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第二十一話:ケモ娘のポーションは儲かるようです。

首元が生温かい舐められてるような感触に目が覚める。


「んっ…アコ?」


アコが俺の首元を甘噛みしていた。

猫の本能か何かなのだろうか。

近すぎて顔は見えないがこれはこれで可愛い気もするのだが、アコを起こすことにする。


「アコ?」


首元からはなしカラダを軽く揺すりながら名前を呼んでみる。


「ふぁ…ましゅたぁ?」


アコ、舌が全く回っていない。

朝が弱いんだろうなぁ。こういうところも可愛い。


「おはよう。」


アコの頭を撫でながら答える。

なぜかアコが少し赤くなりながら、


「おはようなの…」


小さな声で応える。


「アコが俺の首元に噛み付いてたから起きちゃったよ」


そういうと、もともと少し赤かった顔が真っ赤になる。


「ご、ごめんなさいなの…」


「別に痛くなかったし問題ないよ。獣人はみんなこんなことをするのか?」


アコが顔を半分を毛布で隠しながら、


「そ、その…獣人は家族や、こ、恋人とかには自分の印をつけるために甘噛み…するの…で、でも、寝てる間にするつもりはなかったの…」


「アコが俺のことを好きな証だな。」


アコが顔を全部隠す。


「顔を洗いに行こうか。扉、出してくれるか?」


「ちょ、ちょっとまってほしいのっ」


しばらく待つとまだ顔を赤くしたアコが毛布からでてくる。


「ま、マスターはいじわるなのっ」


アコがそういいながら扉を出してくれる。


「アコがかわいいからイタズラしたくなるんだよ。」


「いじわるなのっ…」


扉を開けたら先にアコが中に入って行く。

耳と尻尾がピクピク震えてご機嫌なようだ。


「朝ごはんが来るまでポーションを作ってようか。」


「わかったの。」


今回は大きな鍋に1/3ほど水を入れ、火をつける。


「今日はダンジョン、3層までいけるといいな。」


「マスターとアコなら大丈夫なのっ」


「今日はボアウルフを倒したらお肉残して食べてみるか?」


「いいの?」


「ああ、せっかくなんだし食べてみよう。新鮮だからきっと美味しいぞ。」


「たのしみなのっ」


そういえばここの人は肉をどうやって運んでいるんだろう?

腐らないのかな?


水が沸騰してきたので残っている癒し草と止血草を同じだけ入れる。

一本だけ止血草が残ってしまった。

そういえば癒し草とか止血草ってここで育てられないのかな?

どこにでも生えているって書かれてたし植えたら繁殖しないかな?

まあ、これはもう萎れているから無理だとしてもこんど自生しているのを見つけたら根っこごと植えてみようかな。


しばらくアコとおしゃべりしながら交代で混ぜていたら朝食が届く。


「俺がとって来るからアコは混ぜていてくれ」


「わかったの」


廊下の椅子から朝ごはんを取ってきて、机と椅子をダンジョンのなかに運ぼうか迷ったけどダンジョン魔力で出すことにした。

どうせいつか出すことになるんだしあまり変わらないと思ったからだ。


机が5ポイント、椅子が3ポイントだ。

机や椅子がチキンやサンドイッチと同じポイントなのにやはり納得のいかなさを感じながら朝食を並べる。

机は木で出来た結構大きめのがでた。四角形の4人は座れる感じの大きさだ。

椅子は普通だ。木製の椅子って言って最初に想像するのが大体こんな感じの椅子になると思う。

残りはダンジョン魔力は11ポイントかな。


「俺が混ぜとくから、アコはご飯食べていいぞ。」


「ま、マスターからたべてほしいのっ」


「俺はおっきいから食べながら混ぜれるんだよ。」


「わ、わかったの」


アコの分のオレンジジュースを出して渡しながらそんなやりとりをする。

今回は俺の分の飲み物はなしだ。10ポイントは残しときたいからな。


今日の朝ごはんは、具のないスープに、いつもの硬い黒パンに、野菜炒めだ。

この具のないスープ。豚骨ベースなのかな?ちょっと油っぽいがかなり美味しい。

他はいつも通りだった。

アコもスープが結構気に入ったらしい。


食べ終わった頃には少しポーションを作っている鍋が光り出していた。

前回より時間がかかった気がするけどこんなもんかな?

これからしばらく混ぜるとして全部で2時間くらいかな?


「アコ、このお皿、女将さんのところに下げて来るから混ぜといてくれ。」


「わかったの。」


お皿をお盆に下げ、一階に降りて、受付にいた女将に声をかける。

ちなみに宿は、入り口から右側が食堂、左側がキッチンと廊下と階段だ。

廊下の先は女将さんたちの従業員の部屋などで基本立ち入り禁止。

宿は二階と三階となっている。


「おはようございます、女将さん」


「おはよう、カケルくん、わざわざすまないね」


「いえいえ、ついでですから。」


「ついで?」


「ええ、塩を買おうと思っているんですがどこで買えばいいですかね?」


「塩?それならいっぱいあるから少し持っていくかい?」


「いいんですか?」


「いいわよそのくらい、高いものじゃないんだし」


調味料はたかいものじゃないのかな?

いや、海が近いんだっけか。


「この街は調味料が安いんですか?」


「そうよ、砂糖や胡椒とかもダンジョンで取れるようになったからねぇ、他の国とは比べ物にならないわよ。」


ダンジョンすげぇな。


「ちょっとまっててね。」


そう言ってしばらく待つと小さな袋を持って来てくれた。


「ありがとうございます。」


「いいのよこのくらい、私たちは大量に仕入れるから安く買えるのよ。」


そう言って笑ってくれる。いい人だ。


「では、アコを待たせているので」


「早くもどってあげなさい。女の子1人っていうのは寂しいものよ。」


軽く会釈して階段を登る。

確かにすぐ近くとは言ってもアコ1人にするのは無用心だったかな。


「ただいま、アコ」


「おかえりなさいなの」


なんかいいな、このやりとり。

戻ると、まだかき混ぜていたアコ。


「変わろうか?」


「大丈夫なのっ」


「これからダンジョンだからあまり無茶するなよ」


「わかってるの」


結構光ってきている。

多分もうそろそろなんじゃないかな?


しばらく混ぜていたら昨日と同じくらいには光ってきた。

結構時間がかかると思っていたけどこれなら毎朝できる気がする。

週500個も簡単に行けるのでは?


アコと2人で瓶に入れていく。

そこで瓶がなくなっていることに気づいた。

しょうがない、ポイントで出すかな。

5個セット1ポイントだ。

5ポイント使い、25個の瓶を出す。

合計で38個のレッドポーションの完成だ。

銀貨3枚だとして114枚。

おいしいな。


この鍋の大きななら一気に50個くらいなら作れそうだし、良さげなら大きな鍋も買っていいかも。


でも、それだと時間がかかるかな?

いや、癒し草と止血草の数を増やすせば増やすほど完成時間が早まるんだっけ?


今日の倍くらいの量で明日はやってみよう。

明日どうせ休むならブルーポーションに取りかかってもいいかもな。


「アコ、まずアルのお店から行こうか」


「わかったの」


「ポーションこぼさないようにな」


「わかってるの!」


ポーションは俺が28個、アコが10個、それぞれの背負いのバックに入れている。

アコに外套を着せて、弓をつけさせて、宿を出る。


アコと手を繋いで朝の道を歩く。朝なだけに結構人とすれ違う。

ぶつかって転びそうで怖いな。


自然と歩みが遅くなる。


いつもよりも時間がかかってしまった。

裏にはまだアルが屋台を出していなかった。

朝はやってないのかな?


「アルはいるか?」


中に入りこの前と同じ男性店員に声をかける。


「しばらくお待ちください。」


そう言い残し男性店員が二階へと上がっていく。

しばらく待っていると、


「よぉ、おはよう。朝早くくるのは初めてじゃないか?」


「おはよう。そうだな、朝は屋台やってないんだな。」


「ハハハっ、こっちも朝からやりたいんだが俺にも色々と仕事があってな。」


「なるほどな。」


「アレを持ってきたのか。」


「とりあえず38個だ。」


「上へこい。」


そう言ってアルについていく。

この前と同じ執務室に入り、


「見せてくれるか?」


「わかった。」


アコと2人で並べる。


「お前ら宿に住んでいるんだろう?」


「そうだよ?お前が紹介したあそこだ。」


「宿の厨房でも借りているのか?モノがモノだけにあまり人に見られるのは良くないぞ。」


そういえばそこのところ気にしていなかったな。


「大丈夫だ、誰にも見られないようにやっている。場所も宿ではない。」


「そうか、ならいいんだ。」


出して言ったポーションを1つづつ見ているアル。


「38個、全部良さそうだな、本当に銀貨3枚でいいのか?」


「ああ、それで頼む。これは売れそうか?」


「きっとバカ売れするぞ。昨日のやつ、ちょうど店の小僧が怪我をしてな、使わせてやったんだが一瞬で治ったぞ。」


「そこまでなのか。」


「これなら高くても買う。冒険者はちょっとした時間が命取りだからな。」


それなら良かった。


「これ、銀貨114枚だ。金貨より銀貨がいいか?」


「ああ、そっちの方が使いやすいと思うからな」


木のケースを11本と銀貨4枚を渡してくる。

なるほど、銀貨10枚づつになってるのか。


「このケースっていくらぐらいだ?」


「銀貨用も銀貨用も銅貨3枚で買えるぞ。」


「それ各5本づつに、あとポーションを入れる瓶をもらえないか?」


「瓶はどのくらい必要だ?」


「あればあるだけいいな。置いておけるしな。」


「100本くらい用意しとくか?」


「頼む。」


「商品は宿に届けさせとくこともできるぞ。」


「ケースも宿に頼む。今もらってもお金をひっくり返さないといけないからな。」


そう言って2人で笑う。


「そりゃそうだ。銀貨1枚でいいぞ。ケースはオマケだ。」


つまり、瓶は銅貨1枚なのか。意外と安いな。こういう世界だともうちょっと高いものかと思ってた。


「助かるよ」


銀貨1枚を渡し、席を立つ。


「じゃあ、これからダンジョンだ。」


「気をつけていってこいよ。お前が死んだらうまい話が台無しだからなっ」


笑ってそんなことを言う。

薬瓶、安いのではなく安くしてもらっているのに、気づいてはいません。

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