17~専用野営地 その2~
王都に行くはずだったのに、まだ野営地どまり。
起きたのは夕方だった。
もう何も言えない。
ほかの野営の人たちが来ているらしい。
もう、この日は王都に入れないという。
守衛長さんに呆れられながら説明された。
うん。わかっています。
私が寝すぎだってこと。
でもさ。
眠いんだよ。
起きられないんだよ。
・・・どうして、運営さんが中心になって出発してくれなかったんだ。
<守衛長に言われたからだ。アイリーンが起きてからだと。いろいろ手続きがあるそうだ>
そうなんだ?
中に入るために手続きがあるのか。
ここでやっちゃえば早い気がするけど、ダメなんだろうな。
でも今日もここで野営だよね。
いいけどさ。
寝起きだけど、メイちゃんがご飯用意してる。
私には軽いものらしい。
あとは運営さんとシツジローくんとメイちゃんと・・・誰の分?
「守衛長さんにも、召し上がっていただきますので」
優しいな。
さすがメイちゃんだ。
まぁ、これから何かとお世話になりそうだし、胃をつかんでおくことは悪くないか。
食事の支度が整うと、シツジローくんが守衛長さんを呼びに行った。
当然のようにやってくる。
昨日の今日でなじんでる?
「いただきます」
私たちのあいさつを、守衛長さんも真似をした。
最初に聞かれたときに、すべての食べ物と、作ってくれた人に感謝を、といったのが心に響いたらしい。
おいしい食事は、ほんとに神の贈り物だと思う。
・・・この運営さんは別だがな。
<ひどいな>
聞いていたのね。
だが私はあやまらないわよ。
運営さんだって、メイちゃんの料理食べているんだから。
食べ終わって、一息。
お茶が出てくる。
「シュガー殿は、王都に入って何を目的としているのですかな」
「アイリーンでいいですよ。別に、何も。・・・ああ、知り合いに会いに行く、かな。ジューノさんて、しってます?」
ここまでの道中であったジューノさんの名前を出す。
名前だけだとわからないだろうから、門番街の雑貨屋さんだということも伝える。
「それなら、すぐわかりますよ。門を入って、すぐの街が門番街。そこの中央にありますな」
有名どころなのだと教えられた。
店主はいつも様々なところに買い出しに出ていて、店は奥さんがやっているという。
他国のものはたいていここでそろうのだとか。
王都の中央に店を構えられないのは、獣人だからという差別らしい。
あほらしいことだわ。
「ジューノさんにあった後は、王都の中を見て、また次のとこに行こうと思います」
「・・・王都自体は大きいですからな。ゆっくり見て回るといいでしょう。その前に、明日はきちんと起きてくださいよ」
「できるだけ努力します。が、ここで手続しちゃって、私が寝てても入っていいようにしていただけませんかね」
「私にそういう目こぼしをしろと?これでも守衛長なのでね、そんなことは出来かねますな」
「ですよね」
起きるわよ。
いや、このまま起きていてやろうじゃないの。
前世は正味二時間しか寝てないで、休出までやった女よ。徹夜なんてなんでもないわ。
お茶の時間も終え、馬車の中に戻る。
今日は絶対起きててやるわ。
「無理だろう」
おいっ!
ひどいこと言うわね、この運営さんは。
「大丈夫よ。運営さんにも起きててもらいますからね。それよりも、外に出られず退屈している従魔たちのために、何かいい案がないかな?」
「森の家に帰したらどうだ?」
どういうこと?
「ポータル魔法があっただろう。それと馬車の中をつなげれば、いつでも帰還可能じゃないか」
「それって、森にある拠点の家で、まず、ポータル魔法使っておかなきゃならないわよね。今、ここ、王都の目の前なんだけど?」
「わたしがアイリーンを一度森に連れて行こう。入り口さえできれば、出口はどこでもできるだろう」
確かにそれなら可能だわ。
「お願いします。メイちゃん、シツジローくん、誰かが来てものぞかせないで」
二人の返事を聞き、運営さんの手を握る。
柔らかな光に包まれたと思ったら、そこは拠点の玄関前だった。
「一瞬だわね」
「神だからな」
確かにそうだった。
それじゃやりますかね。
ポータル魔法は、その名の通り、入り口だ。
どこか一点に入り口を決めておいて、その先に出口をどこにでもいいから作り、そこに出られるようにする。
出口から入口に戻ることも可能だから一方通行にはならないし、移動も数秒という優れた空間術だ。
出口は消すことができるけど、一度作った入り口は消せないのが難点なんだけど、家の中にポータルを作れば、その家ごと消したり持ち運べるので、便利なんだよね。
ポータル設置場所は、従魔たちの小屋。
家の部屋の一角だし、外にもすぐに出られる場所だ。
ポータル魔法の陣を描く。
壁一面だ。
魔法で焼き付けると、入り口は完成。
ここに魔力を流し込むと、入ることができる。
従魔たちは理解できるし、魔力も自分であるしね。
「できたわ。戻りましょう」
「では、つかまりなさい」
運営さんの手を取ると、また光に包まれた。
まぶしさが慣れると、馬車の中に戻っていた。
運営さんがいちいちやってくれてもいいのになぁ。
出口用に、馬車の中に陣を刻む。
こちらは小さくてもかまわない。
出口も、魔力を流しこめば入り口に戻されるというものなのだ。
「みんな、こちらにおいで」
従魔を呼び、ポータル魔法の説明をする。
ウーマも馬車に引き入れた。
ウーマも説明に納得したようだ。
うちの従魔たちは頭がいい。
「早速拠点に戻りましょう。帰りは明るくなる前に馬車に戻ってくることよ」
従魔を連れて、拠点へ移動。
魔力を流して、進んだ先は、従魔小屋だ。
4頭は早速外に出ていった。
私は、外にいるプラント母さん居説明しないとね。
急にみんなが戻ってきたら警戒しそうだし。
まぁ、家族だから大丈夫だろうけども。
プラント母さんは、川辺から少し離れた場所にいた。
そこが休みの場所なのだろう。
私が近づくと気が付いたようだ。
触手で私の頭をなでる。
「プラント母さん、久しぶり」
説明はうまくいったと思う。
プラント母さんが微妙にうなづいたようだったし、また撫でてくれてたから。
従魔たちはおいて馬車に帰る。
やばい。
眠いわ。
魔力を使ったせい?
夜だから?
今日は寝ないって誓ったのだから、寝ないわ。
でもクッションの力には勝てないわ。
「ね・・・ねてな・・・」
意識が保てない。
「寝たようだな」
長くないですが、進んでません。




