18~王都に入るには長い列に並ぶのです~
専用野営地、やっと出ました。
朝だ。
いや、昼だ。
・・・寝ちゃったようです。
わかっていたけども、眠かった。
「おはよう」
「起きたか、おはよう。まだ王都には入れるようだから、支度をして出立するか?」
「そうね。顔洗って、出立しましょう」
魔力が眠気を誘うのはわかっていたけど、こんなに少しでも眠くなるなんて。
この体、おかしいの?
<おかしいのは君の特性だけだ>
あきれ顔の運営さんを横に、私はさっさと顔を洗って、シツジローくんに出立の意を告げる。
シツジローくんが、ウーマを馬車につなげ、守衛長さんを呼びに行った。
どうやらまだこの専用野営地にいたようだ。
「おはようございます、守衛長さん」
「おはよう、ではないな。もう、昼も過ぎるぞ。早くしないと門がまた閉まるぞ」
わかってますって。
だから今日は何とか門の中に入る。
そのために起きたんだと思いたい。
専用野営地を後にして、王都の入口へ。
そこには長い行列ができていた。
一緒に野営地から来た守衛長さんも、うんざりした顔だ。
「毎日のことだ。この行列すべてを身分の確認やらをしないといけないんだ」
「大変ですね。魔法具か何かですか?」
「そうだ。こういう魔道具に身分証と手をのせて、赤なら偽物、青なら本人、黄色なら賞罰があるものとなる」
守衛長さんが、身振りで魔法具の形を表す。
「一つしかない貴重なものだから扱いも厳重だしな。だが、それでここに来るものを判別しなければならんからな」
「ひとつ?もっと作ればいいのに・・・」
「作ることなど難しい。古代魔法らしくて、発掘物のレプリカだからな」
複製品なんだ。
しかもレプリカなのに、一つしかないって、どれほどけちな王国なのよ。
それにしても古代魔法ってなんだろう。
<アイリーンが使っている魔法はほとんど今は失われた古代魔法だな。その魔道具も、錬金術で量産できるぞ>
ええ!
古代魔法って、ゲームの中の魔法なの?
あ、それじゃもしかして、円盤型うそ発見器?
あれって、ただのお遊び道具じゃ・・・
確か、いっぱいあったような気がする。
お盆型のやつで、水晶で作ってある、うそ発見器。
何かの心理戦で使われたような・・・
うん、覚えてないな。持っているけども。
「ねぇ、守衛長さん、その魔道具がどれほどあれば、すんなり通れるようになるの?」
「この行列を早く動かすには、50は必要だろう。だが・・・」
中央の悪いことは言えないって心理かしらね。
「ねぇ、取引しない?その魔道具を100出すから、サクサクと私たちを通してほしいな」
「は?」
「魔道具って、これよね?」
円盤型うそ発見器を出す。
「ど・・・どうしてこれを!」
「こんなものはいくらでもあるわ。私は、プレイヤーだもの」
「プレイヤー・・・」
今初めて知ったんだっけ。
いや、最初の時に身分証見せたんだから、驚くことじゃないと思うんだけどな。
「うちの国にはいっぱいあるの。自分で作るし、みんな持っているわ」
本物よ、と渡す。
「信じられない…」
「そうね・・・これを判別できる人がいれば、すぐだわね」
「わかった」
借りていくぞ、と言って、守衛長さんが門のほうへかけていく。
あれの判別できる人がいるのかな?
「アイリーン、いいのか?」
「早く通りたいし、非効率的だわ、この行列」
「もともと並ぶのにたけた民族だろうに」
「だからと言って何日も並ぶのは嫌よ」
また専用野営地どまりじゃ、いつまでたっても中に入れないし、ジューノさんたちも来ちゃうんじゃないかしらね。
しばらく待つと、守衛長さんと数人の人がやってきた。
「待たせた。・・・ほんとに100もあるのか!」
「あるわよ。本物よ。それだって、本物だったでしょ」
「うむ」
門番の中には、偽物を見破ることができるスキル持ちが必ずいるのだという。
今までも、そういうもので中に有利に入ろうとしたものがいたのだそうだ。
「100だすわ。約束してほしいの。私たちは何もせずに中に通すって」
「すべてが本物なら、約束しよう。優先的に通すとな」
スキル持ちを連れてきたそうだ。
守衛長さんの後ろから、ごついおっさんが現れた。
「すべて見せろ」
命令口調か。
まぁいいわ。
取り出して、目の前に並べる。
全部同じなんだよね。何個でも作れます。
レプリカじゃないよ。
「ほ・・・ほんものだ」
「当たり前でしょ。これで、中に入れてくれるわね」
「うむ。約束だからな」
水晶の円盤型うそ発見器を連れてきた者たちで抱え込む。
重くないのかな。
そのまま、守衛長さんたちと門の中に入って、王都に入った。
私たちはそのまま、馬車で通り過ぎる。
守衛長さんたちは、手に入れた魔道具を設営するようだ。
でもあんな本物、あんなにいっぱい手に入れたら、王都の中央になんて説明するのかな。
渡したけど、関係ないか。
「さて。王都に入ったんだから、宿を探しましょうか」
もう夕方だし、さすがにおなかもすいたわ。
馬車で待っているときに軽く食べたけども。
ゆっくり馬車は街の中を歩いていく。
まだまだ続きます。




