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ワールド・ガイア  作者: 水野青色
33/281

33~住居は微調整が必要~

居眠り女主人公、やっと起きました。王都中央部のおうちは、想像力だけでは物足りないようです

目が覚めたのは、三日後だった。

いつものことだけど。

久しぶりに大量の魔力を出したからだと思う。

魔力は回復しているけれども。


メイちゃんが、かいがいしく世話をしてくれるので、だらけたいけど、せっかく建てた家に、移り住むための準備だ。

その前に、家の中がどうなっているかも見なければならないよね。

私の妄想…じゃなく、想像力でできた家。

微調整も必要かもしれない。


王都中央部での拠点となる家に行くと、運営さんが、木や垣根に水やりしてた。

水…じゃなくて、育てるための魔力なんだろうな。


「運営さん、おはよう」

「早い時間じゃないが、おはよう。ようやく起きられたか」

「うん。中には入ってみた?」

「まだだ」


運営さんを促して、中に入る。

そういえば、カギもないけど、どうすればいいかな。

後で考えよう。


中庭に面しているのは、廊下とスライド式のガラス窓。

こちらの世界のガラスは、何やら不純物が多くて、薄汚い印象だけど、私の想像力では、きれいな透き通ったガラスだ。

外がよく見える。

さすがにここは、土地が大きいだけあって、中庭でも、従魔たちが走り回れるだろう。

ガラスに、防御魔法かけとかないと、従魔が割ったら大変だな。

どうせなら家全体にかけておこう。

やることを思いついたら、シツジローくんに言っておく。

そういう管理はシツジローくんだ。


玄関からまっすぐの廊下は暗かった。

そりゃそうだよね。

明かりがなかった。

どの部屋も暗いままだろう。

明かり球を作り出し、そこら中に浮かべる。

まだ何もない倉庫。

寝床も敷いていない従魔部屋。


「メイちゃん」

「こころえております」


さすが、なにもいわなくてもわかるのね。

従魔の寝床環境はよくなるだろう。


従魔部屋の横を通り過ぎた場所に、靴箱。

ここからは、靴は脱いで上がってもらう。

あ、スリッパがない。

後で作らないと。

こういう時ってスキルは便利だわ。

ここからは、客間などが続く。

トイレも、お風呂も、まだ、スライム核石の設置がされてないから、使えない。

リビングの和室は、いい感じだ。

ここだけ、廊下に出る側の引き戸が障子にしてある。

和室だからこそ障子戸が必要だわ。

ただ、ちゃぶ台も座布団もない。

家具屋になかったら作るしかないなぁ。

食堂も、拠点と同じキッチンが作ってあるけど、スライム核石がないからまだ使えないし、テーブルも椅子も何もない。

キッチングッズだの、必要なものは揃えないとね。


各自の部屋にもあるトイレも洗面所も、まだ使えない。

ウォークインクローゼットにしてあるけど、ベッドなどの家具も何もない部屋だ。

錬金道具も持ってこないと。


「まだまだ住めないわね」

「スライムを連れてくるのが先だろう」

「従魔とすむための許可もとりにいかないとね」


そういえば、スライムって、この辺りでとれないのかな?

どこにでもいるのになぁ。


「そこらの水辺にもいるだろう。郊外なんだから、裏手にいるだろう」


私の考えが聞こえたか。

スライム、たくさん必要なんだよね。

生きているのも核だけのも。


「スライムって、生け捕りを冒険者依頼できないかな?」

「自分でやったほうが早いのでは?」

「うん。でもさ、こういう簡単な依頼って、低級冒険者の仕事でしょ」


この世界では、12歳になると独り立ちできるそうだ。

世に言う、成人だ。

しかも、冒険者は、10歳からなれるという。

10歳の時に将来にする仕事や、奉公先が決まらない子供たちが、低級冒険者になることも多いのだとか。12歳で成人するまでは、見習い低級冒険者のままなのだそうだ。

私なんて、10歳の時は、まだ義務教育中の小学生だったけど。

給食だけが救いだったなあ。

この世界ってどうしているのかな。教育とか。


スライムのことは、家具屋や、従魔との生活の届ついでに、依頼してこよう。


中庭に出る。

ここに出るにも、外用のサンダルとか必要だな。

後で考えよう。


精霊の命の木の周りにも、水場が欲しいよね。

後、従魔たちがこの木に傷をつけないようにしないとだし。

いろいろ考えることは多そうだ。


芝生も欲しいけど、従魔たちが荒らしそうだし、芝生は木の周りにしようかな。

しかし、広い庭にぽつんと立っている木って、寂しい感じだな。

ほかの植物も考えよう。

プラント母さんに来てもらうのもいいかもね。


この後の予定を伝える。

早速、冒険者ギルドに依頼だ。


冒険者ギルドに行くと、この前と同じ人がカウンターにいた。


「すみません」

「あ・・・あ・・・プレイヤーさん・・・」


なにおびえてんのよ、失礼な。


「今日は・・その…どのような御用でしょうか」

「今日は依頼を出したくて来ました。依頼出すのって初めてで」

「あ…はい。ご依頼ですね。少々お待ちください」


だから何を焦っているのか。

椅子で座って待っていると、凶悪な顔のおっさんがきた。

何を言っているかわからないだろうけど、凶悪な顔のおっさんが来たのだ。


「俺はここでギルドマスターをしている、ガルガンギ=ガージスだ。おまえが、プレイヤーだな」

「ああ、はい、はじめまして。アイリーン・プラム・シュガーです」


身分証を出す。穴が開くほど見つめているな、このおっさん。

ギルドマスターを名乗ったおっさん…、がるがる?名前が覚えられないわ。

私の体、もしかして、バグってないかな?


<君が人の名前を覚えられないだけだ>


失礼な。

まぁ確かにそうだけど。


「あの?」

「いや、すまない。部屋で聞くので、こちらに来てくれ」


えー。

めんどくさいなぁ、もう。


四人でついていく。

奥の部屋は、どうやらギルドマスターの部屋らしい。

そこに、もう一人いた。

こちらもおっさんだが、ギルドマスターより若そうだ。

少し小さい感じ。


この部屋、おっさん臭がする。


「そこにすわってくれ」


いわれるまま、私と運営さんが座る。

メイちゃんとシツジローくんは、後ろに立った。


「依頼を出したいとか?」


唐突なおっさんだな。


「あ、はい。おねがいしたくてきました」


何か警戒しているような・・・


「で、何を頼みたいんだ?」


コミュニケーションとれないおっさんだな。

向こうのおっさんも黙ったままだし。

そちらがそれなら、こちらも悪い態度でもいいや。


「スライムを100匹ほど、生け捕りで」

「はっ?」


目の前のおっさんじゃなく、向こうで仕事しているおっさんが言う。

だれ、あんた。


「あ、失礼いたしました。名乗るのが遅れて申し訳ありません。王都中央冒険者ギルドの副ギルドマスターをしています、ブルーム=サカイともうします」


さかい?

日本人?には見えないわ。

こちらにも東洋系の呼び名があるの?


「実はわたくし、プレイヤーの子孫なのですよ」

「子孫?」


アバターに子供出来るわけないよね、どうなっているの!


「何百年か前の先祖が、プレイヤーの養子になりまして、それ以来、プレイヤーの名前を使わせていただいております」


びっくりしたわ。

どうやって子供作るのか、ちょっと興味あったわ。

そのプレイヤー、どこ行ったのかな?


<違うワールドにいる、そこでも、養子を取っているようだ>


子供好きかよ。


「そうでしたか」

「そのため、プレイヤーが来たと聞いて、気になりまして、マスターに頼んで、ここによ

んでもらったのです」


自分で呼べよ。


「ああー、変な態度とってすまんな、こいつが人に会いたいなんて言いだすの、初めてでな」

「はあ?」

「恋人同士なんです、わたくしたち」

「は?」


いや、別に、だからなんだということないけど、おっさんだよね?

いやいやいや。

もしかしたら、この副ギルドマスターが女性とか?


「男同士です。おかしいでしょうか」

「あーいや、こちらにもそういう人たちは一定数いたし、いきなり名乗られるのはびっくりするけど、そうですかとしか言えません」


あ、驚いて本音出ちゃったよ。


「冗談です。ギルドマスターは、妹の伴侶なので、親戚です」


びっくりしちゃったよ、そうなのか。

だから冗談はよせっていつも…とか、ギルドマスターがるがるさんが言ってる。


「それより、スライム100匹?」


ギルドマスターがるがるさんが口をはさむ。

そうだった。

依頼に来たんだった。

意識から飛んでたわ。


「100匹が最低で、いればいるだけほしいです。一週間くらいで」

「そんなにもスライムをどうする気だ?」

「え?汚水処理とか、スライムの核を取って、スライム核石にしたりとか」


スライムは生活に必需品なのだけど?

やはり浸透してないんだなぁ。


「スライム核石とは?」

「スライムの核で作った魔石みたいなもの」


説明する。

錬金術のなくなった世界だから、難しいよね。

でも、プレイヤーの子孫を名乗る人がいるんだから、どこかにあってもおかしくないと思うのだけどな。


しばらく説明をしたら何とかわかってくれたみたい。

ものすごく興味津々だ。

特にサカイさん。先祖がやっていただろう技術だもんね。


スライム100匹は受領してくれた。

100匹なので、低級冒険者に、10匹ずつの依頼。多くても可。

一週間以内。

一パーティでも。一人でも。

依頼料は銀貨5枚。数が多ければそれに応じて、特別報酬も出す。

生きていることが条件で、その上、王都中央部の冒険者ギルドに持ってくることが条件として取り込まれたから、依頼料としては安くはない。

そこからギルドが必要経費を抜いても、低級冒険者にはいい金額だという。


「また来てくださいね」


サカイさんに、にっこり笑まれた、

おっさんだけど、よく見たらきれいな人だ。

妹さんもおきれいな方なんだろうな。

ギルドマスターがるがるさんと、どちらが言いよったのだろうか、気になるわ。


そのあとは、役所に行って、従魔たちとすむ許可をもらい、今日はここまで。

家具屋に行きたかったけど、思ったより、冒険者ギルドで時間を取られたなぁ。

もう夕方だ。


屋台でご飯を買って、宿に戻る。

明日こそは、家具屋だ。

早寝しないとね。


今日はいい出会いもあり、充実した日でした。


おやすみなさい。


よんでくださり、ありがとうございます。

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