↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

【パパソノの世界】


 此処はとある学校の校舎です。


 アナタは此処で4日間過ごさなければなりません。


 校舎内の施設は自由に使う事が出来ます。


 購買の飲み物やお弁当は持ち出して良いので、アナタはこの4日間、飢える事は有りません。


 保健室のベットで充分な睡眠を取ることが出来ます。


 視聴覚室では好きな映画を楽しむ事が出来き、体育館での運動も自由。


 アナタは快適な4日間を送る事が出来るでしょう。


 但し、此処にはアナタ以外の存在が1人だけ存在しています。


 この4日間の間にその存在の姿を見てしまうと外へと繋がる扉は永遠に現れませんので、ご注意を。


 その存在は昼には音楽室でピアノを演奏しているので、邪魔さえしなければ音楽室から出て来る事はありません。

 

 夜は校舎内の廊下をランダムで徘徊していますが、廊下に出なければ、出会う心配はありません。


 1日が経過しました。


 アナタは視聴覚室にて、購買で手に入れたスナック菓子と炭酸飲料を堪能しながら、国民的アニメ映画を楽しみます。


 隣の音楽室から流れてくるピアノの音も気になる事は無く、その日は無事に終える事が出来ました。


 2日が経過しました。


 アナタは引き続き、視聴覚室にて映画を観ます。


 但し、隣の音楽室から流れてくるピアノの音が先日よりも気になってしまい微妙に楽しむ事は出来ませんでした。


 3日が経過しました。


 アナタは2日間に渡る映画視聴で鈍った体をほぐす為に、体育館で運動をしました。


 体育館は音楽室から離れており、ピアノの音は聞こえません。


 4日目の朝に校内放送が流れました。


 アナタは保健室のベットに横になりながら、その校内放送を聞いています。


 今晩午後20時に体育館入り口に、外へと繋がる扉が現れます。

 その時間になるまでは体育館の有る南校舎は立入禁止とさせていただきますので、ご注意ください。

 尚、この扉は30分間しか存在しないので、お帰りの際はくれぐれも遅れないようお願い致します。


 アナタは放送を聴くと、南校舎に一番近い調理実習室へと移動しました。

 

 購買から持ってきたお弁当と飲み物を机に置き、時間が来るまで、アナタは図書室から持ってきた本を読む事にします。


 そして、午後20時になりました。


 校内放送が流れます。


 体育館入り口に扉が出現しました。

 お帰りの準備を整え、速やかに体育館入り口までお越しください。


 おめでとうございます、この扉は正真正銘の外へ出られる扉です。


 アナタは校内放送を聞いて、調理実習室から廊下に出ました。


 すると、ピチャリピチャリと、水滴のたれる音がアナタの後から段々と近づいて来るのが分かります。


 アナタは振り向こうとしますが、音楽室の居る存在を思い出し踏みとどまりました。


 その存在の姿を見ないように、アナタは前だけを見て走り出します。


 しかし、水滴が垂れる音からは一向に距離を縮める事が出来ません。


 このままでは体育館に到着するまでに追いつかれてしまいます。


 体育館が視界に入った時には、アナタのすぐ後ろに何者かの気配が感じられました。


 アナタは咄嗟に振り向こうとする衝動を必死に堪え、前だけを見て歩きます。


 体育館へと続く渡り廊下に着いた瞬間、アナタの頬にべチャリと湿った人の手が触れました。


 少しでも眼球を動かせば、ソ(・)レ(・)が見えてしまう、アナタはそう思いギュッと固く目を閉じます。


 体育館まで約10メートルの距離を、アナタは背中に張り付く謎の存在に怯えながら、完全な暗闇の中を歩きました。


 ゆっくりと、しかし確実に前へと進みますが、アナタは扉が出現している残りの時間がわかりません。


 もしかしたら、扉はもう消えているのではないか、と言う恐怖に体を震わせてながらも、アナタは一歩、また一歩と確実に歩みを進め、遂に体育館入り口まで辿り着く事が出来ました。


 アナタは目を瞑りながらも右腕を伸ばすと、外の世界に出られる扉に触れる事に成功します。


 アナタがホッと息を吐た瞬間、アナタの耳元でソ(・)レ(・)が呟きました。


 Happy Birthday、と。


 え?と声が出ると同時に、トンとアナタの背中押されます。


 アナタは、そのまま扉を潜りました。


 おめでとう御座います、アナタは無事に外の世界に出る事が出来ました。


 アナタの背中には、アナタにしか見えない成人男性の倍は有るであろう大きな手形が付いています。


 その手形がある限り、アナタは生涯あらゆる厄災から守られ、あらゆる幸運が訪れる事になるでしょう。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。