プロローグ
エクリールです。
荒む大地の導入編、プロローグを投稿させていただきます。
尚、プロローグは本編を含みもう少し続きますのでご了承ください。
ある時のことであった。
空は黄金に輝き、あまりにも神々しい光に照らされる新緑の木の下で、3人の親子が会話をしていた。
いつもと変わりのない笑顔で語りかける、ブロンドの髪を長く伸ばした少女は、普通には考えられないような事を口にしていた。
「お父さん!お母さん! タブーの先になにがあるか知ってる?」
「どうしたんだい――、私はそのようなことをしようと思わないから分からないよ」
唐突な質問に驚く両親に頷きながら、少女は言葉を続けた。
「そうだろうね、私もそれを知るまではやろうとは思わなかったな。 それでもね!どうしてもやりたくなった理由があるの!」
「あら、どんな事かしら? 私は少し気になるわ」
「あのね、タブーを犯してまで魔法と技術を合成することによって、一筋の光が現れるらしいの!
その光を浴びた先にカミサマがいてね、その人が何でも願いを叶えてくれるんだって!」
「願い…? なんでもか?」
「うん! 例えば不老不死とか、権力を手に入れるとか、国を作ることも出来るんだよ!」
「それは興味深いわね、――はそこまでして何を望むの?」
「私はね……―――」
少女の声は風にかき消された。
このひとつの願いはやがて、この街の未来を強く揺らがせる引き金となってしまうのだ。
これから語られるのは、一人の少女の願いの話である。