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第14話 終わりと始まり、そして再会の約束

 大会から数日後――。

 ドイツ大会運営本部には世界中のメディアが詰めかけ、あの異常事態の全容解明と責任追及が行われていた。


「今回の件につきまして、当大会運営委員会の管理不行き届きと、システムの不正アクセスを許したことを深くお詫び申し上げます」


 運営委員長は記者会見で頭を下げた。


 調査の結果、今回のレースに仕込まれた消滅ラインと敵キャラクターの追加、後半コースの異常難易度化は、大会システムへの不正アクセスによるものと判明。

 しかも、それを仕組んだのはかつての元レーサーの開発技術者であった。


 その男はかつてプロレース界で活躍していたが、AIが自動生成するコースと自動審判制により、人間の職人技術や判断の入り込む余地がなくなっていく状況に絶望し、表舞台を去っていた。


「こんなレース、レギュレーションも難易度も全部AI任せ。本物の命を賭ける競技なんて、もう存在しないじゃないか……だから、見せてやりたかったんだよ。昔の“本物の命懸けの戦い”をな」


 取り調べでそう語ったという。


 幸いにも、今回リアルモードで参加していたのは湊ほのか一人のみ。

 他の参加選手はすべてアバターによる遠隔操作でレースに出場していたため、消滅ラインに巻き込まれても実体への被害はなかったことが公表された。


 一方、今回の事件で使用されたコースデータはその異常な難易度とドラマ性から、正式に「ミクロレース:カスタム死線コース」として再構築され、世界中のトップレーサーたちがこぞってタイムアタックに挑む人気コースとなった。


 しかし、その中でも20分の壁を破った者は未だに現れていない。

 湊ほのかの名は、レース記録の1番上に19分59秒98という記録とともに今も刻まれている。


 


 日本へと帰国したほのかは、両親と弟と共に、再び穏やかな日常を取り戻していた。

 だが、あの出来事を経て、心には新しい覚悟が芽生えていた。


「私……もう一度、レースに出てみようかな」


 ぽつりと呟いたほのかに、弟は満面の笑みで頷いた。


「絶対いけるって!今度は俺も本気でサポートするから!」


 


 その夜。

 ほのかはふと、窓の外の星空を見上げた。


 そこに、あの日見た白い光が、ふわりと瞬いていた。

 ほのかはそっと手を伸ばし、静かに呟く。


「また、会えるかな」


 答えはない。けれど、確かに光は優しく瞬き、消えていった。


 


 ほのかの物語は、まだ始まったばかりだった――。

これにて完結です!ご愛読いただきありがとうございました。

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