73~久しぶり、サカイ~
お読みいただきありがとうございます。居眠り女主人公、最近は起きられるようになったようです。
何日寝てたとかいて、実はひと月も大幅に越しているんじゃないかなと思っております。日にちの計算してないですから。
雨が降る。
雨季だから当たり前なのだけど、ほぼ一日中降っている。
冬の間近のために寒い。
メイちゃんに、袖なしの綿入れ半纏を作ってもらった。
こんな形っていうだけで作れるなんて、メイちゃんて天才じゃないかな?
布は無地だし、こちらでは一般的なものだから、ちょっと肌触りが悪いけど、服の上に着るし、室内用だから気にしない。
こたつに入ってあとはぬくぬくだ。
ねむい。
久しぶりに王都中央部の家に帰ってきたけど、だらついている。
そういえば、サカイが何か話があるっていうはずだったけど、なにかな?
しばらく会っていないからどうでもいいか。
集落は、住民たちが、のんびりしている。
本来、秋の終わりには収穫したものが税金でとられるから、あわてないといけないのだろうけど、雨期になると、収穫もままならない。
冬は収穫できないから、細々と暮らすだけのたくわえで、のんびり過ごすのだという。
先が長くないからあわてないのだとか。
切ないことを言われた。
メイちゃんの持ってきた紅茶を飲みながら、ぼんやりしていると、サカイが来たと知らされた。
こちらの部屋に来させる。
寒いから動きたくないし。
「師匠、お久しぶりです!」
「・・・ああ、何しに来たの?」
まだ昼間だし。
外は暗いけど、彼は仕事があるはずだ。
「寒いですね、あたらせて貰っても?」
「・・・足、洗ってきたらはいっていいよ」
濡れた革靴の足なんて、絶対に臭いでしょ。
畳の部屋に入ってほしくないし。
最近はましになってきたけどな、加齢臭。
サカイが出ていくと、メイちゃんがサカイのあるいた場所をふいている。
紅茶のおかわりも持ってきた。
「師匠、再びお邪魔します」
「うん。それで?」
こたつに入ってきたサカイに、メイちゃんが紅茶を出す。
緑茶ほしいなあ。
「集落の、冒険者ギルドの件なのですが」
「うん」
「王国の許可が下りましたので、この冬にでもギルドの建物を建てさせていただきます。そのための土地が必要ですね」
「ああ、大丈夫。それならもう確保してある」
「あと、集落の長であるジェヌさんですね。彼と今後来るであろう、その支部の支部長との相性を確認しなければなりません。住民と仲が悪くなりますと、いろいろ面倒なことが起こりますので」
「めんどうなこと?」
「昔とある場所であったらしいです。その住民が冒険者ともめたときに、冒険者ギルドが見て見ぬ振りしましてね、住民が命を落としてしまったのですよ。我々冒険者は普通の人たちより力が強いのですからそのようなことは起こってはなりません」
「でも起きたんだよね?原因は?」
「痴情のもつれだったそうですが、詳しくは・・・」
「ありえないことでもないか」
「その支部はそのままつぶれてしまいまして・・・。旅をするための中間点としてはいい場所だったのですが、その集落は冒険者をいまだに拒否しています」
「拒否?そんなことできるの?」
「冒険者はたいてい冒険者カードが身分証ですから。誰かのお供とかでも拒否されますね。入れてもらえません」
徹底しているな、そこ。
魔獣に襲われても、自分たちでしのげるのだろうな。
「なので相性をみるのです。あわなければほかの人がかわります」
「住民と冒険者のトラブルは困るわね。あの集落は年寄りばかりだから」
「そうですね。ダンジョンの管理も必要ですから」
「そうね・・・サカイじゃダメなの?」
「王都中央部は、ギルドマスターがアレすぎて・・・」
「がるがるさんだものね」
あれじゃ、気心の知れるサカイじゃないとだめか。
「今日は仕事どうしたのよ」
「ギルドマスターに押し付けてみました。たまにはやらないとですから」
「書類仕事を?」
「新人教育です」
戦闘のほうらしい。
がるがるさん、脳筋だからな。
「サカイのほうの仕事は?」
「済ませてきました。あとは午後に出るものですね」
実は書類仕事は優秀なのだね、サカイ。戦闘はからっきしらしいけどね。
「で、冒険者ギルド作るにしても、いつ合わせるの、その支部長さんに」
「明日にはジェヌさんに連絡してですね、こちらに来てもらおうともいます」
「半月かかるよ?」
「転移してもらいますので、数日ですから」
「ジャムさん、そんなに魔力ないよ?」
「そこで師匠です。お願いできませんか?」
そのために来たのか。
「ああ・・・まあ、いいか。明日連れてくるよ、ここに」
「あ、あした?」
「サカイを向こうに連れていくのでもいいよ、今」
「今?」
そろそろサカイにはポータルを教えておいてもいいかな。
ああでも、こたつ出たくないな・・・
まあしかたないか。
「サカイ、こちらに来て」
「あ、はい」
こたつ出るの寒い。
廊下も温度調節してあるからいいけど、外は出たくない・・・
でも、靴はいてなのよね。
大きな転移魔法陣。
ポータル。
魔法を流し、サカイを押し込む。
先は集落の家の中。
サカイは呆然としている。
「あれもこれもポータルっていう魔法。転移魔法陣の簡易版かな。で、ここは集落」
「あ・・・はい」
「人には言わないほうがいいよ、何があるかわからないでしょ。ああ、使えないから意味ないか」
「あ・・・はい」
こわれたのかな?サカイ。
ああ、こちらも雨降りだなあ。
寒いし、これ以上外出たくないな。
あ、集落のおばあちゃんだ。
掃除来てたんだ。
「おばあちゃん」
「お嬢さまじゃないかい。どうしたい」
「ジャムさん呼んできてくれる?」
「おお、わかったよ」
メイちゃんもついてきたから、お茶も出されるし、ああ、でももう寒いから、戻ってもいいかな。
お布団あるから、寝てようかな。
「私は部屋で休んでいるから、終わったらメイちゃんに送ってもらって」
「あ、はい」
まだぼんやりしているのか。
仕方ないな。
布団に潜り込んで寝る。
サカイはジャムさんと話していくだろう。
私は聞いても仕方ないし。
ああ、眠い。
寒いときな温かいとこで寝るに限るわ。
おやすみなさい。
運営さん、きこえているかな?
お読みいただきありがとうございました。誤字脱字報告、評価もありがとうございます。
今日は文化の日です
ラノベは文化だ!




