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:教室
ひどく冷える。そして、なんだか息苦しい。僕のまわりの空気だけがやけに薄くって、それで息苦しいのか、それとも濃すぎて息苦しいのか、そのあたり、いまいち判然としない。
教室という同じ空間にいて、その小さな世界に薄いとこと濃いとこがあって、冷たいとことあたたかいとこがあって。
「教室がまるでドッグランみたいに見えるわね」
僕のひとつ前の席にいて、みっちゃんは僕のまわりの空気をあたためてくれる。
「小さな台風と言ったほうがいいかしら」
みっちゃんのひと言は、瞬時にクラスメイトを犬に変え、ニンゲンではない気象現象にも変えてしまう。教室を近くの公園に変えるのだって、雰囲気のいい喫茶店に変えるのだって、みっちゃんにとってはわけのないことだ。
「苦しかったの?」
「え…」
「深呼吸…」
みっちゃんを見つめ、僕は、次の言葉を待つ。
「してみたら」
言われるまま、深く息を吸い込み、そして、ゆっくり吐いていく。
「少しはおさまったかしら?」
見抜かれてる感じが、でも、僕にとっては心地いい。
チャイムが鳴って、先生が教室に入ってくるのとほとんど同時にみっちゃんは前を向く。朝のホームルームがはじまり、先生があの言葉を言わないことを、僕はいつも祈っている。
席替え
みっちゃんの席が遠くになってしまったら、きっと僕は、寒くて凍えてしまう。




