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自由な蛇神  作者: ホニャ二ティ
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14話_外の世界は

今回も長くなってしまいました(汗

ミサとコウカには、焼肉屋(仮)の前に有る2つの建物を与えた。1つは武器屋として、もう1つは錬金屋として。


巫女には直槍を、トウトには脇差を作り直して渡した。それぞれ、トウトは重そうにしていたが、巫女は軽々と直槍を構えて素振りをしていた。今は、緊急時に威嚇出来るぐらいで問題無いのだが、巫女は戦う気満々である。


「(さて、行くとするか。)」

「はい!蛇神様とこの子は、命を賭して御守り致します!」

「いざとなれば、何としててでも避難させますのでお任せください。」


2人と共に街を出て、上の階に繋がる環状洞窟入り口(戦闘エリア)に到着した。念のために、入り口と出口に岩を操って、大きな扉を設置する作業を行い、上の階へと足を運んだ。



上の階は、一言で言えば良くありそう洞窟だ。水晶が所々から突き出しており、淡い光を放っている物とそうで無いものとに分かれていた。

光っている水晶を、力任せに引き抜こうと、手を触れた瞬間に、水晶の輝きが徐々に増していき、最終的には目を開けていられないくらいの輝きを放ち始めた。


「(なっ!目がぁ!目がぁぁぁ!)」

「蛇神様!お離れください危険です!」

「岩の壁を作りました!ミコ殿こちらへ蛇神様を!」


目は特に何とも無いが、ム○カの真似をしていたら、とても緊迫した様子で移動させようとしてきたので、大丈夫だと言う事を伝え、水晶から手を離した。すると、急速に光を失い元の明るさまで戻っていった。


「だ、大丈夫ですか?蛇神様。」

「(うむ、あぁ、大丈夫だ。)」


巫女は、水晶に触れていた手のひらを確認して、ついで腕、脇、背中、お腹とペタペタ触って確認して来た。一通り触って無事を確認すると、短く息を吐いて脱力していた。

そして、水晶に触れて分かったことがある。それを確認する為、水晶に向かって手のひらを向け、魔力波を当てる。すると、予想していた通り、光の強さが増すと同時に、周りにあった光っていない水晶も、少しの間だけ光を灯して、また光を失った。


「(ここの水晶は、魔力に反応して光るらしいな。どれ...)」


巫女の制止を無視して、もう一度水晶に触れる。今度は光が強くなることは無かった。


「あれ?どうして光が強くならないんですか?」

「(...手に流れている魔力の流れを、水晶に持っていかれない様に、意識して触って居るからだな。)」


手に流れる魔力を、魔力で操っているという謎の事態が発生しているが、取り敢えず上手くいっているので良しとする。

そうして、触っていた光る水晶に、少しづつ力を入れて引き抜く。すると、光っていた水晶は光を失い、他の光っていない水晶の様になった。


「(ほうほう...コレは!導線か⁉︎)」

「ドウセンとは何でございますか?」


引き抜いた水晶の穴を、一緒に覗いていたトウトが、念話全開の呟きを聞き質問して来た。

水晶が生えていた穴の底には、微量な魔力が噴出している場所が存在しており、ソコを魔力波で辿って行くと、細い一本道がどこへともなく繋がっていた。


「...ま...蛇神様!何をやっているんですか?」

「(う、すまん。少し集中しすぎた様だ。)」


その後、導線の材質をチェックした所、環状洞窟内に有る水晶部屋の水晶粉末が、魔力伝導の媒体となっていることが分かった。


引き抜いた水晶は、壁や床を戦闘エリアの様な遺跡風にリフォームした後の柱に、松明がわりに挿しておく。それから、整地と洞窟拡張工事を行いつつ上へ上へと登っていく。それと共に、周辺の壁に有る鉱石や、名前の分かる物質を、魔力波で確認して引き抜き、出来上がった金属塊をゴーレムにして一人で歩かせている。

徐々に大きくなるゴーレムを、遠隔操作するのに魔力の消費はマッハだが、上に行けば行くほど、自動的に回復する魔力の量は上がり、需要と供給の均衡はなんとか保たれていた。


ここまで約1時間程進んで来たが、道のりは順調過ぎる程に順調だった。何故なら、まだ野生の魔物に一度も出会って無いからで有る。


「蛇神様、大丈夫ですか?そんなに魔力を使っても。」

「(あぁ、魔力の回復が早いからな。それよりも、まだ魔物が1匹も出てきていないのだが...)」


十字路に差し掛かって、左右を確認するも、コウモリの奇声も、ネズミの這う音すらも聞こえて来ない。聞こえるのは、巫女とトウトの息遣いだけだ。


「きっと、蛇神様に恐れを為して逃げて行ったんですよ!」

「たしかに...ミコ殿の言うとおりでしょう。多少の理性が在るものならば、迫り来る神々しさに恐怖を抱くのも必然と言うもの。」

「(...迫り来る神々さについて、聞いてもいいかな?トウトよ。)」

「そんな!恐れ多い。ですが、蛇神様のご命令と有れば、私トウトが説明させていただきます。スゥ...蛇神様からは常に母の様な暖かくも神秘的なオーラがそれはもう溢れんばかりに漂っておられるのですがその中にも悪を許さず正義を貫くと言う信念が--」


--2分後--


「--詰り!母なる愛の力こそ、我らが神、蛇神様の持つ神々しさなのです!」


トウトは、語り終わると息をきらせながらお辞儀をしてきた。多分この時の自分の目はかなり濁っていたのだろう。トウトは頭を下げながら謝罪してきた。


「お聞き苦しい説明をしてしまい、大変申し訳ございません!」

「(...いや、そのぉ、うん。まぁ、気持ちは十二分に伝わってきたぞ。うむ、ご苦労であった。)」

「ははぁ!お褒めに預かり光栄です。」


キラキラとした笑顔で頭をあげるトウトに、苦笑いで返すと、巫女がトウトの演説を褒めて賞賛を贈っていた。

すると、何処からかピタピタという小動物の駆ける音が聞こえてきた。

その方向を向けば、1匹のネズミがこちらへと走って来ているところであった。

そのネズミは近くまで来ると、ジッと此方の顔色を伺い、次いで目を大きく見開き、ウルウルと瞳を揺らしながらゆっくり近づいて来た。


「(...か、可愛いやつだなぁ。ほれ、もっと近う寄れ。)」


少ししゃがんで片手を差し出すと、ネズミは勢いよく向かって来て...


ズシャッ


少し手前で、いきなり現れた槍に貫かれていた。衝撃の事態に唖然としていると、後ろから槍を突き刺した本人の声が聞こえて来た。


「ふぅ、間一髪でした。もう少し遅かったら蛇神様に噛み付いているところでした。」

「流石ですなミコ殿。」

「(...)」


なぜ、あんなつぶらな瞳の生き物を殺してしまうのか?そう聞こうと思っていたが、答えは単純明解、敵だったからだ。己の家族を害する悪、ただそれだけだ。だが、それでも...


「(受け入れられるかは別問題...か)」

「どう言う事ですか?」

「(...いや、何でもない。巫女よ、敵を討ち取ってくれて有難う。)」

「はい!蛇神様の為ならば!」


その後、心の整理を付けるまでは巫女の事を見ることが出来ず、ただ黙々と整地や金属採集を行いながら上を目指して進んでいた。


そろそろ金属の量的に、ゴーレムでは進行不可能になり始めた頃、漸く後ろを振り返って2人を見た。ソコには、トウトと巫女がもちろん居るのだが、巫女の抱えていた卵が上半身を隠せる程のサイズになっていたのだ。

驚愕の余り、立ち止まって卵を見ていると、卵に気を取られている事に気がついた巫女が、話しかけてきた。


「ふふ、もうすぐ生まれますね、蛇神様♡。私達の愛の結晶が♡」


その声色は、とても甘く熱を帯びており、卵越しでも、恍惚とした表情をしていることが容易に想像できる程だ。それだけならば、子供が産まれそうで何よりなのだが、聞き捨てならない言葉を聞いてしまった。


「(...巫女、私達とは?)」

「それは、蛇神様と私の事ですよ。蛇神様を私が膝枕している時に、お産みになったんですよ?」

「(そ!それは本当か!)」


あまりの出来事に、声が裏返るが、聞かなくてはならない事なので確かめると、卵が前後に揺れた。肯定しているであろう事は明らかであった。


「(そんな...誰とも交尾してないのに...だれとも...そうか!それは、無精卵だ!)」

「むせいらん?とは何でしょうか?」


蛇や鶏など、卵を産む種族は、必ずしも交尾をしなければ卵を産めない訳ではない。この世界にも、交尾しなくても卵を産む種はそれなりにいるはずである。

その事を説明しても、巫女が卵を諦める様子は無かった。


「それでも、こうして成長しているでは有りませんか。」

「(それもそうなんだよなぁ...)」


取り敢えず卵を地面に置いて貰い、少し叩いたり、耳を当てたりしてみる。もちろんその必要は無く、目で見た瞬間に、中で新しい生命が鼓動を刻んでいるのは分かるのだが、体裁は大事である。因みに、性別は女の子である。


「(...おめでとうございます。元気な女の子ですよ...じゃなぁぁぁぁい!)」

「蛇神様!どうしたんですか?」

「御乱心に成られた!蛇神様が御乱心!」


齢3週間弱、1児の母となる。

金属の塊で有るゴーレムを殴りつけながら、気分を落ち着ける。一発殴る事に地響きがしていたが、今まで通って来た道は、有り余る鉄を少しづつ使った鉄筋が内蔵されているので、ビクともしなかった。


「(はぁー...良し、落ち着いたぞ。迷惑を掛けたな。)」


先程の荒れようが嘘のように、笑顔で振り向くと、巫女は必死に卵を守ろうとしており、トウトは何もおきていないかのような、落ち着いた雰囲気を醸し出していた。


「い、いえ。それでそのぉ、この子はどうするのですか?」


此方を見ていた巫女は、最後は涙声に成りかけながらも、卵の事をどうするのか聞いてきた。中身が黄卵だけなら、食べてしまう所だが、中に子供(自分の)が居るのに、食べよう等と言う親が居るだろうか?野生の鳥類ならあるいは...だが、理性有る存在なら決してそんな事はしないだろう。


「(...名前は、キクレだな。それ以外は認めん。)」

「っ!はい!」




ひと騒動の後、大きくなり過ぎた金属ゴーレムを解体して、新しく組み立て直す事に。そして出来上がった物は...


「(...完璧だな。)」

「これに乗るんですか?」

「おぉ!素晴らしい造形です!ここが回るのでしょうか?」

「(あぁ、防御力抜群!25mm弾だって跳ね返しちゃう!名前は「いろタン」車種は中戦車だな!)」


金属のゴーレムが立っていた場所には、砲塔がなく履帯丸出しの戦車が有った。前輪駆動で、魔力を使い回転させる戦車で有る。大きめののヘッドライトには水晶を使用し、コントロール用に設置した、運転席から砲塔用の穴より外に伸びる棒に触れれば、ちょくちょく集めていた魔導線から魔力が流れ、ヘッドライトが眩い光を放つ。因みにこの棒からは、前輪にも魔導線が繋がっており、右側と左側を別々に動かす事が可能になっている。尚、砲塔は存在せず丸い穴だけが空いており、いつでも砲塔を搭載可能にしてある。油が今のところ無いのでサスペンションは圧縮コイルバネだけである。


「(...よし、全員搭乗せよ!)」


車体は全長7m全幅3.2m全高1.5mと、子供3人が乗るにはかなりの大きさである。道幅は、この車両が通るだけでいっぱいいっぱいであるが、今の所はこの車両だけしか通らないので特に気にしない。


「蛇神様、この中何も無いですね。」

「(あぁ、色々な素材が足りないからな。適当な場所に座っていてくれトウト。巫女よ、卵を落とさぬようにしっかり掴んでおれよ!)」

「わかりましきゃっ!」


巫女が返事を返すと同時に、魔力を流して前進を開始する。巫女は、操縦桿を握っている自分の隣で、足を砲塔の中に入れる形で座っている。膝の上に乗せた卵を愛しく撫でている様は、妊婦が大きくなったお腹を撫でているようだ。


戦車を作成した事によって、移動速度が格段に跳ね上がり、整地と各収集速度が上昇し、消費魔力量もかなりの物となった。しかし、上に進めば進むほど、自動的に回復する魔力の量も上昇していく。


暫く、何事もなく進んでいると、遂に外への出口を見つけた。それは、何十段もある階段の上に、人がギリギリ1人通れる程の亀裂から差し込む光により、荘厳な雰囲気を醸し出している。


「遂に着きましたね。きっとあそこが外へと通じている場所ですね!」

「(...あぁ、樹木や土の湿った香りがする。間違い無いな。)」

「それで、蛇神様、このイロタンでどうやって目の前の階段を登るのですか?」

「(...見ておれ、このくらいの急勾配は戦車で登れるから、な!)」


言葉と共に魔力を流し、戦車を前進させる。階段に突入する前に、巫女とキクを体で覆うと、そのままの速度で階段に乗り上げる。衝撃で車体前方に放り出されそうになるが、車体の前方が持ち上がる事によって、それを免れた。そして、通常よりも遅い速度(時速20kmぐらい)で階段を昇り始める。


「(まるでジェットコースターみたいだな。)」

「じぇっと?とは何でしょうか?」

「(ジェットコースターとは、とても速い速度で、今の様に登ったり降りたりする遊具だ。...今度何処かに作って乗せてやろう。)」


そう話していると、出口にだいぶ近づいている事に気がついた。そして、整地をする要領で目の前の亀裂をこじ開け、ついでに装飾を施して門へと変える。


「(おぉ、素晴らしい眺めだ...)」

「本当ですねぇ、蛇神様!」

「蛇神様と共に、かように美しい景色を観れるとは!感激の至り!」


門の向こう側には、先程まで雨が降っていたのか、濡れた木々が立ち並び、空に広がる黒い雲の雲間から伸びる陽の光で、大地に輝きを、空には綺麗な虹を架かけていた。


次回更新も土曜日です。


小出しにした方が良いのですかねぇ?

来週から少しづつ分けて出して見ようと思います。

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