四十話「昔話とそのころ獣人の村では」
― わらしべ長者 ―
ある一人の貧乏な少年がいた。
彼は毎日一生懸命働き暮らしを良くしようと頑張る。
でも少年の暮らしは一向に良くはならなかった。
ある時、少年は神様にこう祈った。
「僕のお願いを聞いてほしい。もっと幸せに暮らしたい。」
その一生懸命な願いが通じたのか神はこう言った。
「初めに触ったものを、大事に持って旅に出なさい。」
と。
少年はそのお告げの通りあるものを握りしめ旅に出る。
躓いた時に握りしめた藁しべを掴みながら。
「この話って謎だよな。」
本を読んでいた僕はつい声を出してしまった。
お久しぶりです。
神補佐です。
最近、神様候補が作った世界を手を加えています。
だってミツミ軍が作る兵器があまりにも協力だから。
神様の補佐講習で教わった技を使って簡単な災害や食料飢饉を防いでます。
本当は彼らだけでやってもらわないといけないんだけどな。
その休憩の合間に本読みをしています。
児童文学系しかないからね。
でも最近は少し興味を持っている。
自分が聞いている話と違う部分があるからだ。
このわらしべ長者も読んでみると何か違和感を感じる物がある。
まずこの主人公が少年のところだ。
確か少年ではなく男だった気がするのだが。
もう一度目を通してみる。
最初の展開はアブを捕まえそれをわらしべに結ぶ。
それをガン泣きしていた男の子にあげてミカンと交換。
次に喉が渇いてる女性にミカンを渡して反物と交換。
そして急いでる侍が出てきて病気の馬と反物を交換。
水を飲まして元気になった馬を乗り屋敷に通りかかる。
そこでミカンで喉が渇いていた女性と会いその父親に気に入られる。
父親、長者の申し出により彼女の婿になる。
その後長者の後を継いで一生懸命働き「わらしべ長者」と呼ばれることに。
「でもこれって違うお話もあるんだよね。」
自分が知っているのは結婚の話は全く無く馬を長者に上げて屋敷をもらうバージョン。
それと長者の娘と結婚するために藁から地道に千両に変える話だ。
ちなみにこちらは神など話にいない。
じゃあ何で神のお告げがある方が選ばれてんだろう?
そう思いながら惑星を見る。
「お?」
気になった者が見えた。
あれって確か・・・・・・・
僕は懐かしい彼に興味を持ち惑星に向かった。
そう獣人の彼の元に。
ここはニジシマの国から離れた家。
あの爆風から難なく逃れた集落にある。
「ねえ。お昼出来たわよ!」
獣人のおばさんが体の大きい生き物に声をかける。
おばさんの方は翼を持つ鳥の獣人だろうか?
羽毛がさらさらしてる。
「・・・・・・ああ。」
こちらも獣人だった。
「『ああ』ってなんですか!ご飯が出来たんだから『食べます』とか『楽しみですね』ないのかい?」
「・・・・・す、すみません。」
「あたしは何にも期待なんてしてないけどもう少し楽しそうに食べてほしいのよ!」
「すまない。」
「別に私は謝らせようとしてるわけじゃないの。薪だって木を切って村の人に持ってきたりそれを交換に色々貰って助かってんだから。」
「・・・・・・・・」
「ほらすぐ黙る!シャキッとしなさい!」
そんな時だった。
「ただいマー!」
すっとんきょな声が玄関から聞こえた。
そこには鳥の女の子がいた。
料理を作っていた鳥の女の子が駆け寄る。
「あなた、どこ行ってたの!?朝早くから!」
「ドコってお仕事ダヨ?トネが仕事してるからアタシモね。」
そう先ほどの大きい獣人は象獣人のトネ。
となると
「でもねイスカ!外出するときはちゃんと鳥スーツ着なさいって言ってるでしょ?」
「エー!?だって鳥スーツっテ暑いんダモン。」
「分かるけど着ないと村の人に変な目で見られちゃうから。だから守ってね。」
「ウー。ヤマチが言うならシタガウヨ。」
「うん。良い子良い子!」
翼族の女の子、ヤマチと鳥スーツ半脱げのハーピーのイスカであった。
ニジシマ城に向かった二人は三人は城の近くは危ないと野生の勘で離れで誰も暮らしていない家を借りて暮らしている。
トネは力仕事で。
イスカは村の掃除など受ける何でも屋で。
ヤマチは家事など専門的ヘルパーに。
ただあの事件のせいで村の人の警戒が強く外出時は鳥人スーツを着ることになっている。
厚いのなんので最初は良く文句を言っていたのだが。
最近は来てなくても皆が声をかけてくれるようになった。
「デモヤマチは何で着てレルノ?」
「村の皆が不安にならないように・・・・・・だね。」
「今はボクタチの家の中ダヨ?」
そう言われればそう。
家の中出来る必要がない。
では何で?
「ナンデナンデ?ヤマチ、美人ジャナイか。ムシロ可愛い」
「ああ、俺も気になってた。なんか可愛い顔を隠す理由があんのか?なあ?」
しつこく聞いてきたイスカとトネにヤマチは・・・・・・
「さっさとご飯食べるわよ!二人とも手洗いうがいして早く仕度しなさい!」
かなりの怒りで注意されるのであった。
キッチンにスタスタ一人戻るヤマチ。
こっそり鳥スーツを脱ぐ。
そんな彼女は・・・・・・
「だって・・・・恥ずかしいじゃない。こんな顔。ばれるから。」
キグルミの中の暑さのせいなのか顔が真っ赤であった。




