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自由な蛇神  作者: ホニャ二ティ
14/32

12話_工事の続きとetc...

アップロード遅くなってすみません。

今回と次回は少し進行が遅れます。

(あぁ、なんと可愛い蛇神様。貴女様の寝顔を拝謁賜る日が来ようとは思いもしませんでした。)


うっとりとした、熱のこもった瞳で妖艶に微笑むのは、鼠蛇一族の中で、唯一念話を使えた巫女の彼女だ。その微笑みは、見た目年齢にそぐわぬ色香を放っていた。現代日本なら、ナンパせずに居られないのではなかろうか。


「...ミコ様、お疲れでしょう。そろそろ私が代わーー」

「いいえ、大丈夫よ。それよりも早く、文字を書けるようになさい。」

「...はい。」


決して、幼女から目を離す事なく、尚且つ食い気味に返答を返す巫女。遠目で見れば、幼女を寝かしつけるお姉さんだが、近くで見ると、その目が子供を愛でるお姉さんではなく、煮え滾ったドロドロの愛で、ともすればストーカーかヤンデレのソレだった。

それを見かねた、子持ちのお母さんズ(見た目年齢は中学生)が蛇神様と引き離そうとするも、尽く断られ続けていた。


因みに、雌の方が雄よりも、見た目年齢が上で成長が止まる。雄が中学1年生だとすれば、雌は中学3年生ぐらいだ。(但し胸は成長の余地が有る。)


「...あの子、蛇神様に襲いかかったりしないかね。」

「なんでも、色んな雄達からのアプローチを全部蹴ってるみたいよ。」

「そんなに蛇神様と一緒に居たいのかしら?」

「本人曰く、『蛇神様なら何でも出来るはずなので、私と番いにもなってくれるはずです!』って言ってたわ」


少し離れた所で、文字盤を囲んで談笑をしているお母さんズがいた。文字盤の文字を、石で床に書きとりながら話している。


「ウ“ゥッ...」

「ッ!蛇神様ッ!大丈夫ですか?」


くぐもった呻き声が聞こえてきたときは、遂に我慢が出来なかったのかと思われたが、続いて聞こえた気遣う声に、異変が発生したのだと分かる。


「ガァッ!グゥゥッ!」

「大丈夫ですか!しっかりして下さい!」

「何が起きたの!」

「大丈夫か!」


騒ぎを聞きつけて、お母さんズの1人と、ネズミだった時に、蛇神様から話掛けられた事のある衛兵が駆けつけてくる。


「ウ“ッ!アァァァ!...」

「きゃっ!」


ゴトッという音と、小さい悲鳴が聞こえると、さっきまでの呻きが嘘のように静かになり、また寝息をたて始めた。


「こ、コレは!私の思いが通じたのね!」

「そんな、女の子同士なのに...」

「...」


音の正体は、幼女の頭と同じサイズの黒い卵が、地面に落ちた時の音だった。




「...起きて下さい、蛇神様。もう時間ですよ。」

「(...むぅ、もう時間か。ありがとう。)」


産卵事件から1時間後に起こされたが、悪夢を見た以外には特に体調が悪いことなど無く、むしろ絶好調であった。


「(...ふぁぁ、さて、工事の続きをしようか!)」

「...あ、あの、蛇神様、その、た、卵を、どうしましょうか...」

「(ん?卵?)」


巫女が、オドオドした様子で差し出してきた卵を見て、目を見開く。そこには、漆黒で拳以上の大きな卵があった。


「(その卵、いつ手に入れたのだ?)」

「あ、えっと...先ほど...」

「(ふむ、そうか。塩胡椒が有れば、塩味の厚焼き玉子が出来たんだが...)」

「え、この卵、焼いちゃうんですか?」

「(あぁ、新鮮な卵で作った厚焼き玉子は絶品だーー)」

「だ、ダメです!この卵は、愛の結晶なのです!」

「(そ、そうか。まぁ、なんだ、他人のものを無理に取り上げるような事はしないから安心してくれ。その卵、責任を持って大事に育てるのだぞ。)」

「はいッ!」


何故かは分からないが、巫女のテンションが上がった。卵を育ててみたいお年頃なのかも知れない。

そんな、よく分からんやり取りが行われたが、土木工事は、予定通り進め始める。


(次は、建物だな。)


元鼠の町の建造物を参考に、必要な店っぽいものや家を作っていく。もちろん石造りで。約2百世帯が住める住宅街を中心部よりに作り、外側には衛兵の詰所などを設置し、住宅街と詰所の間に商店街を建てた。


(おーけー、8分の1は完成だ。)


中学生100人前後を収容しても、あまり有る住宅街に、拡張工事中に発見した白い大理石っぽい物を、惜しみなく使って作った白亜の学校...いや、

豆腐。

余った大理石は、白線を引いたり止まれの文字を書くのに使った。

今のところ、上下水道の通り道はマンションも一軒家も引いて有り、処理場もある。だが、肝心の水が存在しないのが、悔やまれる。


(ホァ〜、疲れた。そういえば、食料の生産とかどうしようかな...)


工事が1段落つき、休憩がてら食事をしに行こうと思っていた時に、ふと疑問に思ったのが食糧の事だった。


(...水と食糧をどうにかしなければ...)


ネズミ達が人型に進化して、図体がデカくなった分、消費する食糧も増加するだろう事が予想される。

今後も、下の階層から食糧調達するにしても、需要と供給が釣り合わないだろう。


(...食糧の生産か、安定供給先の確保か...外から食糧を持って来れば良いのでは?)


わざわざ、ダンジョン内部で全てを完結させる必要などないのだ。そうと決まれば、即行動である。

先ずは、前回の下層探検の反省を活かすため、お供を2人つける事にした。

1人目は、卵を大事そうに抱えたままの巫女だ。お供2人を選抜するように伝えたら、自分も行くのだと言って、武装し始めたのだ。卵はどうするのかと聞けば「私が責任を持って守ります!」と元気よく答えた。いや、卵とココで待って居れば守らなくて済むのだが。そう伝えると「蛇神様も責任を持って守ります!」と、これまた元気に返事を返してきたので、こちらが諦める形で連れて行くことになった。


もう1人は、幻覚魔法の実験に付き合って貰った被験者の1人トウトだった。アレから、索敵ノウハウと逃走術、敵の撹乱方法などを独自に考え、オリジナル隠密術を編み出していたらしい。

他の実験参加者(犠牲者とも言う)も暗殺術や逃走術、回避術などを独自に考えており、其々に流派のような物も出来たという。そんな中で選ばれた彼の流派は、数有る流派の中でも索敵、撹乱に特化しており、何度も下層に単独で突入しては、何かしらを持って無傷で帰って来るらしい。...と、いう事を巫女が念話で語ってくれた。


「蛇神様、その節は私に試練をお与え下さり、誠に感謝しております。かの試練のお陰で、自分を変える事が出来ました。本当に、感謝しております。」

「(うむ...特に問題無さそうだな。其方の活躍を期待しておるぞ。)」

「ハハッ!必ずやご期待に応えましょう。」


こうして、食糧調達隊が編成された。

残りの者達は、文字の練習や、石でできた家具の作成、鉱石採取から石の切り出しなどを行なって貰う。


(よし、俺が居ない間に色々作っておいて欲しいから、魔法を教えるか...)


鉱石の加工や、道具の作製などを楽に行うために、彼らには魔法を教える事にする。そうすれば、生活水準の向上と産業の発展に繋がり、ひいては食文化の発展にも繋がるはずだからだ。


「(魔法の素質が高い者を、5名程呼んでくれ。吾が土を操る魔法を教えよう。)」

「なっ!...かしこまりました。」

(...今、凄く嫌そうな顔してたなぁ...俺が何か行う度にプレミアム感が付くのか?それだと変な暴動が起きかねないからな。後で講義でも開くか...)


了解した巫女は、心底嫌そうな顔をして5人を選抜して来た。1人は、細マッチョでイケメンだが、全裸でモロ見えなのは致し方ないだろう。


「防衛隊3班ッ!班長のマッチ!ッデス!」

「(そうか...お前本当に魔法が使えるのか?)」

「えぇ!お見せしましょう!ハッ!」


そう言うと、マッチは右手を地面に着き引き抜く動作をする。すると、その手には刃渡り15cm程の、歯が潰れた剣の様な物が握られていた。


「(ふむ、良いだろう。脇に避けて、様々な形の剣を作る練習をする様に。次の者!)」

「は、はい!わ、私は、その...名前をまだ考えてません。」


最後の言葉が、尻すぼみになって行く彼女は、胸部に携えた2つの凶悪な武器と、右目の下にある泣き黒子が衝撃的なエロスを醸し出している。


(いやぁ、只々エロイな...いや待て、どうして襲われてないんだ?)


全てを曝け出した、豊満なボディの彼女は、その庇護欲をを唆られる顔つきと、泣き黒子の効果ですぐさま男を捕まえられそうだが、乳輪の色は、他のママさん達とは違う。と言うことは、多分まだなのだろう。ただ、ママさん達と違うところが有るとすれば、安産型では無いと言うことぐらいか...


「(あ〜...ンッンッ、お前の魔法を見せてくれ。)」

「は、はいッ!」


すると、両手を地面につけて、勢いよく起き上がる。両手の下には、トグロを巻いた俺が、両手を腰に当て仰け反っている像が、そこにはあった。


「(...う、うむ。よく出来ているな。もう少し細部にこだわれたら良いだろう。参考になるか分からんが、俺の体を触って見るか?)」

「えぇ!い、良いんですか?」

「ッ!い、いけません!蛇神様の体は繊細なのですから!無闇矢鱈に触って良いものでは有りません!」


石膏やデザインをする人たちは、実際に触ってからの方が、物のイメージが作りやすいだろうと思い言った言葉だったが、巫女から必至のお触り禁止令が下された。多少なら触らせてあげてもいいと思ったのだが、真っ赤になってお触り禁止を叫ぶ巫女に気圧され、擁護する事も出来なかった。のだが、先程まで弱々しかった彼女は、不意にその雰囲気を一変させる。


「それは...本当ですか?」


少し俯き気味に、目だけをこちらに向けて来る彼女からは、先程のホワホワした雰囲気が嘘のように、鋭い冷気が放たれていた。その声色からも、緊張感や焦りの様な物が、一切感じられなくなっていた。


「ヒィッ!ほ、本当です!だから私の様な専門家が蛇神様の脱皮をお剥きするのです!」

「......蛇神様、その話は本当ですか?」

「ッ!」


その垂れ目から発せられる、あり得なく鋭い眼光が此方を向いた。それと同時に巫女も此方を振り向く。その眼には、薄っすらと涙が溜まり、懇願している様な気がする。


「(そうだな...巫女が専門家なのは確かだ。彼女の許可が出れば触っても良いだろう。)」

「...そうですか。それでは巫女様、へ、蛇神様に触ってみてもよろしいでしょうか?」

「...少しだけなら。」


そう言うと、何故か先程はダメだと頑なに拒否していた巫女は、今度はokを出した。どういうことなのだろうかと考えている間に、泣き黒子の彼女がゆっくりと歩いて来て、ソッと体を撫で始めた。


「(んひゃ!触る時は触ると言わんか!変な声が出てしまっただろう!もう良かろう!次の者!)」


身構えずに触れられたからか、触れる場所が悪かったのか、変な声が出てしまい、其れを隠すように次の者を呼ぶ。黒子の彼女が、離れ側にデレっとした表情をしていたのは、気のせいだと思いたい。


「蛇神様、お久しぶりでございます。巫女の1人ミサと申します。」

「同じくミシ...です。」

「蛇神様、初の対人戦では我々を連れて下さり誠に有難うございます。蛇神様守護部隊第1班コウカで有ります!」

「うむ、よろしく...早速で悪いが、どれくらい魔法が使えるのか見せて貰えるか?」


とりあえず、今回は差し障り無いように終わらせる事にする。ミサは、地面に穴を作り、その中に鋭い槍を作って罠を作成した。


「(うむ作りは完璧だな。後は素材の選別を行えるようになるとイイだろう。次。)」


ミシは、俺が作ったのとほぼ似たような、ミニチュアな町を、地面に手をつけた後に、魔法で作って見せた。所々サイズとかが違ったり、グズグズになったりしていた。それでも、自分が作った奴は確認用に作っただけだったので、すぐに壊したのだが、ソレを見てここまで再現できるのはなかなかいい腕をしている。


「(先ほど作っていたのを見て真似たのか、それなりの完成度だが、全く同じ物を作る必要は無い。自分の考えた物を作ることも大事だぞ。次。)」


コウカと名乗る男の子は、地面に手を向けるとジッと地面を睨み付ける。すると睨んでいた先の地面が赤面し始め、やがてドロドロの溶岩になった。


「(おぉ...範囲は狭いこそすれ良くできた。少し休むといい。)」


最後のコウカは全身全霊で挑んだのか、息が上がってマトモに喋れないようだった。


「(さて、諸君には其々1番得意な魔法を使って貰った訳だが、初歩的な魔法から教える事にする。まず、これが出来なければこれから先はついてこれないからな。いいか!)」

「「「「「はい!」」」」」

「(よし、いい返事だ。それではまず、自分の体に存在する魔力を、掌の上に集めてみるんだ。)」


そう言って自分もやってみる。血液とは違う、体の中を流れるモノを意識する。その流れを掌の上に塞きとめる。すると、思っていた以上に膨大な魔力が凄まじい速度で掌の上に溜まり、普段目に見えない魔力が球体となり、綺麗な紫色の光を放ちながら掌の上に出現する。球体は徐々に膨張しつつあり、マズイと思って咄嗟に魔力を入力と同じ量づつ、体内に戻し始める。そうすれば、魔力の塊は膨張を止める。内心焦りつつも、5人には平静を装い話始める。


「(コホンッ、少し大きすぎてしまったが、ここまで大きくなくていい。そうだな...これぐらいの大きさで作れるように、今、練習してみてくれ。わからない事が有れば聴くように!)」

「「「「「...はい!」」」」」


そう言うと、先程まで巨大だった魔力の塊を、急速に萎めて、自分の人差し指の第1関節程までサイズを縮める。勿論、魔力の出口を広げたりして、体内に流れる量を調節しながら行った。小さくなると、今まで見えなかった、魔力塊の向こう側を見ることが出来たのだが、皆口を半開きにして眺めていた。指示を出す事により、意識を現実に引き戻す事には成功した。特に魔力を何かに使った訳では無いが、疲労感がする。

以前のように気絶する前に、放置していたドッグボアードの肉を調理する事にした。現場まで、文字の練習をしている人達を掻き分けて1人で行くと、ゴーレムは未だ、放置した場所にドッグボアードを背負ったまま突っ立っていた。


(肉は...まだ大丈夫そうだな。焼けばどうにかなるだろう。)


そうして、コントローラを握り魔力を流して歩かせる。向かう先は、新規で作った商店街の精肉店(予定)である。道中でゴーレムを従えて歩いていると、「流石は蛇神様だわ!」とか「やはり、あの土の人形は蛇神様が作られたのか!」などと、野次馬の声も聞こえる。

精肉店(予定)に到着すると、すぐさま改装をはじめる。とりあえず、肉を吊るす場所と、要らない部位を土に還す場所。肉を部位ごとに保存する場所などを整えていく。その間にも、魔法の練習をしていたミサ、ミシ、マッチが魔力の塊を作って見せてくれた。どれも小さめだが、作れてはいる。そして、ミサとミシが青でマッチが赤であった。


「(よし、作れたら今度は、ソレを薄く伸ばして地面に叩きつけてみるんだ。そして跳ね返ってくる強さが、所々で変わる筈だ。そうすれば、地面や岩が様々な物で出来ていることが分かるはずだ。ソレを理解できたら、地面から同じ強さで跳ね返る物同士を集めてみるんだ。)」

「「「分かりました!」」」


今度も、デモンストレーションをしながら説明した。今回はしっかりと魔力の制御を行い、何の失敗もする事なく成功させた。過剰でも過小でもなく、見せて貰った魔力の塊と同じ量だけ使用したのだから。ソレで纏めた金属は、豆粒以下の物が殆どだった。


(コレが成功すれば、各種金属の生産が可能になるはずだ。塵も積もれば何たらって言うからな。)


その後も、コウカが直ぐに作って見せてくれた。そのままコウカにも、他の3人がやろうとしている事を練習してもらう。因みに、コウカの魔力の色は黄色だった。

最後の泣き黒子の娘は、魔力が中々纏まらないようだった。ソレもその筈、他の4人とは比べ物にならない量の魔力を持っていたのだから。とは言っても、頭と同じサイズなのだが。


「うぅ...きゃっ!」


見てみると、何度も作ろうとしては、魔力を溜め過ぎて制御できずに破裂している。そして、息も絶え絶えになりながらも、また作り始めていた。


「(そら、少し手伝ってやろう。)」

「へ?...わわわっ!」

「(集めた魔力を、少しずつ体内に戻していくんだ...慌てて押さえようとするんじゃない、体に同じ量だけ戻そうとするんだ。)」

「こっ、こうですか?」


泣き黒子な彼女(ナキちゃん)の手をとり、魔力の流れを感じとる。すると、集めた魔力を無理矢理押し留めようとしていた事が分かった。魔力が少ない場合はそれでも良いのだろうが、魔力が多い場合は、押さえつける力と、魔力の塊を作るバランスを取取る事は難しい(実体験)。ジョウロから出る水を片手で防ぐのと、蛇口から勢いよく出る水を押さえるのとでは、使う力が違うのと同じだ。だから、水の放出を押さえつけるのでは無く、トイレ(体内)に流してしまえばいいと言う事だ。そうすれば、トイレに流れた水は浄水場を通ってまた蛇口から出てくるのだから。


「(そうそう、良い感じだ。他の者はこのやり方を知らないし、少し経験が無いと思いつかぬかもな。まぁ...これでできるだろう。)」

「はっ、はい!」


取り敢えずフォローを入れておく。溜めた魔力の再利用は、他の子達は行なっていなかった。魔力が少ない内はそれでも良いが、多くなってくると塊をそのまま空気中に霧散させるのは勿体ない。せっかくだから、1人ぐらいは自分で魔力を循環させるやり方を知っておいてもいいと思ったのだ。

ナキちゃんは、やり方さえ教えると直ぐにそれを実践して見せた。そして見事、拳大の魔力塊を生み出すことに成功する。コレが後の「帝國式ライト」と言う魔法になり、世界に伝わる事となるのだが、ソレはまた別の話。


「(よし...よくやった。他の4人がやっている練習をやって貰おう。同じく、出来たら言ってくれ。難しかったら相談してくれても構わん。)」

「あ......はい」


瞼の端に溜まっていた涙を拭いてやり、次の課題を言い渡す。目から若干甘ったるい光が漏れていた気がするが、きっと疲れていたのだろう...そう言う事にしておく。

全員が、鉱物の分離・収束の練習に移ったのを確認して、精肉店(予定)に行く。施設は作っていたので、後は肉を捌くだけである。捌いた肉は、それぞれの部位名が書かれた保管庫の中に積み重ねて行く。肉切り包丁は、即席の鋼鉄製なのでとても重いが、持てないほどでは無い。切り分けた肉を、ある程度保管庫に詰め込んだら、焼肉用に腹の肉を1キロほど薄く切って持って行く。


(さて、どこに作ろうか...あそこでいいかな。)」


精肉店は、商店街の中心部にあったが、今から作る焼肉屋は商店街の中心より、外側に近い場所に作ることにする。その理由としては、狩に行ってきた人間が食欲を唆られて、そこの店に入るようにと、周りに迷惑をかけないようにするためだ。

今は、まだ酒は無いが、今後作るなり輸入するなりした時に、焼肉屋が酒場になるのは必然というものである。精肉店と同じく、枠だけが出来ている状態なので、中身は今から整えて行く。

店は、ロフト付きの焼肉酒場とし、1階に長方形の6人がけ机を6つ。ロフトの2階部分にも、同じ机を9つ設置する。この机は真ん中が鉄板になっているタイプでそこ以外は石で作られている。勿論椅子もである。ただし椅子は固定型では無く、1人1脚で持ち運び可能な物を作っておいた。鉄板も取り外し可能にしておいた。木材の安定供給ができれば、逐次更新して行く予定だ。


(よし...取り敢えずはこんなもんか。もう肉を焼くか...)


店の店員部屋や、カウンターなどは後で作る事にして、早速作った机の一つで肉を焼いて行く。

加熱魔法を使えば、直ぐに鉄板が熱々になる。

一瞬赤熱化したが、瞬時に元に戻す。そしてゆっくりと操作して行く。肉を一切れ乗っけて温度を徐々に上げる。すると、途中から肉が焼ける香ばしい匂いが立ち始める。


(ヒャッホーイ!久々の焼肉だ!腹一杯になるまで食べまくるぜ!)


そして、焼けた肉を冷ましてから口に頬張る。頬張った瞬間に、豚の濃厚な旨味が舌に絡みついて、ジャブを放ってくる。久しぶりに丸呑みする事無く、口の中に放り込んだ肉を噛みしめる。途端に、油が口の中を支配し旨味を舌ごと閉じ込める。


(あ“ぁ〜、この感じだ....タレと白米が有れば完璧なんだがなぁ〜...まぁでも、生肉よか断然に旨いな!)


感慨に耽りながらも、焼く手を止めずにいた。因みに焼く時は、石で出来た菜箸を使っていた。勿論、焼けた肉を食べる時は普通の箸を使って食べていた。使い慣れた器具が、1番しっくりくるからだ。最初は、力の入れ方に少し戸惑ったが、今では普通に使えていた。

焼く時に出る豚の脂は、鉄板を少し山状に作っていたので、端っこの方に溜まっていた。コレは、後々動物脂として、揚げ物や松明などに使えるから取っておく。溜まった端から、机の下に続く穴へ流れていき、机の真下にあるアルミ製のバケツに溜まっていった。


(さて、そろそろ...)


ある程度楽しんだところで、後ろを振り返る。そこには、店の窓の向こうで字を書く練習をしていたはずの子らが、涎を垂らしながら此方を見ていると言う、ある種のホラーが広がっていた。


「あアァ!?...ひ、1人で肉を焼くのも疲れるナァ~。誰か手伝てくれくれないかナ~。て、手伝ってくれたら、焼いた肉を分けてあげるのにナァ―――」

「は、はい!やらせてください!」

「お、俺も!...」

「私もお手伝いさせてください...」


こうして、他の子らの食欲を刺激して、料理の簡単な心得と、外で狩ってきた生鮮食品の保存方法や解体方法等を教えておく。結果として、ドッグベアードの肉が全て無くなってしまったが、それは先行投資という事にしておこう。


「へ、蛇神様。ある程度出来るようになりました。」

「(ナキちゃんではないか!何、もう出来るようになったのか?それでは...この岩の塊を分別して貰おうかな。)」

「え、な、ナキちゃん?私の、名前...」

「(名前と言うか、あだ名だな...て聞いてるか?)」


そう言って、町の入り口通路近くの壁を魔法で抉り取る。片手で、自分より大きな岩を取り出してしまったが、不思議と重くなかったので、そのまま地面に置き、分別するように指示を出す。そして、どれくらい正確に分別できるのかを、検証して合否を渡す事にした。この時、「ナキ...ナキちゃん...」とニヤケながら呟いていた。あくまであだ名なのだが、そのまま本名にされてしまいそうだ。まぁ、呼びやすいし良いだろう。


「はい!そ、それではやります!」

「(うむ、焦らずじっくりと行うのだぞ。間違いなく出来る事が大切だからな。)」


近くで他人が鉱物を分別しているのは、初めて見るかもしれない。自分の魔力を、ソナーの様に掌から半円状に広げて行くのは、如何にも鉱石探査中という感じがして見ていて飽きない。すると、岩が徐々に形を変形させて行った。そして、暫くすると岩の表面から、砂の様になって崩れ始めていく。


(...余った不純物が、結合されていないせいで砂状になるのか...にしても細かいな。コレはちょっとマズイかも知れんな。)


砂状になって崩れた物は、俺の魔力で包んで圧縮・加熱を順次かけて行く。この粉塵が、なんらかの衝撃で肺に入り込んだら大変だと思ったからだ。

全部の砂を、圧縮加熱し終わる頃には、岩があった場所に銀色の塊が数種類と金色の塊が1つ、赤褐色とグレーの大きな塊が2つに、暗いオレンジ色の塊が1つ出てきていた。


「ふぅ...できました!へ、蛇神様!...何をしていらっしゃるのですか?」

「(コレか?分別した後にできた余りは、そのままにしておくと、肺に吸い込んだ時に大変な事になるからな。こうして、風で飛ばされないように固めておいたんだ。)」

「肺、というのは、どういった物なのでしょうか?」

「(ふむ...今、我々は空気を吸っては吐いてを自然に繰り返しているが、このことを呼吸という。そして、呼吸をしないとどうなるかと言うと、肺に空気が入らなくなり、徐々に苦しくなってくる。そして、最終的には死んでしまうのだ。つまり、肺は我々生き物が生きるために、必要な物なのだ。そこに、空気以外の物が入ると肺は壊れてしまうのだ。」


ナキだけに説明していたはずが、気がつくと、他の岩を分別する練習をしていた者達も、皆近くに来て話を聞いていた。


「(他の者も、聞いていた通りだ。岩の分別作業の際は気をつけるように。)」

「「「「「はい!」」」」」


念話を絞らず、全方位に垂れ流していたせいで、彼らにも聞こえたようだ。最も、皆うまく分別出来るようになったみたいで、その後のテストでは、1人の脱落者も出なかった。


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