18、トールとリオン11
バーナードの元に双子を送り届けたあと、馬車の中で術を解いて貰い元の姿に戻ったオーレリアはエリスに告げた。
「双子にこの姿を披露しようと思う」
「彼らとどう関わるおつもりですか」
エリスは少しだけ面白そうに瞳を煌めかせてオーレリアを真っ直ぐに見つめた。オーレリアがそう言い出すことなどお見通しだったのか、驚いた様子はない。
「そのことなのだが――」
オーレリアは思いついたある案をエリスに話した。
***
一週間後、約束通り双子はマージと会うために修道院へと向かっていた。そのため今日は双子に幻惑の術はかけない。
修道院長には話を通してあるので問題なく一行は敷地内に案内された。
いつも通り、オーレリアがマージの私室を訪ねて彼女を回廊へ連れ出す。オーレリアはちらりと反対側の回廊に視線をやると、双子が柱の影から緊張した様子でこちらを窺っているのが見えた。
オーレリアが微笑むとそれが合図だったかのように双子が走り出した。庭園を突っ切って最短距離でオーレリアの前に辿り着く。
「マージ」
オーレリアの声に顔を上げたマージの目の前にいたのは泣き出しそうな顔の双子だった。
「リオン……トール……?」
双子は勢いよくマージの前に飛び出したものの緊張と恐怖で心臓がばくばくと壊れそうなほど脈打っていた。拒絶されたらどうしよう。いや、もしかしたらまた売られるかもしれない。
怖くて仕方がない。それでも、一度きちんと向き合わなければ、二人は前に進めないとどこかで分かっていた。
「ごめん、二人とも……ごめん」
二人の顔を見た途端、マージの眦に涙が溢れ、零れた。
マージの顔に浮かんでいるのは深い後悔と自責の念、それと喜び。二人にもう一度出逢えたことを喜んでいると強く訴えるその瞳に、双子は身体から緊張と不安が抜けるのを感じた。一拍後、双子が同時にマージに抱き付いていた。
親子三人は今までのわだかまりを流そうとマージの自室で長い間話し合った。
オーレリアはエリスとガイとアーネストと共に少し離れたところに用意されたテーブルでお茶をしながら見守った。
三時間程過ぎた頃。
三人は少し照れくさそうに、けれどどこかすっきりとした面持ちでオーレリアたちのテーブルに歩み寄ると、揃って頭を下げた。
「オーレン、ありがとう。マージと仲直りしたんだ」
「……まだ、全部を赦したわけじゃないけどな」
「あたしはこの子たちにもう一度会えただけで、十分過ぎるくらいだよ」
トールは心底嬉しそうに笑ったが、リオンは泣き腫らしたように目を赤くしながら顰め面をしている。
オーレリアはふわりと微笑んだ。親子が再び見え、和解出来たことが嬉しかった。
「よかったな、マージ」
心から喜んでくれている笑顔にマージは泣きそうになった。
「ありがと、オーレン……」
自分の息子たちと同じくらいの年ごろの少年なのに、マージはオーレンに感服していた。
「あんたのお陰だよ」
オーレリアは微笑んで立ち上がると三人に着いてくるよう言った。
「おまえたちに見せたいものがある」




