衝撃の一言を口にした。


「さ、早く家を探しにいきましょ?」


「え」


 さも、前から一緒に行く予定を立てていたかのような口ぶりで、ラトーナはルンルンとスキップを踏み出しのだ。


 どうしよう、何故か普通にバレてる。

 こんな屈託のない笑顔を見せられたら、断るわけにもいかないじゃないか。


「うん、そうだね」


 仕方ない、サプライズは別の何かにするとしよう……

コロナのせいで太りました。マジで許せません

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