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ワールド・ガイア  作者: 水野青色
16/281

16~専用野営地~

王都手前の野営地です。交流が全くないです。主人公起きてます。

専用野営地。


遠くから明るく見えた場所がそうだった。

王都に入るための門の、少し離れた場所にあった。

いくつもの明かりが灯されて、さらにロープが張ってある。

ロープがないところには人が立っていた。


「外で話を聞いてきて」


私の言葉に、シツジローくんが馬車を降りて、ロープがない場所に立っている人のところに行ったようだ。

私はというと、メイちゃんの煎れてくれたお茶を飲んでいます。おいしい。


少しするとシツジローくんが帰ってきた。


「なんだった?」

「はい。あの場所に立っている方は、王都の門の守衛の方のようです。王都に入れなかった者たちの安全のために、派遣されているのだそうです」

「安全のため?」

「夜に、魔物や盗賊が出ることもあるそうですから、それらから守るようです。安心して王都に入ってもらえるように、数年前から始まったそうです」

「この野営地も?」

「この野営地も、そのころからだと聞きました。中に入るには、一応手続きが必要らしいので、手続きもしてきました」


シツジローくん、よくやった。

そうだよね。

こんなに大規模な野営地では、何が起こるかわからないし、王都から見張りが来るものおかしくない。王都の目の前で献花とか起こったら、それこそ目の前で見張っている門番さんたちが起こられる事態になりかねないしね。


馬車はゆっくりと守衛さんたちに近づく。

そのまま入ることができないらしく、私たちも一度降りた。


「従魔もいるんですけど、おろしたほうがいいのですか?」

「従魔か。使役されているものによっては、外に出られると恐怖を呼ぶものもいる。こちらが中を確認しよう」

「お願いします」


馬車の中に入ってもらう。

もちろん、私が一緒だ。


「こ・・・こ・・・・・こ・・・・」


にわとり?


「終わりだ…」


何が?


急に門番さんが膝をついて、震えだした。

どうしたというのだろう。


「どうしました?」

「・・・ぅわわああああああああああああ」


転げるように馬車を出る。外にいたほかの門番さんもこちらに来た。


「どうした?なにがあった!」


鋭い視線でにらみつけられても、わかりません。


「従魔を見ていただいただけですけど?」

「従魔を?」


それでこんなにおびえているのか?と不思議そうだ。


「俺が確認しよう」

「お願いします」


この門番さんも先ほどの門番さんと同じ反応だった。

その様子を見て、門番さんの一人がどこかへかけていくのが見える。

なんなのかしら?


「あのー、中に入ってはだめなんですか?」

「もう少し待て。今、ほかのものも来る」


意味わからない。

ほかの人が来たところで、入れるかどうかもわからないわ。

専用野営地なのに、こんなに手続き必要なの?

これって王都に入るとき、どれだけかかるのよ…


ねぇ、運営さん。

なんでこの人たちおびえたのよ?


<一体でもいれば街を亡ぼし国を亡ぼすといわれている魔獣が、三体も馬車の中で寝そべっているのだから、当たり前だろう>


ええ?

あの子たちはそんなことしないよ、失礼ね。

そんなことやったら、プラント母さんのお仕置きが怖いわよ?


<プラントの仕置きのことなど、この者たちは知るはずなかろう。>


確かにね。

そうか。

あんなにかわいい従魔をおびえるのか。

王都じゃ外に出せないなぁ。

スレイプニルの馬車にはおびえてないんだけどねぇ。


<擬態能力でも身に着けたのか、このスレイプニルは普通の馬に見えるようだぞ>


えっ!

私には普通のウーマに見えるんだけど?


<だから、擬態、もしくは幻影を見せているんだろう、我々はかからぬがな。>


そうだったんだ…

自分がおびえられちゃうの、ウーマはわかっているんだね。

ゲームの中じゃ、普通だったんだけどな。スレイプニル。


しばらく待っていると、王都のほうから数人の人が来た。

なんだか物騒な支度してきているな。


「おい、お前か。恐ろしい魔獣を持ち込んだ奴は」


むっ。

失礼な。シリウスもしーちゃんもベヒーも恐ろしい魔獣じゃないわよ。


「何のことですか?」


名のりもしないくせに何なのよ。


「とにかく中を改めさせてもらう」

「いやです」

「なんだと!」

「いやです、と言っているんです。あなた誰ですか、突然来て。」


むかつくおっさんだな。

加齢臭しそうだから来ないでよ。


「私は王都東門の守衛長をしている、ダズ・ダイムだ」

「その守衛長さんがなんでこんなとこに?」


なにしにきたのよ。って、従魔を危険と思っているんだったわね。


「ここの守衛を任せていた二人の精神がおかしくなったとの報告を得、参上した」

「ああ・・・あの人たちですか」


ちらり。

まだおびえているわ。


「無駄な抵抗はしないことだ。少数とはいえ、Aランクの冒険者もつれてきた」


いやいやいや・・・

おかしいでしょ。

馬車を改めるだけで、なぜそんなものが必要なのよ。


「わかりました。どうぞ」


馬車の中に連れていく。

全員、驚愕な顔をして、うちのかわいい従魔たちを見ている。


「なぜ・・・この世の終わりなのか・・・」


何言ってんだ、この人。


「あのー・・・うちの従魔は怒らせなければ変なことしませんよ?」

「従魔…そうだ。従魔なんだな?」


そういっているでしょ。


「ほら。身分証にも書いてあるでしょ。プラントとスライムは連れてきてないわ」


身分証を提示して、従魔確認をさせる。

実物見ないで、こっちを確認してくれればいいのに。

それでも、話ができるだけましなのかな。


「う・・・うむ。確かに従魔登録されている。・・・中に入ってもいいが、絶対に外に出さないように。後、王都に入りたいのだろうが、明日私が自ら先導する」

「はぁ・・・ありがとうございます」

「絶対に暴れさせるなよ」

「させませんよ」


やっと中には入れるー。


「テイマーは、あちらがわだ」


あ、決まっているんだ?

テイマーだけが集まっている場所があった。

が、なぜかほかの人たちの従魔がおびえている。


「・・・お前たちは特別にこちらの奥のほうに来てくれ」


守衛長さん、苦渋の顔をして私たちを案内してくれているけど、別にあそこでよかったのにな。


<この従魔たちの気配で、ほかの者たちの従魔がが落ち着かないということは周りも危険だからな>


なるほど。

とりあえず入れたからいいや。

なんでかほかの野営している人たちから離されているけども、気にしない。


停まった場所で、ウーマにまずはごはん。

ここまで頑張ってくれたしね。

シツジローくんがかいがいしく世話を焼く。

私の世話は、メイちゃん。

でもその前に、馬車から出てはいけないを厳命されて、ものすごく拗ねているうちの従魔たちに、おいしいごはんだ。


案内してくれた守衛長さんは、冒険者を、おびえている守衛さんたちと一緒に帰して、ここにいるらしい。

真面目だなぁ。

変なことはしないのに。


外にテーブル、いす。そしてディナーセット。

いい匂いだわ。


「守衛長さんもどうぞ」

「・・・い、いや、私は・・・」

「遠慮しなくていいです。メイちゃんが作ってくれたので。食料は無駄にしないのが鉄則でしょ」


まぁ、うちの場合は無駄になるどころか、従魔たちが残りも食べちゃうけどね。


シツジローくんとメイちゃんも座って、おいしいごはん。


「うまい!」

「メイは料理がうまいな」

「ありがとうございます」


守衛長さんと運営さん。

そういえば、運営さんはメイちゃんの料理食べたことなかったね。合流したばかりだし。


「こんなうまい飯、毎日食べたいものだ」

「メイちゃんはあげられませんよ。シツジローくんのお嫁さんだから」


軽くくぎを刺しておかないとね。この加齢臭が!


「残念だ…。息子の嫁にと思ったのだがな」


ああ。自分のじゃないんだ。この人既婚者か。いい年してそうだものね。

だけどあげません。


そのあとは和気あいあいとご飯食べて、少し話をして(というか私たちの関係とかいろいろ聞かれた。しかたないか)、守衛長さんは入り口のほうに向かっていった。

代わりに見張るらしい。

そうだよね。

二人も帰ったしねぇ。

一晩中か。

大変だな。


私はもうお休みモード。

馬車の中で体をふいて、クッションにうずくまる。

運営さんもどこから出したのかふっかふかな大きなクッションを敷いている。


「おやすみなさい」

「お休み」


明日はいよいよ王都だ。起きられるかな?





ちょっとだけ長めです。

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