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土御門ラヴァーズ  作者: 猫又
第三章

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四神登場!

 賢が再び階下のリビングへ下りると、暖炉の前には銀猫だけが座っていた。

「和泉ちゃん、どうなんです?」

 と銀猫が聞いたが賢は黙ったままソファに座った。

 しばらく考えていたが、やがて、

「黒凱、白露」

 と二神を呼んだ。

「グエエエ」

「キエエエ」

 と黒の鳥と白の鳥が姿を現す。


「二神、朱雀となりて、南方を守れ。朱雀の門にて入りたる者は何人たりとも侵入を禁ず」と賢が言った。

 黒凱と白露は顔を見合わせてから、ひときわ高い声で啼いた。

 天井近くまで飛び上がり、ひらひらと舞い降りてくるその間に身体が重なり合う。

 次に賢の前に現れたその姿は、素晴らしく美しいが酷く攻撃的な目をした朱雀神だった。


 次に賢は、

「黄虎、銀猫」と呼んだ。

 すぐに黄虎が姿を現して、銀猫がその頭の上に飛び乗った。

「二神、白虎となりて、西方よりの侵入者を許すな」

 と賢が言った。

 銀猫が「にゃお」とないて、黄虎が「グルグル」と喉を鳴らした。

 銀猫が黄虎の頭をとんと叩くとふわっとした光が現れ、二神を包みその中から逞しい白虎神が現れた。


「水蛇、紫亀、玄武となりて、北方を護れ」 

「やれやれ、やーっとお呼びでっか」

 と唯一口答えをしたのは、どどん!と現れた紫色の大きな亀だった。

 のろのろと歩くような動作をしたが、全然進んでない。

「紫亀よ。頼んだぞ」

 と賢が言うと、

「へいへい。ミズキはん、いきまひょか」

 と答えた。

「どうしてミズキが和泉なんか護ってやらなきゃなんないにょん」

 と水色の大蛇が賢に巻き付き、ぷんぷんと怒っている。

「悪いな。水蛇」

 と賢が言うと、怒りながらも水蛇が紫亀の背中に移動して巻き付いた。

 二神は玄武神となって他の二神同様に神々しい光を発した。


「青帝! 青竜大公! ご足労だが今一度、頼む!」

 青い光が天井から下がってきて、巨大な青い竜の顔が賢を見下ろすように現れた。

「お呼びか?」

「青帝、東方よりの侵入者をすべて排除しろ、何者をもだ!」

「例えば」

 と青帝が問うと、

「例えば、同族、土御門でもだ! 四神、開眼!」

 と賢が言い、青帝がうなずいた。

 朱雀、白虎、玄武、青竜が、

「我々は四神となりて四方より主をお守りする」

 と言い、シュっと光の筋を残してその場から四方へ飛散した。



 それから賢はキッチンへ行った。

 和泉が壊した窓は式神たちがどこから運んできたのか、大きなテーブルを倒して塞いでいる。

 賢は冷蔵庫を開けた。

「食えそうなもんがないな」

 しょうがないので、牛乳を飲んだ。

 肉でも野菜でもぎゅうぎゅうに入っているのだが、自分で料理をした事がなく、しようとも思わないので空腹を牛乳で満たす。

 食パン一枚焼いた事がないので、今時の女の子には嫌がられるかしれない。

「結婚したら、和泉ちゃんに全部やらせる気? 横暴!」という声が聞こえてきそうだが、「うちにはお手伝いがいるから、和泉は何にもしなくていい」と今でも有効かどうかは分からない八歳の時の約束があるのでご心配なく。


 ちなみに和泉は料理が出来るのか? 

 というご質問をいただいたわけではないが、お答えする。

 多分、和泉は何も出来ないだろう、

「賢ちゃん、失敗しちゃった~」

 と和泉が焦げたトーストを涙目で出すと、←むしろご褒美。

「和泉の作った物はなんでもうまいよ」

 と言う賢を妄想したい所なのだが、大方の予想を裏切って和泉はまあまあ料理が出来る。

 それは和泉が小さい頃から母親が本家でのお手伝いさん状態だったため、家の中の家事をわりとやらされていたからである。


 まあ、そんな事はどうでもいい。


 牛乳を飲み干した賢は再び、和泉を寝かせている部屋へ戻った。

 部屋の前に遠慮がちに茶蜘蛛がぶら下がっていた。

 部屋には赤狼と緑鼬がベッドのそばに寝そべっている。

「カナリクルシソウデス」

 と赤狼が言った。

 和泉は高熱を発したようで、苦しそうに唸っていた。

 額に手をやるとかなり熱い。だが、身体はかたかたと震えている。

 

 賢は和泉の横たわっているベッドのかけ布団を腰の辺りまではいだ。

 それから和泉の唇にキスをした。

 首にはぐるりと包帯を巻いてある。

 賢はその包帯の上からそっと首にもキスをした。

「若様!」

 と天井の方から酷く咎めるような声がした。

「そんな事をする為に我らを召還したのか!」

「そうだ、黙って見てろ」

 と賢が答えた。

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