62~準備していかないとね~
いつもお読みいただきありがとうございます。居眠り女主人公、出ていくための準備に入りました。
いろいろやらないといけないようです。
朝はゆっくり。
前世のころはほんとに考えたことなかったくらい、あわただしかったけど、今は数日寝て起きるのが当たり前になってきたよね。
ポーションづくりしたから魔力が減っていたんだよね。
「お嬢さま、お目覚めですか」
ノックの音とともに、メイちゃんの声。
「おきたよー」
いうが早いか、メイちゃんは入室してくる。
タオルとか持ってきてくれているんだけど、いつも思うのだけど、洗面台あるからね、ここ。
メイちゃんは私のお世話や家のことをするのが仕事としてインプットされているから、仕方ないのだろうけどね。
「庭のいやし草の剪定は終わったようですので、サカイ様は朝食を召しあがった後、出勤いたしました」
どうでもいい情報、ありがとう。
やはり朝から来ていたんだね。
あの人いつも来るからな。
「運営さんは?」
「ガイアード様は、いまだにお戻りになりません」
そうか。
まだこないんだ。
呼びかけても返事がないから、忙しいのかな。
冬が来る前には、ここからいなくなろうと思ったのにな。
せめて返事くれればいいけどな。
まだ、ひと月以上もあるから大丈夫かな。
私の朝食という名の、ご飯の後、この国を出ることは二人に話した。
そのためにやらなければならないことがいくつかある。
その一つを始めようと思っている。
「シツジローくん、こちらの文字はかけるよね?」
「各国の言葉は習得済みです」
「でもこれは読めないのよね?」
錬金術のレシピ本だ。
日本語で書かれている。
私が調合の分量とかも記したものだ。
拠点の家の本棚の本は、すべて日本語なのだ。
「こちらは申し訳ありません」
ドールも一応プレイヤー国の人間ということにされているけど、こちらの世界のものだからか、読めないんだよね。
「私が読んでいくから、錬金レシピを書きうつしていってほしいの。師匠から弟子に渡す技術だから」
「承知しました」
錬金術の基本のレシピ集だけど、この世界にはもうないようで、手に入れることができない。
スーベニア・サカイも、レシピは残していかなかったようだ。
でも私は、かかわり面倒見た人のことは、きちんとしていこうと思う。
サカイさんも、錬金術師の称号が出ているそうだから、いつまでも基本ばかりではいけない。
ごみポーションがやっと下級ポーションに届くかどうかってくらいの錬金術のレベルなのは、もしかしたら才能がないからなのかもしれないけど。
それでも私が去った後は、また失われるかもしれないのだ。
あとは、それに伴う、道具。
複製は劣化版だけど、私が作ることもできる。
それは劣化版じゃないから、それを渡そう。
サカイさんには内緒だけど。・・・一か月でできるかな?
とにかく、今日から始めないといけない。
あ、キノコ狩りいけなかったな。
キノコも食べたいよ。
「メイちゃん・・・きのこ・・・」
「お嬢さまが寝ていらした数日で、シツジローとともに拠点の森にて採取してまいりました」
おお!
さすができるメイドと執事は違うね。
はっ!そういえば、シメジっぽいものが今日の食卓には並んでいたわ。
あれは拠点からとってきたものだったのかな。
「毒キノコは、隔離しておいてありますので、お間違えの無いようお願いします」
「わかった」
私は鑑定で見ないと、キノコの種類が分からないからね。
そうとなれば、キノコ狩り行きたかったけどあきらめて、作業に取り掛かりますかね。
「まずは魔法紙を作らないといけないわね」
錬金レシピは持ち主を固定するのだ。
そうした契約のもと、開いたレシピを見ながら作ると、一番品質の良かった時の分量などが随時更新されていくのだ。
一番低かった時の分量やその中間も書き込まれて、一目でわかるのも面白い。
でもそれが原因の一つじゃないかな?
広まらないの。
運営さんが渡してくれた料理レシピは、持ち主の固定がもうないのだという。
そういうものは、プレイヤーは見放題なのだそうだが、渡してもらわないといけないんだけどね。
拠点に戻り、錬金部屋にこもる。
魔法紙の材料はプラント種の皮なのだけど、実はいっぱいある。
プラント母さんが、成長にしたがって、剥がれた皮とか、外れた枝とかをくれたから。
マザープラントだよ?
高級魔法紙だよ。
命にかかわるような契約や国の重要事項などに使われるであろう程の高級紙だよ。
それを、ごみポーションしかいまだに作れない弟子のために使うのは、ちょっともったいないけど、仕方ないよね。
一度の錬金で作れる魔法紙の量は、100枚一束。
どれほど使うかわからないから、10束作っておく。
ちょっとやっただけで眠くなるのはどうしたものかと思うけどこれでいい。
あとは、レシピのための魔法のペン。
ペンもインクも特別製なんだよね。
どちらにも魔力がこもる。
この世界のペンは、羽ペンだから、いちいちインクを付けないといけないけど、特別製のペンは、すべてのインクを中に補充し、使える万年筆だ。
これもプラント種の木片で作ることができるペンだ。ペン先も木製なんだけど、プラント種製のためか、折れないそうだ。
すごいよね。
インクは普通のインクに魔獣の血液を混ぜて錬金する。
色は黒だけどね。
完成したころには、夕方になっていた。
魔力使ったし、おなかすいたな。
それに眠いし。
数日はこちらで過ごすということは二人には告げてあるし、メイちゃんもシツジローくんも行ったり来たりはなれているし、大丈夫でしょう。
ご飯のにおいもしてきたし、今日はここまでだ。
王都の家にはサカイさんが来ていたそうだけど、まだ私は寝ていることにしたそうだ。
ご飯美味しいし、お布団もふかふかだし。
ゆっくり寝よう。
早く運営さんが帰ってきますように。
「おやすみなさい」
いつもお読みいただきありがとうございます。毎週水曜日更新していますが、忙しい時期になってしまい、更新が遅れるかもしれないと危惧しております。なるべく毎週水曜日には更新できるようにしていきたいです。
誤字脱字報告 ありがとうございます
毎回見直してるはずなのに いっぱいあります
すみません




