53~蛍狩りはやっぱりこれじゃないよね~
いつもお読みいただきありがとうございます。
居眠り女主人公、悪夢から目覚めたようです。
蛍狩り最中です。
虫汁を浴びたからだと思う。
悪夢を見た。
虫がまとわりつく悪夢だった。
虫嫌い。
蛍狩りだって話だけど、私の中の蛍狩りという認識が、これじゃないって言ってる。
小さくはかない蛍を愛でたいです。
・・・虫嫌いだからやっぱいいや。
昼間には出てこないことと、ダンジョン内では小さくて見つけられないということを伝えたからだろうか。
冒険者たちは、各々広場で鍛錬している。
夜になったら行くのだろうな。
運営さんが回収した蛍は、サカイさんがマジックバッグに収納したそうだ。
あげるから再び外には出さないでほしい。
何の素材になるのかは知らないけどね。
とりあえず私は一匹倒したけど、これで終わりというわけにはいかないようなので、虫対策をしないといけない。
「どうすればいいかな?」
「自分で考えなさい」
それもそうか。
燃やす。
これは森に火が移って、森が燃えてしまうから駄目だ。
風で切り裂く。
剣で切った時と同じ、虫汁が飛び散るから却下だ。
水の中に入れて窒息死。
ありかな。
でも時間かかるかな?
やってみる価値はありそう。
夜に試してみよう。
今は、寝る。
メイちゃんとシツジローくんは、拠点と王都の家に行ってるし、運営さんは仕事モードに入ると、借りている家の部屋に戻ったし。
キドナは拠点に戻させたから、いないし。
ここでは私ひとりだ。
寝るのが一番だ。
先細起きたばかりじゃないのかという突込みは、自分ではしないよ。
私は寝るのが大切だから。
おやすみなさい。
夕方も遅く、起きると夕飯が用意されている。
私が起きてくるより先に、なぜかサカイさんとジャムさんがもう食べてた。
家主(仮)を何だと思っているんだ。
勝手に入って食べていくんじゃない。
夕飯は当然のように、野菜と肉。
野菜おおめにしてあるのが、私の分。
肉多めがサカイさんとジャムさんの分。
おっさんなのに、肉で胃もたれしないとは、異世界人の胃は、どうなっているんだ。
「雨が降らなくて、野菜がしなびたものが多いのに、ここのはすごい新鮮だな」
ジャムさんが、レタスを食べながら感心している。
きっとそれ、拠点からとってきた、朝どりのレタスだよ。
ほかの野菜もそうだろうし、肉も保存庫が心配なほど、あるんだろうな。
シリウスもしーちゃんもベヒーも、少しは加減をしてくれるといいけどな。
あ、魚もある。
プラント母さんがよこしてくれたのかな。
プラント母さんだけだよ。考えてくれているのは。
今度行ったときは、栄養剤かけてあげよう。
<プラントは、かなり大きくなっているぞ。成長させるのも考えてやりなさい>
あ、そうなんだ?
確かに家よりは高くなっているけど、そう大きくなった気がしないけど…
<あのプラントも、一体で国を亡ぼせるぞ>
大げさな。
プラント母さんはそんなことしないし、優しいんだよ?
<アイリーンの家は、君も含めて、過剰戦力だ>
そんなことないよ。
ちょっと戦うのが好きな子たちだけど、いい子たちだし。
運営さんがため息ついているけど、うちのコたちはいい子だから、変なことはしないよ。
それよりも、魚には、しょうゆが欲しいな。
ああ、そうだ。
ジューノさんに探してもらおう。いろいろと。
夕飯食べたら、早速、目的の場所へ。
ほかの冒険者も一緒だ。
うちのものが一番軽装だね。
私と運営さん以外は、メイド服と燕尾服だものね。
この格好で平然と魔物を狩る二人って、なんだか違う世界にいるみたいだわ。
今まで考えたことなかったけど、二人にも冒険服着てもらったほうがいいよね。
家にいるときはもう少し軽装だけど、ね。
森につくと、もう、大きな蛍が明滅しながら浮かんでた。
あちらこちらで、戦闘が始まっているけど・・・
みんな苦戦してるな?
なんでだろう。
やはり虫汁が飛ぶのが嫌なのかな?
<蛍のレベルが高いからだろう>
え?
蛍なのにレベルが高いの?
鑑定してみよう。
蛍 Lv.75
ダンジョンにしか生息はしていないが、時々ダンジョン外にあふれると、作物を食い荒らす。
雑食。明滅した光で獲物を惑わし、捕食する。
これで高レベルモンスターなのね。
高位冒険者だけなのがよく分かったけど、二けたって、ザコだよね?
<君と比べるのは間違っている>
確かに。
比べちゃいけないんだったかな。
「私もやろうっと」
せっかく考えたのだから、やらないとね。
魔法で水球を作り出し、蛍を閉じ込めた。
これで窒息するのを待つだけ。
蛍がもがいてる。
虫も水の中だともがき苦しむんだな。
でもこんなのいつまでも見てられないよ。
「あ、そうだ」
洗濯機みたいに、ぐるぐるさせてみよう。
小さい竜巻を作って、水球の中に入れる。
ぐるぐると蛍が引きちぎられ、虫汁状態になって、四方八方に飛び散った。
「ぎゃー!」
虫汁が飛び散ってこちらに向かってくるー。
なんなの!なんでこうなるの!
きもちわるいー。
「当然の結果だな」
「ううう・・・」
虫汁が付かなかっただけ、今回はましだ。
でも気持ち悪いよう。
やはり悠長に窒息させよう。
水球に再び閉じ込める。
もう、虫汁はほんと勘弁してほしい。
ゆっくり待つか。
パキン
どこかの冒険者が放った氷魔法が、水球にあたって、一部が凍った。
きっと外れた魔法だったんだろうけど。
その一部で、蛍が動かない。
これだ!
水球をいくつも作りだし、蛍を閉じ込める。
あまり強い魔法じゃなくても平気だよね。
「アイスキューブ」
氷魔法の、というか、ただの氷を作る生活魔法だけど、を唱え、水球を全部凍らせた。
蛍の生命反応が無くなる。
氷に閉じ込められた姿のままで、どさりと落ちてきた。
「よかったー。うまくいった」
どこかの冒険者さん、ありがとう。
此方に飛んできた氷魔法のことは、気づかなかったことにするよ。
でも虫は触りたくないな。
「仕方ない。回収はしておこう」
ため息交じりの運営さん。
今日の蛍狩りはこれで終わりでいいよね。
それより眠いよ。
「かえる・・・」
んー
思考が停まりそう。
「お嬢さま、馬車は用意してあります」
シツジローくんの声が遠い。
ああ、眠いな。
お読みいただきありがとうございました。
毎週水曜日更新しています。
氷魔法を外してしまい、アイリーンのほうにはなってしまった冒険者さんは、帰ってからお詫びに来ましたが、アイリーンは寝ていたという落ちが付きます。




